第16話世界樹が出来た経緯とハイエルフの村長の怒りの訳
村長のメイガスが「我のドラゴニュートの話に入る前に、まず世界樹の話をせねばなるまいな。
少しだけ長くなるが聞いてくれ。」
「分かりました。」シャンとウタとハクは正座をして、脂汗が止めどなく流れて固まっている。
その後ろでシャン達を見て、妖精のピーがクスクス笑ってメイファに”シ〜“と言われている。
「遥か昔の事じゃ、まだ世界樹が生えてない頃、この地は精霊王と龍族が仲良く暮らしており、精霊の国の精霊と妖精族やエルフ族、小人族が住むこの地と龍族の住む地に境界はなく共に助け合って暮らしていたのじゃ。
特に平和を好み大人しい青龍と緑龍の2匹の龍はエルフとも仲が良く、近くに住んでいたんじゃ。
他にも沢山の龍がいたが、ここには余り来なかったようだ。
神龍が留守のときに、暗黒界の門が突如開き、この地を手に入れるべく、暗黒界の魔界竜王の9つ首竜邪竜エンペラードラゴン、が単独で侵略してきたのじゃ。よほど自信があったのじゃろう。
それを迎え撃ったのが精霊王と龍族達の青龍、緑龍、武龍、闘龍、黄龍、光龍、土龍、空龍達が戦ったが9つ首竜の竜王邪竜エンペラードラゴンは強かった。
エンペラードラゴンに苦戦しつつ、勝利したが武龍、闘龍、黄龍、土龍、空龍が死んでしまい、緑龍も瀕死の傷を負ってしまいった。
邪竜エンペラードラゴンは9つの首の内8つの首を無くしたが、暗黒界の門から逃げてしまい、絶対に逃がすまいと、トドメを刺すために光龍と青龍が追い掛けて暗黒界の門の中へ入ってしまったんじゃ。
邪竜エンペラードラゴンは、龍の右の角が転生に必要だということを知っていて、死んだ龍は全て右の角を食べられ転生ができずこの世から消滅したのじゃ。それ程龍の角は大事なものじゃ。左の角は魔力の角と言い増幅、増強するのにつかうそうじゃ。
残った緑龍は負傷の為動けず、右の角も半分以上無くし転生は絶望視され、永遠の死を待つだけだったが、エルフの女性、我の母親が親身になって看病し何とか命を取り戻す事が出来たのじゃ。
そのエルフの女性に惚れて人に変身した緑龍は
そのエルフと夫婦になったのじゃ。
人となった緑龍は残りの右の残りの角を自ら折り、永遠の愛の証としてエルフの女性に与えたのじゃ。
そのせいで、母はハイエルフに変化し長い時を愛し愛されたのじゃ。
そして長い時を経て、二人の間にはやっと赤児が授かったのじゃ。それが我で母の胎内に5年もの長い期間居たのだそうだ。
緑龍の血のせいか我はハイエルフとして、生を受け同時にドラゴニュートでもある。
我は両親に愛され父の緑龍からは、龍の力の使い方を教わり、母のハイエルフからは、魔法の使い方を厳しく教わり、30年も経つ頃にはエルフの村で魔導士の騎士隊長をするまでになったのじゃ。
ある日のことじゃ、光龍と青龍が戻って来やすいように開けていた暗黒界の門から、邪竜の腐毒竜が精霊の国に攻めてきたのじゃ。
精霊王と緑龍、妖精、エルフの騎士、兵士、小人の兵士で腐毒竜を迎え討ったのじゃ。勿論我も真っ先に武器を取り闘った。
何とか邪竜の腐毒竜を倒したのじゃが精霊の国に、腐毒の呪いを掛けられ、精霊の国に大分被害が出たのじゃ、緑龍も母も我も精霊の国の住民がほぼ腐毒竜の呪いと撒き散らした猛毒にやられ、精霊王が精霊の国の住民と国の為に、猛毒の中和にほぼ魔力を使い果たしたが、毒と呪いは解けず、力及ばず逆に猛毒に、やられハイエルフの母も瀕死の状態であったそうじゃ。ハイエルフの母を助ける為、その他の住民を救うため、毒に苦しみながら緑龍は、腐毒竜の呪いを解く方法を精霊王に相談したそうだ。
精霊王が言うには『私が鎮座するこの場所は、特殊な場所でこの地に地脈、魔脈、霊脈、龍脈、宇宙脈が交差する希有なパワースポットでこの地を守るガーディアンとして、守っている。
