第20話 仮入団 早朝

洗礼式の翌日。


客間で目覚めたボクは、用意された服に着替えた。


そして、ボクは早朝・・・騎士団の詰め所へと向かってた。


「来たね、ハルマンくん」


ウェインさんが、詰め所前でボクを待っていた。


もう「殿」ではなく、「くん」読みになっていた。


「今日からよろしくお願いします」


「まずは、防具を付けて走り込みをしてもらう」


「はい」


ボクは、そのあとフルアーマーを着て訓練所を走り込む。


訓練所は、1kmほどのトラックの様でそこを延々と走り続ける。


ガシャンガシャンと鎧が鳴る。


それからどれほどの時間走っただろうか。


汗が滝のように流れてくる。


息が辛い。


胸ではなく、肩で息をしているような気さえする。


身体が重い。


鎧の重みだけではなく、自分の身体自体が重い。


気が付いたら太陽が昇っていた。


「よし、ハルマンくん。シアンお嬢様が迎えに来てるので朝ご飯を食べたら戻って来るように」


「はい、行ってきます」


そして、ボクはお嬢様の元へ向かう。


お嬢様は、心配そうな表情でボクを待っていた。


「お嬢様、お待たせしました」


「ハルマン。おはよう。

どうでしたか?朝稽古は」


「はい、とても大変でしたけど頑張りたいと思いました」


まずは、体力を付けなきゃ。


頑張るんだ。


強くなるんだ。


お嬢様を守れるくらいに。


今度こそ、ボクの力で。


「昨日の剣は、まだ受け取ってないのですね」


「そうですね、朝は鎧を付けて走り込みをしてましたので」


「そうですか・・・お昼までワタクシも見学しようかしら」


「え?お嬢様がですか?」


「だめですか?」


お嬢様は、寂しそうな顔をしていた。


でも、ボクはカッコよくはないだろう。


無様な姿を見せることになるかもしれない。


「カッコ悪い姿を見せてしまうかもしれないです」


「訓練なんですから、当たり前じゃないですか。

ワタクシは、貴方の姿だから見ていたいのですよ」


そんなこと言われるなんて嬉しい。


お嬢様の言葉は、正直嬉しい。


ボクも見ていてほしい。


そう思えてしまう。

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