第16話 花の領都の歩き方2
中央広場から西側に来たところ、西から北へと向かおうとする大きな道の入り口に大きなアーケードが見えてきた。
ボクは、アーケードに手を伸ばす。
アーケードには、絵が描かれているのだがよく見ないと平面の絵に見えず、立体的な花に見えた。
そんな不思議な絵が描かれていた。
「お嬢様、このアーケードすごいですね。
ボク、本物の花かと思って触ってしまいました」
「ワタクシも最初同じことをしたわ」
誰もが気になってしまうということだろうか。
聡明なお嬢様ですらそう思ってしまうのだから。
「作者曰く、目の錯覚を利用していると言っていたわ。
彼女の世界は、不思議だわ」
彼女と言うことは、女性の作者なのだろう。
行き交う人たちがお嬢様のことを見ている。
いや、それはボクのこともか。
「さて、ハルマン。ここが、マーケットよ」
アーケードの先には、道を挟んで多くのお店が立ち並んでいた。
「いま、ワタクシたちがいるのは南出入り口になるわ。
出入り口は東西南北の四ヶ所あるのよ。
それぞれに、特色があるの」
入り口ごとに販売しているものが違うと言うことだろう。
見た感じ今いる南出入り口付近は食料品が多いイメージである。
果物、野菜などが売っているお店が並んでいる。
「気づいたようね、ハルマンは洞察力がいいのね。
そう、ここはまさに台所。
食材をメインに扱ってる出入り口よ」
「シアン様!」
「おお、シアン様」
ボクに説明をしていたお嬢様は、店先にいる店主たち声をかけられていた。
お嬢様は、人気者なんだな。
「皆さん、お邪魔してます。
今日は、新しく我が家の客人になった方のご案内できたのです。
ですので、ワタクシのことはお気になさらず」
そうは言うものの彼女の手にはドンドン荷物が増えていく。
「今日は何々が入ったので持っていってください」といっては各店の店主が持ってくるから。
ボクはちょっと笑ってしまった。
珍しく、お嬢様が慌てているのだから。
やがて、解放された時にはお嬢様だけでなくボクまで腕一杯の荷物を抱えていた。
「ハルマン、一度屋敷に戻りましょう。
これでは、貴方に案内したかったお店までたどり着けません」
「はい、確かにこれは辛いですね」
そういって、ボクらは屋敷へと戻るのだった。
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