私の神精樹魔法を私自身に掛け、この地を私が世界樹、神木となって、この地の呪いを解き、邪なる者が入って来れないようにし、精霊を妖精を龍をエルフ及び全ての人々を守ろうぞ。
しかし、魔力の媒体に生きた龍の角を使わねばならん。
すまぬが緑龍よ協力して欲しい。ソチの左の魔力の角を私に貰えぬだろうか。』
「分かりました。是非この角をお使い下さい。」
そう言って、緑龍は、自ら左の角を折って、精霊王に渡し精霊王が神精樹魔法を貰った角に掛け終わった所、緑龍はそれを取り
「精霊王様は皆の希望、神木の世界樹には私がなりこの地この場所全ての人々を私が守りましょう。」
そう言って、自らを魔法が掛かった角を刺した緑龍は、巨大な神木、世界樹に自らを身体を変化させて、腐毒竜の毒と呪いを消すと共に、食料と住処を皆に与え平和な世の中になったのじゃ。
世界樹の成長は著しく1年で10年分の成長を100年以上急速に成長し、それからは普通に成長をしていったのじゃ。
ハイエルフの母は長い時を生きたが寿命で亡くなってしまった。
それからは我は精霊国の代表となり、エルフ村の村長として、妖精の村、小人の村、エルフの村と民そして世界樹を護り続けたのじゃが、」
そう言って、殺気と威圧を放ちシャン、ウタを指差して物凄い顔で睨み付けて、
「それをこのバカどもが、妖精の村人、エルフの村人、小人の村人達が集めた食料を食べてしまい、神龍にクレームを言い、その事で怒られたことに腹を立てたバハムートとリバイアサンは、人々が世界樹の中から出て精霊王様と緑龍神樹様への祭りの準備の為、外へ出ているのを知り、チャンスとばかりに世界樹の内部の妖精、エルフ、小人が仲良く住んでいた村々を破壊し尽くしたのじゃ。
我の魔法で懲らしめてやったのを、根に持ち有ろうことか、龍のブレスで世界樹を倒してしまったのじゃ。」村長のメイガスは肩で息を”ハァハァハァ“と怒りを露わにしている。
こりゃ、シャンとウタが悪い、庇うのは無理があるな、申し開きができないなと思っているとシャンが
「む、む、昔の事なのだ、わ、妾達も反省しているから、許すのだ。昔の事は忘れるのだ。」
「ふうう〜う、アレから大分時が経つが、今だに思い出して腹わたが煮え繰り返っているがな。
だが、世界樹の復活のために今は堪えよう。世界樹の跡地の大穴へ案内しよう。」
そう言って、エルフの村から10分ほど歩いた所に高さ10m程の木の柵が建てられ見張り台まである。その見張り台に登ると大きな穴が見えるが雲が穴を満たして中が見えない。
「あの雲が取れなければ中へは入れない。後2、3日程で雲が消えて入れるじゃろう。それまで村で、ユックリしていくといい。」
村長の家に戻りながら
「あのう、メイガス村長妖精の村とエルフの村、小人の村というのを見てみたいですし、ダンジョン用の食料等の準備をしたいんですが良いですか。」
「それなら妖精のピーと娘のメイファを案内させよう。我はハイエルフとして、長い時を生きその間に何度も恋をし、結婚もしたが子供を授かることもなく我と結婚した殆どの夫は先に死んでしまい、諦めていたときに、この子を妊娠し我の腹に10年近くも居たのじゃ。
それまでは、老化することもなく、若いままだったのじゃが、この子を妊娠してから力を吸い取られたように我の力がメイファに流れたのじゃ。
この子からは無限の力を感じる才能の塊じゃ。
この子は我と同じくハイエルフであると共にドラゴニュートでもある為、この子は長命じゃ我と同じ夫に先立たれる悲しみを味合わせたくない。この子を嫁にすることを真剣に考えて欲しい。」
そう言った後村長は、ダンジョン攻略の前祝いだと御馳走が用意され、晩飯の食事を食べた後、
「明日にでも精霊国の村々をユックリ見て廻ると良い」と村長の家で御馳走になったのだが、豪勢だが肉や魚がなく、果物や生の野菜やスープまでキノコや野菜を使ったものでシャン達がダダをコネル
