第10話 母への手紙

所変わって、客間に通されたハルマン。



ボクは、手紙を書いていた。


送り先は、シーク村に住む母さんにである。


シーク村の村長宅になら手紙の輸送ポートがある。


なので、ここから送ってもすぐに届けてもらえるようだ。


たぶん、当面帰ることはできない気がする。


村では、母さんに識字を習っていたのでボクは読み書きできる。


でも、あの村で読み書きができる人は限られている。


村長と母さんくらいだろうか。


ボクは、客間に通してくれた執事さんにペンと紙を用意してもらっていた。


さて、一応今日の事を書いておこう。



拝啓。リリアス・シークさま。


早朝にお別れをして、朝方に領主のご令嬢を盗賊からお守りしました。


しばらく、領主邸に滞在することになりそうなので。


当面の間、シークに戻ることはできないと思います。


敬具。ハルマン・シーク。



ボクは、ベルを鳴らす。


数拍の後に、メイドがやってきた。


「すみません、この手紙をシーク村まで転送をお願いできますか?」


「畏まりました。

ハルマンさま、お食事の準備が整いましたのでご案内させていただきます」


どうやら、ベルを鳴らさなくても食事のタイミングだったようだ。


それにしても、どこかで食べるのか。


この部屋でなく。

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