第18話 勇者、動き出す

時間は、ハルマンの洗礼式よりも少し前に戻る。


所変わって、グラディッシュ領。


ここは、勇者ハルクトが治める領地である。


「ハルクト!」


執務室のドアがノックをすることもなく開け放たれた。


入って来たのは、ローブを纏った女性。


「イリア?なんだ?」


「これを見ろ、今朝速達で届いた」


ハルクトは、イリアから一枚の紙を渡された。


それを見た彼は、椅子から立ち上がった。


「遂にこの日が来たか、イリア。後は任せる」


「ああ、行ってこい」


ハルクトは、旅支度を済ませ急ぎで領地を飛び出した。


グランディッシュ領は、ツァエリ領の隣領である。


彼は、その日旅に出た。


ハルクトの行先は、極一部の人間にしか知らされなかった。



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これで、序章終了です。

次回から1章スタートします。


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