「肉が無いではないか、これではイザという時、力が出ず戦えないぞ」とシャン
「魚が無いではないか、これが客人をモテナス料理か、魔物との戦いに力が出ぬぞ」とウタ
「私は果物や野菜は好きですけど、力の出るものも欲しいかな」とハク
「嘘だろ、草しかないでは無いか、これじゃ魔物とは戦えないぞ」とクロ
俺の代弁を4人が言う。
それを聞き、怒った村長は
「戯け者めが、ここはエルフの村じゃ、そのようなものがあるか。生き物は食わんのじゃ。」
仕方ないので、皆に耳打ちをして言う。
(後で、部屋に行ってから俺のアイテムボックスの中の食料をやるから、ここは我慢してくれ)
そう言って納得させたのだった。
部屋を割り振りされ俺とクロで一部屋、シャン、ウタ、ハクで一部屋割り振られ、シャン達からのエクストラスキルに付いての追求を誤魔化すため、シャン達の部屋に行きアイテムボックスから、多量の料理された熱々の肉料理や魚料理、酒、お菓子等を出して振る舞ったのだった。
人族では、12才から大人と見られ、お酒もOkなのだが、シャン達はとっくに俺よりも年上だから気にせずに酒も出しておいた。
ウタが「主殿、エクストラスキルの件を聞きたいのジャが何故に黙っていた。何故にOFFのままにしていたのじゃ。シャン姉さんからも、厳しく言って欲しい。」
(うわっ、早速来たかと、頭が痛い、どう言い訳するかと)思っていると
シャンが「そのことは、タクマが転生してきたときに、龍王の玉の力で見て知っているぞ。
ただ、あのような人の訓練ではエクストラスキルは、開花しないだろうから、妾の奴隷として能力を開花・・」
”あっあ〜ん”とイラッときてシャンを睨み付けると
「言い間違えたのじゃ、人の訓練ではエクストラスキルの開花まで行かないだろうから、妾の従属として飼い慣らして修行をさせて、開花させてこき使ってやるつもりで、龍王の城にて転移させたのに、龍王の玉をタクマが身体に取り込みやがったのじゃ。」
イラッときて「それは、俺が悪いのじゃないだろうが、何勝手なことをしてくれてるんだ。皆にも言っているように、俺は目立ちたくないんだ。
だから、エクストラスキルの力も要らないんだ。何かあれば使うかもしれないが、一生使わなければ良いなと思ってOFFにしてるんだ。」
シャン達が「「「「勿体無いのだ、贅沢なのだ」」」」と言うが俺は首を縦には振らないのだった。
そこに飲み物を持ったメイファとピーが来たので、料理を進めるとお菓子を食べたメイファは感動して「こんなに美味しい物を初めて食べました」と感動し肉料理や魚料理の料理を見て
「そんなに沢山の料理、どうしたんですか?どうやって持ち込んだんですか?」
「ああ、俺のアイテムボックスというスキルなんだ。コイツラは野菜や果物だけじゃ可哀想だからな、メイファもよろしかったら、食べていってよ」
「タクマよ、エルフは肉は食べられないんじゃよ」
「イエ、私は緑龍の血を引いているからか、普通に食べることは出来るんですがここでは、遠慮して肉等は食べたことがまだ無いです。」
そう言うのでメイファが食べたことがない海の幸料理も出して進めると貝を食べたメイファが感動して「こんなに美味しい料理初めてです」とクロもどれどれと手を出し口に入れる。
「おおー、スゲーアニキこれなんです初めて食べますがメッチャ美味しいです」
ウタが胸を張り「それは、海の底にいる貝という物の身だ。旨いだろ。」
(いや、お前が出したんじゃないから、威張るなよ)と心の中で突っ込むのだった。
いつの間にか、酒を飲んでいたピーは「まぁまぁ、いけるじゃない、もっと色んなお酒を出しなさいよ。飲んであげる」というが、
「村を案内して貰った後にな、今酔っ払らわれると困るからな」
