第5話冒険者に登録。お子ちゃまの龍王が俺を食べに来た

街へ戻り、皆が集めたゴブリンの討伐証明の右耳と魔石を売ったところ、金貨5枚(50万円以上)になったが、殆どのお金が俺が倒したゴブリンキングの討伐証明の右耳と魔石で金貨4枚になったのである。ゴブリンの持ち物は二束三文で銀貨7枚(約7,000円)だがゴブリンキングの装備品は金貨4枚になり、トータル金貨9枚銀貨7枚(約907000円)になったのだった。それで皆(1000名)で豪遊して、1晩で全部使い切ったのだった。

飲み会に遅れて俺は空きっ腹で参加したのだが、この体はまだ酒に慣れていないようで駆けつけ三杯を、着いてすぐに飲まされてイキナリのダウンをしてしまい、途中肩を抱えられて、ゲロを何回か吐いてベットに寝かされた事以外の飲み会の記憶がない。

ちなみに、異世界では一般の4人家族が金貨1枚で1ヶ月余裕で生活出来るとのこと。金貨1枚が約10万円の価値があるようだ。物価が安いため一家族が暮らせるようだ。

12歳からは大人とみなされ、飲酒もOKである。

龍王からもらった財宝は、出さないことにした。

自分が個人的にもらったものだし、その財宝で小さな国が3つ程買えそうだし、トラブルの元となるのは分かり切っているからだ。はっきり言って自分は今は弱いので出したら必ず問題が起きるであろう。

当分はアイテムボックスの肥やしにして冒険者になって強くなってから考えるとする。

一応龍王の城に有った財宝は万が一にも、見られたら不味いので鑑定した後、バレたら不味いのは、ステータスフェイクの指輪でステータスフェイクしたら、全部の財宝を持ってないことになったのである。もっとも、自分のアイテムボックスに入れとけば誰にも分からないけど、念の為である。なので何もアイテムボックスには入ってないことにした。

次の日からは又、訓練の日々でかなり武術には自信も出てきたが、やはり魔法は覚えることが出来なかった。

魔術士長のサマンサさんに、ヤガス兵士長をどう思うか聞いてみると、とても男らしい誠実な人との良さ気な回答だったので、

「ヤガス兵士長がサマンサさんが好きで付き合いたいそうですよ」と、ストレートに聞くと顔を真っ赤にしたサマンサさんが満更でもないようなのでヤガス兵士長から成功報酬の前払いで剣技1の貫通付きを教えてもらい、ヤガス兵士長が本気で有ることを言うとサマンサさんもお付き合いしたいと言ったので、善は急げとヤガス兵士長の部屋までサマンサさんの手を引っ張って

「ヤガス兵士長、サマンサさんもヤガス兵士長が好きみたいです。お付き合いOkが出ました。」と仲を取り持ったのである。

二人は結婚を前提にお付き合いをするのだった。

サマンサさんがお礼をしたいと、家宝で秘宝とされるバフ(自身と仲間の身体能力上昇)とデバフ(敵の身体能力低下)の魔法を教えてあげると言われ、猛特訓を行ったがこれも覚えることができなかったが二人は愛を育み結婚したのだった。

3ヶ月中頃、自分には生活魔法が有るので、それを教えてほしいことを言うと、生活魔法は各家庭、個人個人で持つ魔法が違う為、教えるのが難しいとのこと。なので、サマンサさんの家に伝わる生活魔法で他では使われてない生活魔法を教えてくれる事になった。

生活魔法は、魔法の杖も呪文も要らない代わりに魔法事態は弱いのが難点で魔物討伐には向かないとのこと。生活魔法は、名前を呼べば発動するらしい。

「まず、一般家庭では生活魔法のミラーの魔法は自分の姿かたちを移し、身だしなみに使うのが普通なのだけど我が家での特殊な使い方は、相手に向けてミラーの魔法を使い、相手の放つ魔法を魔法反射させてその魔法で敵を攻撃するやり方なのね。やってみせるから真似してみてね。ミラー反転。」30cm程の鏡が目の前に現れたのである。

真似て自分もやってみる。「ミラー反転。」いきなり出来たのだった。それも自分の背丈ほどもある1.7m程のデカイ鏡が目の前に出てきた。

サマンサさんが“凄い、あり得ない”と俺の鏡を見てビックリしている。

「じゃ、もう一つも教えるわね。これは雨の日に雨を防ぐ為のもので、一般家庭では頭の上部にカーサの魔法を使って雨を弾くのだけど、我が家では体一面覆うの、その方が雨に濡れないでしょ。それに、我が家では物理攻撃の防御にも使っているの。やってみるから、真似してみてね。カーサ全防御。」すると身体から20cm程離れた膜が身体全体を覆っているのが出てきた。

真似して自分もやってみる。「カーサ全防御。」これもいきなり出来たのである。自分の身体から1m程離れた球体で、しかもミラー反転もカーサ全防御もサマンサさんのより、ハッキリしていて、硬そうである。初めての自分の力で出した魔法なので感無量である。

3ヶ月目後半に入った為、訓練を終了し、城を出るため、王室にてテラー·サン·ウエイン国王と、ミーサ·サン·ウエイン第3王女のミーサ神官長に訓練の礼を言い、暫くは街で冒険者をしながらこの街にいた後、異世界各地を見て廻りたい旨を話すと快く了承してくれて、何かあれば冒険者ギルドに連絡を入れておくとの事であった。

使い慣れた兵士の装備一式と金貨10枚と身分証明をもらい、マーベラス兵士隊長やヤガス兵士長、魔術士長のサマンサや訓練で一緒に頑張った見習い兵士達に別れの挨拶を済ませて、皆で朝まで酒を酌み交わし別れたのだった。

