第3話ゴブリンの襲撃

村長の情報によると、ゴブリンの集落が崖の穴の中にあり、約500匹程とのことでゴブリンキングも居るだろうと立てられた作戦が、こちらの被害を最小限にする為、入口を塞ぎ麻痺草とポイズン草いう草を燃やしてあぶり出し、ゴブリンが麻痺と毒で動けなくしてから突入すると言うことになった為、アイテムボックス持ちの自分が指名され、麻痺草とポイズン草、薪と油を皆に集めてもらい、それを一括りにして大量にアイテムボックスに入れたのであった。

しかし村長が言うには「冒険者の中には女の人も何名かいたので男は食べられてしまっているだろうが、女の人は生きているかもしれないので出来るだけ助けて欲しい」と言われポイズン草は今回は使わないことにしたのだった。

ヤガス兵士長が言うには、たとえ生きていても魔物が食べる食事を無理やり食べさせられ、子を産ませるために魔物の相手をさせられるので、ほとんどの女の人は気が狂ってしまうのだとか、また狂ってない人でも殺してほしいと懇願してくるのだとか。生きていてもこの先地獄が待っているだけだから、本当は全員死んでいた方が良いと言うのだった。

村には魔物対策の3m程の木の柵が張り巡らされており、自分以外の見習い新兵100名が2グループに分かれて交互に夜中の監視役をする事になった。

50名が東西南北に10名づつ分かれて残りの10名は中央広場にて連絡係及び食事当番をやる。

東西南北には見張り台もあり、通常は村の衛兵が行うのだが今回は、見習い新兵が訓練も兼ねてやることになった。

皆安心して眠りに付いたのだが、俺は真夜中、初めての魔物討伐ということで、興奮して寝付けずにいた。人型の魔物と聞いていた為、倒すことが自分にできるか自信がなかった。

そんな時、”ゴンゴンゴン、カンカンカン“と見張り台の警戒警報音がけたたましく鳴り、「魔物の襲撃だーみんな起きろー」と声がする。

外の方で戦い、争う大きな声が起こり、その内に再度「襲撃だー、ゴブリンの襲撃だー皆起きろ、武器を取れー、」”ガキーン、ドカーン、ドンドンバババーン、“と戦う音と金属がぶつかり合う音と魔法が炸裂する音が至る所で起こる。

一緒のテントにいた他の兵士が素早く兵士の戦闘服に着替えて出て行く。

慌てて自分も兵士の戦闘服を装備して盾と剣を構えながらテントを出ると村の数件の家が燃えている。

ゴブリンのほうが奇襲を掛けてきたのであった。

火魔法と、火矢が柵の外から、四方八方から飛んできて建物やテント、人にも当たり悲鳴と叫び声で村人がパニックになり、逃げ惑っている。

木の柵の門の方、入口の方からは武器を持ったゴブリンが、“ギャー、グギャー、ギギャー”と奇声を上げて警戒で起きていた見習い新兵と戦っているが、ゴブリンの方が優勢のため、そこに加勢をするため走って行く、今にもゴブリンに切り裂かれそうな兵士を助ける為、ゴブリンに斬りつけ倒す。

兵士から「ありがとう。助かった妻と子供に永遠の別れをするとこだった」そう言われ、魔物に同情すれば死ぬのは自分や仲間、なんにも罪のない村人が犠牲になる。自分の弱気に腹が立っていた。

それからは魔物に躊躇することなく、魔物のゴブリンを倒していく。

最初こそ、ゴブリンが優勢だったが訓練された兵士の前にはゴブリンは、弱かった。

段々とこちらが優勢となると夜が空ける前にゴブリンが狼狽えて、パニックになり逃げ回っていく、おそらくは国の兵士が村に来ているのを知らなかったのだろう。

逃げ惑うのが、今度はゴブリンの方となり、ヤガス兵士長が「三人一組となり、外のゴブリンの弓隊とソーサラーを重点的に叩け、それ以上の深追いは今はするな、ゴブリンを皆殺しにするぞ」

「「「「「おおーっ、クソゴブリンめが思い知らせてくれる。行くぞー」」」」」

逃げ惑うゴブリンは一気に倒して回ったが、その後処理が大変で、火の付いた家屋やテントの消火や怪我人の治療、倒したゴブリンの処置を皆で手分けしてやって、夜が明け太陽が顔を出す頃やっと終わったのであった。

ゴブリンを150匹程、倒していたのだった。

ホッとしているとヤガス兵士長がいつの間にか指示していた偵察隊の斥候部隊の一部が戻って来て報告を行う。

「ゴブリンの血を追いかけて行った先、1km先の崖の洞穴に逃げ込みました。見たところ、かなりの数のゴブリンがまだおり、入口の洞穴には見張りのゴブリンが5匹おり、警戒しています。その中には、ゴブリンリーダーが居て指揮してます。兵士がつくまで魔物に気付かれないよう隠蔽のスキルを持つ兵士が監視しています。何時でも倒せるよう弓矢で狙ってます。」