「じゃ、早速村を案内するわよ。メイファ、今夜はエルフの村から見せてあげて。妖精村と小人村は明日アタシが案内してあげるワ。」
「はい、分かりました。案内します。エルフの村は小さいのですぐに終わりますよ。」
案内してもらった村の中は店は少なく、しかも果物や野菜、キノコ、ハチミツしか売ってないので、それを多量に買ってアイテムボックスに収納していく。
大木の樹の上にあるエルフ村の冒険者ギルドに入り、クロのステータスフェイクした物で登録しついでに、パーティー登録もしておいた。
冒険者ランク仮Hの冒険者プレートを貰ったクロは、嬉しそうだ。
受付の女の子も当然エルフで、
「ビーチ港街のギルドマスター•ファンタ様から、冒険者ランクが上がって冒険者ランクGから上がってDの冒険者のプレートを出すよう指示が出てますので用意します。」そう言って、冒険者ランクDと書かれたプレートを渡されたのであった。
シャン達は、12才になって、本登録の際に冒険者のランクが上がったプレートを出すそうだ。
次の日に妖精の村に行く事になった。
エルフの村にある大木の万年樹の木の幹に50Cm程の大きさの小さなドアが取り付けられていて、開けると花が咲き乱れる草原が広がっている別世界で、ドアが小さく入りづらいが中はダンジョンか別空間になっているように思う。
妖精達の家は草原に生えている大木の穴を利用しているらしく、人では小さ過ぎて入れない。
妖精は人見知りなのか俺等を見ると姿を消したり、光の玉となるのであった。色々な色があり、赤、青、緑、黄、橙、紫、金、銀、白、茶等様々な色が逃げ惑うかのように飛び廻っていて、ピーが
「アタシの客だから、安心していいよ」と言うと忙しく飛び回っていたのが、安心したかのようにユックリとした動きになり、羽の生えた人型になる者も出て来る。
そんな中、草原の大木の根本から50Cm程の小人が出て来る。小人族は妖精と共生しているらしく、しかも人懐こく、自分等に近づき色々質問して来る「此処へは何しに来たの」
「どうやって此処に来たの」
「人が来るのは久々だよ、何を買いに来たの」
「えっ、小人族の村もあるの?、商店もあるの?、何を売っているの?」とつい逆に質問攻めにしてしまう。
「魔導具を買いに来たんじゃないんだ、なあ〜んだお客様かと思っちゃった。」
「魔導具?、ここには魔導具を売っているの?」
「魔導具は、俺等が作ってんだから有るのは当たり前じゃん。」
俺の中の中2病が発動してしまった。
「どんなのがあるの、見せて見せて」
「う〜んでも、お兄さんお金を持っているようには見えないんだよね。」
失礼なことを言うので、アイテムボックスから、金貨や銀貨、白金貨(魔法の掛かった1枚=1千万円相当)、聖光白金貨(魔法が掛かった1枚=1億円相当)が入ったパンパンに詰まった袋を出して見せると、態度が急変し手のひらをモミモミしながら、上客と思ったのだろう。
「お客様、流石に上等な服を着てらっしゃる。凛々しい顔、強者の雰囲気、さぞ一流の冒険者なのですね。」
はっきり言って俺の服装は、低ランク冒険者の安い服で安い鉄剣を腰にぶら下げているだけである。
それを聞いたシャン達4人がからかわれていると、思ったのかクスクスと笑っている。小人達が俺をオチョクッていると思ったのだろう。
「これは、冒険者の低ランクの装備だけど、お金持ちに見えるのか?」とステータス制御でランク1の低いままに戻してあるが、貰ったばかりの冒険者ランクDのプレートも見せ突っ込んだ所
「イエイエ、私達には分かります。一流の冒険者でなければ、妖精のピー様がここへ連れて来ることは有りません。エルフ族の村長の娘のメイファ様まで御一緒とは、さぞかし名のある冒険者でしょう。」
ピーは胸を張って言う。
「そうよ、この人達は世界樹の跡地の穴の底のダンジョン攻略に向かう一流の冒険者のなのよ。しかも昨日エルフの村長のメイガスにタイマンで勝っちゃたのよ。」
「無謀な方達なのですね•••エッえー、メイガスさんにタイマンで勝ったんですか」
やはり、お世辞で物を言っていたようだ。
「とにかく、どんな魔導具が有るのか見せてくれないか、気に入れば買うよ」
「分かりました。一応魔導具に付いては、どれ程知っていますか。」
指に付いている転移の指輪と他人の鑑定と自分のステータスをフェイクする指輪を見せると
「これは•••小人族のホビット魔導具王と言われる神匠のピット様の作、百年以上前に人族の英雄に売ったと聞きましたが、貴方が買ったのですね。」
「イヤ、これは龍王の城で龍王から貰ったものだ」
シャンの事なので嘘はついてない。
「あの、頭のイカれた、バカで、頭の脳みそが腐れて、ウジが湧いているという狂王から頂いただと、凄いあの引きこもりのクズのワガママのキチガイから貰っただと、もしかして龍王が死んだと言う噂が出ているがそうなのか?」
シャンは、顔を真っ赤にして怒って近づいて来る。
ヤバい、この小人殺されると思った時、またまたクロがしゃしゃり出て来てシャンを指差しながら
「その有名な龍王が此方にいらっしゃるシャン姉なのです。」
シャンのアッパーがクロを10m上空へと殴り飛ばし、身体中から殺気を出しながら「よくも、そんなデタラメをベラベラと喋るやつだな、そんなに死にたいかアッア〜ン!!」
小人達はシャンが本物なのかとピーを見て確認するとピーが首を“コクン”と頷き、正解だと教えた後
「本物の龍王だ、今は何故か人型をしているがな」
そこへ目の前に、上空へ殴り飛ばしたクロが“ドスン”と落ちて来ると、シャンはクロを踏みつけ、
「お前は一度死んでおけ」とクロの頭を地面にのめり込む程グリグリと踏み付け
「アガッガッガッ、お許し下さい、小人共が怖がったほうがシャン姉を敬うと思ったのです。」
クロの頭を“ドォン”と更に強く踏み付け、地面に頭が食い込むのだった。
「仲間をいとも簡単に殺した。本物のキチガイ、破壊王の龍王だ。」
「なにィ〜まだ言うか」
シャンが本当に小人を殺しかねないので
「小人共、その位にしないと、本当に殺されるぞ。シャンも魔導具が買えなくなるから我慢してくれ」
“グヌヌヌヌヌ〜“
「ウソだ、この人間が龍王を調教しているマジか」
「この人間は、龍族達を眷族にしておる。プライドの高い龍族よりも、この人間か強いということだ」
何か勘違いをしているが、面倒くさいので本当の事は黙っていよう。
小人達は、土下座をして「無礼をお許し下さい」と俺に頭を地面に擦り付けるのだった。
「なあ、お前達、龍王の噂は誰が喋ってるんだ」
「ハイ、エルフの村長のメイガス様です」
犯人が分かったがシャンは、「あの〜クソババァめ、後で思い知らせてくれるフッフッフッフッ」
と黒い顔をするのであった。
ブルブル震えながら小人は「魔導具の欲しいのを値段を下げて売りますので、ご勘弁ください」
「分かった頼むよ、シャンも許してやってくれ」
「グフゥ、グフゥー、タクマがそう言うなら分かったのじゃ。妾も我慢強くなったものじゃ。」
シャンが踏みつけているクロが、頭を地面から抜こうとジタバタしているのをシャンは、怒りをぶつけるが如くハラを思いっ切り蹴り”ゲフー“と言うクロの声と同時に地面に食い込んだ頭も抜けて5m上空に蹴り飛ばされるのだった。
”ドスン“と地面に叩き付けられたクロが
「ああ〜、死ぬかと思った。ヤバかった〜」と何でもないかのように言い放つのだった。
(何て頑丈な奴何だ、普通の人なら簡単に死んでたな・・・はて?、可笑しいなシャンは今人のはず、龍王召喚をしてないのに何故人型に変化しているとはいえ、龍のクロにダメージを与えられるんだ?可笑しくないか?)