翌日、王都の冒険者ギルドに冒険者になるために、登録をするため、冒険者ギルドまで来ていた。

冒険者ギルドは王都の中心地にあり、3階建てのガッシリした造りでかなり大きく、幅300Mもあり、有事の際の人々の避難所にもなっているらしい。中に入ると右側に依頼板があり、そこにかなりの依頼の紙が見え、左側に食堂兼飲み屋があり、真っ昼間だというのに酔っぱらいもいる。中央には大きな受け付けカウンターがあり、5人の受付嬢が、忙しく働いている。皆可愛くてキレイで笑顔がステキな人ばかりだ。受付嬢は右から獣人、人族、エルフ族、ドワーフ族、人族と並んでおり、左側の人族が声を掛けてくる。

「どういったご要件でしょうか。」声をかけてきたのは、ピンク色のショートヘアーに胸の大きな新人さんのようだ。

「冒険者の登録をお願いします。」

「ありがとうございます。私はメルルと言います。冒険者登録は、銀貨2枚頂きます。では、こちらの用紙にご記入をお願いします。ご記入後血を一滴コチラのプレートに垂らしていただきます。そのプレートをこの水晶の下に置き水晶を触って頂きます。

これはステータスと犯罪歴がないかを調べるものです。犯罪者は冒険者には慣れません。又、ステータスにより新規登録者は、S.A.B.C.D.E.F.G.Hの9ランクの内最下位のHのランクから始めてもらいます。Dから上はテストに受からなければ成れませんし、C以上のランクの依頼からは強制力があり、簡単には拒否ができなくなります。

水晶の光具合により犯罪者では無い事を証明し、ステータスが出てきますのであくまでも目安となります。スキルは表示されません。

ステータスが低すぎると光が弱く、直ぐに死んでも困るので訓練を受けてもらい、テストに合格しなければ冒険者にはなれません。」

俺が記入した”見習い兵士訓練修了“の文字を見てからプレートと針を渡され、プレートに血を一滴垂らしたのであった。それを水晶の下に置き水晶に触るように言われ、軽く触れると太陽のように光り輝き始めてイキナリ“バキッ”と水晶が割れたのであった。

「キャッ、あれ何で割れたのかしら、故障かしら、犯罪者の反応は無しね、ステータス的には問題無いと思われますので最低ランクのHから始めてもらいます。」そう言うので銀貨2枚を渡して冒険者登録プレートをもらったのである。

プレートには、冒険者ランクHとタクマ 人族 13才とだけ書かれていて、鎖が着いており首から掛けて外さないようにと言われる。

「冒険者ランクには税金の関係で依頼を受けねばならない回数があります。Hは依頼板の金額が一番低いため、月に7回は依頼を受けねばなりません。Gは月に5回、Fは月に3回、Eは月に1回、Dは半年に1回、C以上は年に1回という具合です。

なので、皆さん早く上のランクに上げるため努力してます。依頼を問題なくキッチリ、3ヶ月程こなすとGの力があると認められてGランクに上がります。又、それ以上の実績を上げると冒険者ギルド長から認められ早めのランクUPが認められます。

Hは冒険者見習い、Gは成り立て、Fは冒険者と認められ、Eはベテラン、Dからはプロと見なされ、F以上からは村や街、領主、国からの依頼や指名依頼等が発生します。勿論金額も物凄いことになってきますので頑張って下さい。」

「はい、ありがとうございます。地道に頑張りたいと思います。」

「あと、注意事項として、敬語は止めたほうがいいです。バカにされますし、なめられてトラブルに合う事もあります。」

「分かった、直ぐには無理だろうけどがんばる。」

別れてHの依頼版を見てみる。ドブ掃除、部屋の片付け、荷物配達、子供の相手、薬草採取、犬の散歩、買い物の荷物持ち、工事現場の手伝い•••••等など沢山あり、その中から薬草採取を選ぶ。これは見習い兵士の訓練時に色々な薬草の知識を教わったからだ、場所も西門を出て目の前の草むらに生えているからだ。しかも、薬草採取は常設依頼で何時でも受けられる。

西門を出て薬草採取を始めると

「ゴミ虫めぇ~、やっと見つけたぞ、全ての力とスキルを封印された妾を置いていくとは、何たる愚か者めが、妾は今まで一度も城から一歩も外へ出たことが無いんだぞ」と声がするので振り向くが誰もいないがその声には聞き覚えがある。

「誰だ、どこにいる。」

「フハハハハハッ、妾じや、龍王じゃ」そういってマントを広げるとフード付きのマントを羽織った、ボロボロになって号泣している龍王がいた。

約一ヶ月間俺を探していたようだ。

「どうやって、ここが分かった」

「タワケめ、お前が異世界召喚されたときからお前を見て全て知っとるわい。」

「いや、俺はお前に用はないからじゃ」と言って行こうとすると

 「わ~、行かないでくれー、頼むーやっとここまで来たんじゃー」と俺の服の袖を鷲掴みにして、泣きそうな声でいい、離そうとしてくれない。

「いや、お前は俺を食うつもりなのだろう。そんな奴に関わりたくない。」

「妾の財宝を全て持って行って、何を言うんじゃ、お前はー」

「お前がくれるツーからもらっただけだ、じゃ待たな」と転移の指輪を使おうとしたところ、指輪が反応しない。???と思っていると

「フフフフフ、こんな事もあろうかと見よ」右手いっぱいについている指輪の一つを見せ言う。

「魔法キャンセルの指輪じゃ」

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