第10話 母への手紙
所変わって、客間に通されたハルマン。
◇
ボクは、手紙を書いていた。
送り先は、シーク村に住む母さんにである。
シーク村の村長宅になら手紙の輸送ポートがある。
なので、ここから送ってもすぐに届けてもらえるようだ。
たぶん、当面帰ることはできない気がする。
村では、母さんに識字を習っていたのでボクは読み書きできる。
でも、あの村で読み書きができる人は限られている。
村長と母さんくらいだろうか。
ボクは、客間に通してくれた執事さんにペンと紙を用意してもらっていた。
さて、一応今日の事を書いておこう。
◇
拝啓。リリアス・シークさま。
早朝にお別れをして、朝方に領主のご令嬢を盗賊からお守りしました。
しばらく、領主邸に滞在することになりそうなので。
当面の間、シークに戻ることはできないと思います。
敬具。ハルマン・シーク。
◇
ボクは、ベルを鳴らす。
数拍の後に、メイドがやってきた。
「すみません、この手紙をシーク村まで転送をお願いできますか?」
「畏まりました。
ハルマンさま、お食事の準備が整いましたのでご案内させていただきます」
どうやら、ベルを鳴らさなくても食事のタイミングだったようだ。
それにしても、どこかで食べるのか。
この部屋でなく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます