第21話 ハルマンの成長
朝食の後、ボクはお嬢様と一緒に訓練所に戻ってきた。
「ウェイン、見学させてもらうわ」
「すっかり、ハルマンくんにべたぼれですね。お嬢様」
「いいでしょ、ハルマンはカッコいいの」
お嬢様は、顔を赤くしながらそんなことを言っていたがボクはボクで恥ずかしくて赤面していた。
早く訓練に逃げたい。
「あはは、ハルマンくんが困ってますよ。お嬢様」
「あら、うふふ。可愛いでしょ」
「ハルマンくん、ご愁傷様。
さて、訓練をしようか。
まずは、ゲルデから届いた剣を渡しておこう」
ウェインは、ボクに一振りの剣を渡してきた。
それを受け取る。
「剣は、腰に差しておいたままで。
さて、朝から夕方まではひたすらにあの案山子を叩き続けてください」
そういって、木剣を渡される。
ボクは、そのまま案山子を叩き続ける。
ウェインから「踏み込みが甘い!」と檄が飛ぶ。
指摘が都度はいる。
それに従う様に、動きを変えていく。
初めて握った剣だった。
やっぱり、短剣とは使い方が違う。
動き方も違う。
攻撃の間合いが違うからだな。
動きを最適化していくと案山子に当たる木剣の音が変わった。
カンカンと乾いた音だったのが、ガンと重い音に変わっていた。
◇
「お嬢様、ハルマンくんは何者ですか?」
「ウェイン、どうしてそう思うのですか?」
「それはそうでしょう。初めて剣を握ってあの音を出せる・・・それを数刻の間にこなしてしまう。
あの調子では、夕刻には案山子を倒すことも可能でしょう」
ハルマンの剣の腕前は、一振り毎に変わっていく。
それは、素人目でもわかる。
「今日1日訓練をした後のハルマンにウェインは勝てますか?」
「正直言ってわかりません。
成長速度が速すぎて、一昨日初めて会ったあの瞬間でこそ才能を感じていましたがまさかここまでとは」
「貴方にそこまで言わせるなんて・・・流石、ハルマンね」
ステータスを解放して、ハルマンの才能は開花したのかもしれない。
開花・・・いや、まだ蕾で咲き始めたばかりかもしれない。
ハルマンの成長する姿から、目が離せない。
胸の奥がとても切ない。
訓練が終わったらいっぱい癒してあげましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます