第8話 憎しみがぶつかり合った戦い

 私も、戦わないと・・・・!


 誰にも言えないけど、私が原因で起こったことだから・・・!


 だけど、恐怖のあまり、足が動かなかった。


「バンピーロ、お願い・・・。


帰ってきて・・・・」


 バンピーロは、銃で何か所も撃たれて、怪我をしていた。

 それでも、生きているのは、吸血鬼であるおかげだと思う。


「セオリちゃん、僕は絶対に助かるから、この場を離れてよ」


 バンピーロは足を負傷して、今にも動けそうになかった。


「うちの言ったことを、お忘れで?


顔を知られた以上は、逃がさないって」


「逃げられないことなんて、承知の上だよ。


逃げられないなら、逃がしてくれないなら、戦うまでよ!」


 私は槍を抱えて、元いじめっ子のリーダーに戦闘をしかけた。


「うちは、あんたらを、世界を、許さない!」


「全部、ぜーんぶ、自業自得よ!


話を聞いた限りね!」


「うちは、理屈屋なんて嫌い!」


「私は、いつまでも過去のことばかりにこだわって、自分のことよりも、いない人のことばかり気にして、仲間の命でさえも、罪悪感を持たない君が嫌いだよ!」


 私は、負けずと言い返す。

 二度と、あの時のように我慢したりしない。


 私は、逃げることだけじゃない。

 戦う手段もある。


 私は銃での攻撃を槍で跳ね返し、ナイフも槍の刃先で折った。


「高かったナイフを、どうしてくれるの?」


「こっちこそ、大切な友達をどうしてくれるのよ?」


 私は過去にやってきたこともそうだけど、大切な人を傷つけたことを許せそうになかった。


「くっそ、強いなあ。


お前ええええ!」


「当り前よ。


ただ、守られているだけの私じゃないもの」


「佐藤は、どこだああああああ!」


「佐藤、佐藤って言うけど、過去のいない人のことなんて、諦めるのね。


どんなに探しても、どんな世界にも、手がかり一切ない人のことなんて、見つけようがないわよ・・・。


そう、私のパパと同じようにね・・・」


「うるさい!


うるさい!


佐藤が、佐藤をいじめることこそが、うちの生きがいなんだ!


佐藤のいない世界なんて、死んでるも同然だ!」


「なら、君は人としてとっくに死んでいるわね」


「お前に、何がわかるんだああ!


幼稚園の頃の快楽は、今でも忘れない!


うちは、そのためのストーカーになって、友達も犠牲にしてきた!


佐藤は、ここにいるとうちの直感が語っているんだ!」


「その佐藤って人は、本当にここにいるの?


いないんじゃない?


君の勘違いなだけで」


 私と元いじめっ子リーダーは、今は槍と銃での戦いだ。


 銃の玉が飛ぶたびに、槍で跳ね返し、元いじめっ子に全部当てていた。

 血だらけになりながらも、銃を撃ち続けるその姿は、まるで人間とは思えなかった。


 普通の人間なら、死んでいるはずだけど、なぜ生きていられるの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る