第6話 魔法学校に入学

 魔法学園には、様々な年齢の種族が通う、魔法を習得すれための学校。


 私と、バンピーロは、晴れて入学することになった。

 入学試験とかはなく、願書だけ出せば、それだけで入れる。

 人間世界の学校なら、義務教育とかじゃない限り、そんなことはなさそう。

 だけど、外国ならあるかもしれない。


 その中でも、人間はめずらしいのか、よく話しかけられる。


「もしかして、人間?」


「人間の匂いがする」


「人間がどうやって、ここにやってきたの?」


「魔力を感じないけど、魔法なんて使えるの?


落ちこぼれになりそう・・・」

 

 私は、そんなことで動揺もしない。

 だけど、問題はバンピーロだ。


「セオリちゃんは、これでも頑張っているんだ!」


「バンピーロ、いいのよ・・・。


こういうこと言われるのは、慣れっこだし・・・」


「セオリちゃんは、傷つくことがあるなら、遠慮なんてしなくていいから、もっと僕を頼るんだ。


でないと、本当にセオリちゃんが・・・・」


 バンピーロが、悲しそうな表情をした。

 もしかして、私のことを心配してくれている?


「ありがとう、バンピーロ。


でもね、この人たちは、私にひどいことをしようってわけではないと思うわ。


ただ、人間や魔力を持たない者が目の前にいることが、珍しいだけだから、バンピーロは必要以上に気にしすぎなのよ・・・・」


 まわりにいる人たちからは、ひそひそ話が始まる。


「この二人、付き合ってる?」


「入学した当初から、こんな感じか」


 だけど、私はこんなことぐらいでは、物おじたりしない。


「ただの腐れ縁よ」


 私は、静かに答えた。


「腐れ縁かあ。


いいなあ。


こういった関係がほしいなあ」


「羨ましい?」


「羨ましい。


すっごく羨ましい。


セオリちゃん、すごくきれいだし」


「ありがとう」


「髪もつややかで、瞳も宝石みたいだ。


髪留めの赤いリボンも似合っている。


どこで、買ったんだ?」


「市場の商店街かしら?


10歳の誕生日に、買ってもらったの」


「髪のお手入れとか、どうしているの?」


「これは、そこらへんで売っているシャンプーとか使っているから、特に意識したことはないかも。


髪質はママからの遺伝かもしれないわね」


 ここで、バンピーロの視線を感じた。


 やばい、嫉妬しているかもしれない。


「ナンパか?」


「どう見ても、ナンパじゃないわよ」


「君の髪も瞳も僕だけのためのものなのに・・・」


 バンピーロは、どこか悔しそうだった。


「大丈夫よ。


私は、誰かのものになったりとかしない」


「だといいんだけど」


 バンピーロは、どこか納得していなさそうだった。


「婚約者って言ったでしょ?


その話をしたことは、なかったことになったのかしら?」


「なってない!」


 私はこの時、バンピーロは子供みたいで可愛いと思ってしまった。

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