第25話、星空の語らい

「でさー」


めっちゃからみ酒だ、この人。

「そうなんですね」とりあえず頷く。


「あ、食べてる?これ、ほんと美味しい」

「そうですね」お酒弱いんだ、本当に。


ゲームみたいな星空の下で、おとこ2人とか微妙なシチュエーションなんだけど、綺麗な空気に景色に美味しいお酒、美味しい料理。


普通に気分いいし、気持ちいい。

すのこの上に寝っ転がりながら、夜風を浴びて、酒を浴びる。あー、引き受けて良かった。


3月の中旬頃にメールが突然届いてから、準備してきたし、プロフィールは見たけど、変な人がきたらどうしようか悩んだけど、思った以上に普通の人がきた。


別世界から来た人の中には戦艦買って国を作る!とか、突然「支配者が悪い!」とか社会正義を振り翳して世界を変えようとするとか。


お金もあるし、スキルもある。できないことがないから、ご自身の信念で世界を変えたがる人も過去にはいたらしい。


向こうの世界にしかないものをこの世界にばら撒いて、現代まで続く一代財閥を作り上げた方もいた。


「まずは相手の話を聞かないとわからない」

「俺は話するのは下手だけど、話を最後まで聞かないで判断はしないよ」

「人にはそれぞれ事情があるじゃん?相手が引いた線を許可なく踏み越えていいとは思わない」


この来訪者様はあまり自己主張もしない。

見た目は冷たいけど、踏み込むようなこともしないし、言えば聞いてくれる感じかな。


「イカは白ワインよりキャンティに合うかも?」

「いや、絶対ビールでしょ!!」

「ビール、常温とか、ないじゃん?」

「冷えたビールより旨み強くていいじゃないですか?」

「からあげには冷えたビール」


ほらって、魔法を使って氷を出してくれる。

魔法を使って冷やした方が早いのに、バケツに氷と瓶ビールを入れる。


「からあげにはレモンかける?」

「俺はかける派です」

「あ、ならお皿でよろしく。俺はどっちも好きなんで」

「了解です」


「それにしても、綺麗だねー」

「そうっすね」


まだ開始30分。

夜は長い。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る