第19話、譲れない想い
カラン
通りに面した二方向が開けたオープンテラスのカフェには、木製のテーブルセットがゆったりとセットされ、地元の方々が新聞を読んだりしながらのんびりと過ごしていた。
隣の建物との間に内階段が設けられてらいて、ペンキがところどころ禿げている淡い緑の扉を開けて、その階段を登って行った。
「また来てくれるなんて、ありがとう」
「近くに立ち寄ったのと、昨日のお礼に」
昨日と同じ部屋に通される。
そっと「みるく饅頭」を差し出す。
スキルの中に「ネットスーパー」が入っていた。
お支払いは無料。というか軍資金からの出費だった。
軍資金は俺の生涯年収より明らかに多かった。
一体、何をさせられるのだろうか。
「あら、これは何?」
「日本のお菓子でお土産物の定番なんだ」
「え?俺知らないんですけど」
たむくんを、つい見てしまった。
「お土産定番って坂角のえびせんじゃないんですか?」
このやろう、岩手銘菓を知らないのか?ままどおるといっしょにされがちだが、あれは福島銘菓だ。坂角のえびせんは名古屋銘菓だろう。親会社からの出向者のお土産定番だ。
「よくわからないけど嬉しいわ。食べて参考にさせてもらいます」
コーヒーに昨日のペースト、あとはケーキをお願いする。
「軽食は大丈夫?スープとサンドイッチならあるわよ?」
「パスタじゃないんですね」
「観光客向けにパスタも置いてある店はあるけど、パスタはトラットリアなの。ここはカフェだから軽食のパンになるわ」
「あ、ならサンドイッチとスープを軽めに貰っても?」
「あなたはどうします?」
「俺もお願いします」
「なら、先に軽食をお持ちしますね」
お水はサービスにしとくわ?熱中症予防にしっかり飲んでね?とお水が差し入れされた。
「心配されてるのかな」
「俺からもお願いします。カフェイン飲料は熱中症予防にはならないんで」
困ったな、と差し出されたスパークリングウォーターを飲んだ。
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