「シャン、聞きたいことがあるんだが、シャンは今人だよな。何で龍のクロにダメージを与える程の力があるんだ?」
「そんな事は当たり前なのだ。龍族のルールで龍魔法によって、龍が生まれたら龍王の城の屋上の魔法陣によって、年功序列が身体に龍魔法で刻み込まれるのだ。そうすることで、エンシャントドラゴンや、神龍や、聖龍や先輩龍に逆らえないようにするのじゃ。龍魔法で魂に刻み込まれる為、転生しても先輩龍に逆らえないようにするのじゃ。
力ではハクはクロに負けるが、いざ二人が戦えばハクに10倍のバフが付き、クロには10倍のデバフが龍魔法によって付くため、クロはハクに勝てないんじゃよ。だから今は人になっている妾でも容易くクロに打撃を与えることが出来るのじゃ。」
「ふ〜ん、早く生まれた者勝か、でもそれじゃ遅く生まれた龍ほ、ハイリスク過ぎないか?」
「そうでもないぞ、これは主に龍対応と云うよりは、竜対応で、竜と戦うときは、龍に10倍のバフが付き、相手の竜に10倍のデバフが付く、神龍が龍を守るために魔法陣を作ったのじゃ。」
「じゃ、何故白龍の時のハクは黒竜に殺られそうになっていたんだ。」
「転生時は、まだ弱いままじゃ、黒竜は時が経てば勝てなくなるから転生したての白龍を狙ったのじゃろう。」
そういう話をしていると小人が、
「あの〜、魔導具の商品が集まり準備が出来ました。何か欲しい物とか、ご要望があれば更にご用意しますが・・・」
「えっ、小人の村も見たいんだけど、中に入れてくれないのか?入れないのかい。」
そう言うと小人達がシャン達をチラチラ見て、
「何卒、御勘弁下さい。」と必死になってシャン達を小人族の村へ入るのを阻止仕様とする。
仕方がないのでコチラの欲しい物を言う。
「出来れば、便利キャンプ用品や料理グッズやこの透明マント(前にシャンが付けていた物だが、ほぼ破けて使い物にならない為、人数分買い替えようと思っている。)とか欲しいんだけど。」
「ウソォ、それも神匠が作ったとされる伝説の魔導具。透明マントは今は有りませんが、似たようなマントがありますので、ご用意するまで他の品等をご覧下さい。」
他の小人が持って来て見せたのが、キャンプの際、寝ずの警戒をしてくれる”周囲警戒用御守りゴーレム“(50cmの土のゴーレム)
「イヤ、これは必要無いかな、コイツラ4人は強いから」
「イエイエ、そう云う事ではなく、龍というのは無警戒の方が多く、夜はまず間違いなく寝て交代という考えがありませんし、先ずやりません。これは、旦那様用の命を守る為の物と考えて下さい。」
そうか、シャン達にキャンプで警戒の寝ずの番を交代でする事を期待している俺だったが、俺が考え無しだった事に気付かされて買うことにした。
警戒のゴーレム一体、白金貨5枚を4体買ったのだった。
ホクホク顔の小人が次に持ってきたのが、マント類で、テントマント(夜は一人用のテントになるマント)、擬態マント(周囲の岩や木に擬態し隠すマント)、カッコ付けマント(太っている人が痩せてハンサムに見える)、呪い返しマント(呪いを掛けて来る相手に呪いを返す)、魔物返しマント(強い魔物の匂いで弱い魔物を近付けない)、パワーマント(パワーが5%アップ)、ジャンプマント(身体が軽くなって20m程ジャンプする事ができる)等、この中から欲しい物は呪い返しマントなので、1つ金貨が200枚必要とのことで6つ(メイファの分も入れて)買い、魔道具の料理用2口コンロ(魔法が掛かった魔石で火を付ける)、調味料箱(各調味料が入っている)、煮物鍋、焼き料理鍋、スープ鍋等がありその鍋に具材を入れると勝手に料理してくれる。各1個金貨200枚を1個づつ買い、次に持ってきたのが家政婦ゴーレム(片付けや、洗い物、縫物、ゴミ捨てまでしてくれる為、自分の仕事負担軽減の為2体買い、合計で聖光白金貨10枚で買ったのだった。
上客と思った小人は、手をモミモミしながら、武具は要らないかと聞いてくる。
シャン達を含め持っているのは、俺の剣も鉄剣である(アイテムボックス内の武器は含めて無い)なので色々見せてもらい、強化強固、斬撃を魔法で付与された剣6本と強化強固、軽い、パワー5%アップの魔法を付与された小盾6個と、魔法で貫通、強化された槍を6本と命中率Up、貫通、飛距離Upの魔法を付与された弓矢をハク、メイファ、俺用で3つと矢を1万本買ったのであった。
又、それらを入れる収納指輪(中)を俺以外ウタとクロとメイファが、アイテムボックスを持ってないので3個買い、聖光白金貨30枚支払ったのだった。
それ以外でも服装チェンジ指輪(あらかじめ、セットしておいた冒険服、戦闘服、寝巻き、私服等を最大で6セット出来、指輪に魔力を通しながらチェンジしたい服に一瞬でチェンジ出来る指輪)を1個金貨500枚これも、6個買ったのだった。
魔法が付与された鉄剣を見たシャンが考える。
ー ー ー ー ー ー ー ー
シャンサイド
(タクマに渡した龍王の証の龍の飛斬剣、何とか我が元に取り戻せないものか。
ふ〜む、そうだこの手が合った。フフフフフ前回は妾が持てなかった龍王の剣、タクマが持てなくなれば妾の手に戻ってくるはずじゃ。)
ー ー ー ー ー ー ー ー
晩飯を食べたあと、やはり果物や野菜ばかりの為、シャン達の部屋へ行き、買った収納指輪に小人から買った武器等を入れて皆に渡して置く。
肉や魚の料理と酒を沢山出して食べていると、シャンが言う。
「のう、タクマよお主は神剣とか、聖剣とかに興味はないか?、お主ならそれらを作るのに必要な精神P、精神波、精神力を持っているから作れるぞ。
材料は、鉄などでも良いが魔素や魔力をより多く付与できるミスリルや魔鋼、ヒヒイロカネでも良いが魂を込めるとなると、龍の素材が1番良い、龍王の城にあった龍の素材、角、ウロコ、皮、血、魔石等が沢山あったはずじゃ。
その他にも、今まで倒した魔物でまだ手元に置いてある魔物の素材やこの前メテオで滅ぼした魔族の素材もふんだんに使えば良かろう。」
「今、魂を込めるとか聞こえたけど、俺の魂を使うのか?俺が死ぬじゃないか!」
「違う違う、想いを込めるのだ聞いたことがあるかも知れんが恋人や妻の魂を込めるとか、その際は数年、数十年の信頼関係が必要となって来るし、それが恨み辛みの時は、魔剣になる確率が高くなるがタクマは我等を眷族にしたときに互いの身体が光って魂の分魂をしただろう。魂はそれを使う。
1つ作るのに何やかんやで精神p、精神波、精神力等をそれぞれ1万程使うが今のタクマなら問題ないじゃろう。」
「何それ、魔剣とかも作れるってことか?」俺の中2病が疼いてきた。俺専用の武器が作れると云うことかな?。
そう言えばよく、映画や昔の物語りで、命を犠牲にして魔剣を作るとか合ったもんな。
「違うと言うに魔剣ではない、神剣や聖剣等だ。
スキルや魂の籠もった剣を人が作ろうとすると、人がそれを作るのに必要な精神Pや精神波、精神力、この3つが必要なのに1つでも足りないと、作る時人は精神を崩壊させたり、人の魂を犠牲にしなければならず、呪われた魔剣となる。
それを使う人も呪われたり、命を吸い取られたり、狂ったりして、呪われてしまう。魔剣はリスクが大きいんじゃよ。
妾が言っているのは神剣や聖剣の事でタクマにはその3つを作る力を揃って持ち、高いステータスで持っている為、作れるということじゃ。
それにミスリルや魔鋼やヒヒイロカネ等の素材よりも凄い素材が沢山持っているだろう。
龍の牙や角やウロコやその他諸々と今迄の素材も使えば誰も手にした事のない武器や武具が作れるぞ」
おお~し、いい事を聞いた。俺の中の中2病が疼いて止まらない。
「どうすれば、神剣や聖剣等を作ることが出来るんだ。何処で作るんだ。」
「龍王の城の屋上にそれ専用の魔法陣が書かれているからそれを使う。
魔法陣の呪文やらも、妾に任せておけ。(クックックッタクマめ、引掛り追った。これで龍王の証の剣は妾の元に戻ったも同じだフッフッフッフッ。龍王の剣は嫉妬心が強いからのう。)まあ、明日にでも作ればいいさ。」
その日、酒をたらふく呑んだシャン達であったが俺は興奮して眠れずにいた。
「神剣か〜、凄えのを作ってやるぞ、ああ〜、眠れない、龍王の城で準備をしてくるかな。」
クロは酔っ払って起きずに反応がないため、シャン達の部屋へ行く。シャンを起こそうとするが酔って起きない。その時ハクが起きてきて、眠そうな目で
「主様、どうかしましたか?」
「うん、1足先に龍王の城に行って準備をしてくると伝言を頼む。」
「ハクも行きましょうか」
「イヤ、ハクは寝ててくれ、伝言だけ頼む。」
「ハイ、分かりました。グウ〜グウ〜。」
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