「分かった、皆に3時間の休憩後、負傷兵を残して全軍で討伐に当たる。三人一組でこれに当たれと伝達するように」ヤガス兵士長が兵士の指揮を上げるために「魔物が集めた持ち物は、倒した奴に全部やる。皆持って行っても良い事を約束する」

「「「「「ウオオオー、ヤガス兵士長話が分かるぜ、ゴブリンは皆殺しにしてくれる」」」」」と指揮が上がったのだった。

自分ももうすぐ、兵士を辞めて冒険者になるため、活動資金をなるべく多くしたいから大賛成である。食事と休憩を取り、3時間後隊列を組みなるべく足音を立てないように洞穴のゴブリンの巣に近づく、ベテラン兵士二人に見習い兵士一人の三人一組で向い、崖下の洞穴の100m手前近くでヤガス兵士長が止まれの指示を出す。

そして自分が呼ばれてアイテムボックスから薪と麻痺草、油を出すよう指示され、再度薪の確認と新たに全員で薪の中に麻痺草を入れて油を満遍なくかけ、兵士に1人一束の薬草入り油がたっぷり染み込んだ薪を担がせ作戦の準備をする。

用意が終わる頃、斥候に出ていたベテラン兵士に合図を出して入口で見張りをしていたゴブリン5匹を音も出さずにあっという間に始末したのだった。その後斥候が中に入って確認すると、ゴブリンはほとんどが眠りこけているとの事でOKの合図を出す。

忍び足でゴブリンの巣の入口に行き、出入り口に薪を積み上げて、火を放ち燃やすと風魔法が使える兵士が風を送りたちまち入口は火の海となった。

直ぐに中から“ギャー、ギギギィー、ギャウギャウー、ギャガー”とパニクっている物凄い鳴き声が響いている。

ヤガス兵士長が指示する「残りの薪は兵士の半分に持たせて後ろに周り、煙が出ているところを同じ様に塞ぎ火を放て」

兵士は、迅速に対応して素早く動くのだった。

裏手にも煙が上がる。味方が付けた火のようであった。入口から魔物が出て来たら即座に戦えるように皆、槍、剣、弓、盾を構えて臨戦体制だ。

10分程で鳴き声が止み、後ろに回った部隊からも応援要請もない為、作戦が上手く行っているようである。

入口の薪が燃え上がるのを30分待ってから、風魔法で中の煙を取り除き、三人一組で中へ突入すると、ゴブリン共はピクピクしているので、止めをゴブリンに刺していく。中を調べると冒険者の男は骨となり、冒険者の女の人は全員狂っていた。異世界の現実を見せられたのであった。

ー ー ー ー ー ー ー

その様子を龍王が千里眼で見ていて疑問に思っていた。「妾の見立てでは、一番力を持つ者なのに何故に一般兵に混ざり、最低レベルの魔物を倒しておるのじゃ。他の勇者のように、鍛えねばいつまで経ってもここへ来るどころか、魔王すらも倒せぬと思うのだか、人間は何を考えておるのじゃ。

ウム、少しからかって退屈しのぎをしようかのぉ。フフフフフ」と龍王が楽しそうに作戦を練る。

「先ず、一人になったところでこちらに転移させて罠を仕掛ける。

先ず1つ目はこの部屋いっぱいに金銀財宝、神話級の武器、防具、魔導具等を散りばめ、コイン一個でもポッケに入れたらアウト、即座に殺す。

2つ目は妾が人に人化の術で変身して人質という設定で、丸裸の20歳位のボンキュボンのナイスバディの見目麗しき美女に化けて鎖で繋がれ、もし妾の裸に触れたら即座に殺す。

3つ目は妾を助けるために、魔物と戦ってもらうとするか。あまり力の差が有り過ぎるとつまらないから、丁度ゴブリンと戦っているから、ゴブリンキングでいいか。ゴブリンキング程度にビビリ逃げ出すようなら即座に殺す。ゴブリンキングと一対一で戦わせ、死んだらそれまで、生きてゴブリンキングを倒し、すべてをクリア出来たら妾の奴隷で飼ってやろう。フフフフフ。」

ー ー ー ー ー ー ー

ゴブリンの巣穴を念入りに調べているときだった。一つの部屋をドアを開けて入った所、目の前に魔法陣が表れ、気が付くと物凄い巨大な金ピカの建物にいる。後ろを確認しても壁になっており、出入り口はない。


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