第20話、温かなコールドプレート
青い縁取りの円形の皿の上には、直径がカップラーメンほどの大きさの丸いパンを半分にして作ったサンドイッチが鎮座していた。
バジルソースと茹で鳥のスライス、きゅうりとレタスが、その半円の平べったいフランスパンに挟んであり、数口分に小さく切られいる。
「バンバンジーのイタリア版みたい?」
「これ食べやすいです」
食べるのはや!?
まあいいけど。どれどれ。
パン生地は重たい目が詰まったやつ。
外側の皮はパリパリで色が濃いめ。全体的にフランスパンよりは強い。小麦の匂いはすでにしている。
口に近づけると焼いた小麦と微かなバター、きゅうりとバジルの匂い。パンは冷やしたパンを使っている。
一口。ざっくりと噛み切れる。まずは小麦の香ばしさが先に舌に触る。噛む度に味が重なっていく。鶏肉は胸肉かな?チーズみたいな感触で肉の味。混ざってくるきゅうりの青臭さとレタスの水分が、塩気の強いバターと少し酸味があるバジルソースを緩和させる。
パンはそれなりに硬くバターの味が重いけど、バジルソースが鼻に抜けていく感じは軽く、食べやすい。
「サラダみたいなサンドイッチだ」
「確かに。トマトがあってもいいかもしれませんね」
「トマトが入ると水分が多くなりすぎるのよ。食べ歩きしにくいの」
はい、代わりにトマト。
差し出されたのは少し熱いミネストローネ。
オニオンスープベースにトマト入り。具が1/4ほど入り、クルトンが浮かんでいる。カリカリなクルトンがアクセントになりスプーンが進む。
「あ、テイクアウト用でもう一人前このサンドイッチください。切ったやつで」
「あら?足りない?」
「いや、これからケーキも食べたいので、夜の軽食にしようと」
最後の一口をミネストローネで流した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます