第32話、ひと工夫

このポテチ、硬い。


でもソルトビネガー味、美味しい。日本だとすっぱムーチョだけど、それとはまた違った感じ。もっとゴツゴツしているし、荒々しい食感と味付け。大人向けすっぱムーチョかな。


うーむ。油が鼻につく。古いのかな。味の奥に独特の臭みがあって2、3枚で、ギブアップ。


そうだなー。俺なら黒胡椒かな?

ちょっと味変してみよ。


ネットスーパー、ほんとに便利。

せっかくだからミル引き胡椒を購入。電動よりはやっぱり手引きかな。よし、足の間にポテチ袋を固定して、ミルを袋に突っ込んで


「あ、ほら見えてきましたあれが「星のマークの有名なバイク用具の工場直売店」です」

「え」

「何してんですか?」

「え、あ、一味足りない気がして胡椒を入れようと」

「あー、じゃあ胡椒振ったの食べさせてもらっていいですか?」

「もちろん!」


胡椒を振ってシャカシャカする。

ついでにヒーター魔法で温める。家なら油とりシートを引いて500W30秒かな?とりあえず、この固まって臭くなった使い古しの油の味をどうにかしたい。


「はい、どうぞ」

「どもです」


うん、バッチリ。

「酒のつまみ度が上がりましたね」

「とりあえず、お酒から離れようか」

「これ、うまいですね。なんか、食べすぎそうです」

「サラダに混ぜるとか?」

「あ、良さそうですね。味濃いですし。日本帰ったら2人で居酒屋始めますか!」

「いや、カフェでよくない?」


駐車場がクルマよりバイクのスペースの方が広く取られている工場の横にクルマを停める。


「で、ここは?」

「来訪者様は全くバイクは乗らないんですよね?」

「うん、乗らない」

「ここはバイク用品で有名なんですが、小物もあります。なので、ウェアとかじゃなくて財布とかですかね?」

「へー。いろいろつくっているんだね」

「はい。サンプルが販売されてたりするんで一品ものもありますよ」

「よし、なら掘り出し物探しに出発!」


おー!と付き合ってくれるタムくん。

他にクルマがいない、ガルウイング式なドアから降りた。

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