第4話 初戦
桃太郎と小梅は御屋形様のいる御伽村へ目指し歩いて行きます。
「村ではほとんど桃太郎としか対戦しなかったら自分の力がどれだけ発揮出来るか楽しみ」
「おそろしい女だな小梅は」
「まぁね。桃太郎もそうなんでしょ?」
「まぁね」
二人歩きながらそんな話をしていたら、前の方から悲鳴と犬の鳴き声が聞こえてきました。
「小梅、先に行くぞ」
「わかった。すぐ追いつく」
桃太郎は急ぎ走りました。
しばらくすると鬼が三匹がいて、すでに二人の男を襲った後が見えました。
鬼の姿を初めてみる桃太郎、およそ六尺(約百八十二センチ)の大きさに少し驚きますがと三匹とも角は生やしていませんでした。
鬼は角の本数によって体格も大きくなり、強さが違うと言われています。
桃太郎は薙刀をかまえ、鬼の一匹が男一人を持ち上げようと屈み込んだ時にバッサリ斬り倒しました。
他に二匹はビックリし棍棒を握りしめ、桃太郎に襲い掛かります。
棍棒を躱して二匹目切り裂きますが、その直後に三匹目が棍棒を振り下ろしてきます。
三匹目には小梅の放った矢を受けますが弾かれます。
しかし一瞬ためらったので、その隙に桃太郎が斬りつけて止め刺しました。
襲われた人たちを見ると二人とも撲殺されていました。息がありません。
少し離れた所から犬の苦しそうな鳴き声が聞こえています。
そっちに行くと犬が一匹横たわっていて、肋骨が何本も折れて重傷のようでした。
「桃太郎。この犬助けようよ」
「あぁ。助けるよ」
桃太郎は犬に手を
犬はしばらく光に包まれました。
光がなくなると、犬の肋骨は治りました。
「これで大丈夫かな」
「まったく、桃太郎の治癒術は反則よね。おかげで怪我した時はすごく助かるけど」
犬は自分の体が温かくなって変な感覚になり戸惑いました
「これで大丈夫だと思う。君、体の具合はどうかな?」
『……さっきまで苦しいかったけど、大丈夫なのかな?』
「じゃ大丈夫かな。よかった。僕は桃太郎って言うんだ。こっちの女は小梅。僕は動物の言葉が解るから話してくれると嬉しいね」
『えっ!言葉が解るの?……僕は
「君の名は
『ホントに解るんだ!凄い!……あの、助けていただきありがとうございました』
犬は嬉しくなり、桃太郎に飛びかかって顔を舐めるのでした。
「おいおい、嬉しいのは判ったから舐めるのやめてくれ(笑)」
『はい。わかりました。すみません』
「ことろで、もしかしてここで死んだ男二人は君のご主人じゃないのかい?」
月白は驚いて、二人の男の元に駆け寄りました。
『あっ!ご主人様……それに伴の方も……お願いします。桃太郎様、ご主人様たちを助けてください!』
「月白、いくら私が治癒術を持っていても死んだものを生き返らせたりは出来ない。ごめんよ」
『そんな……』
月白は気を落とすのでした。
「月白、すまないがこの辺りで穴を掘るの手伝ってくれないかい?お前のご主人さんたちを埋めてあげたいと思う。このまま放置したらカラスにやられて悲惨な姿になるからね」
『……はい。わかりました』
二人と一匹は穴を掘り、二人の男を埋めて桃太郎と小梅は手を合わせてました。
月白も大人しく伏せをしています。
そしたら急に小梅が泣き出しました。
初めて鬼と戦い、人の死を間近に見たことが今になって心に参ってきたみたいです。
「辛かったな……小梅」
「うん。だいぶ来るものがあった。桃太郎は大丈夫?」
「あぁ、悲しいけど堪えられるよ」
「桃太郎はやっぱり強いね……」
「小梅が泣いてくれたから、僕は堪えられているのかもしれないよ。ありがとう」
「……うん」
小梅が落ち着いた後、桃太郎は月白に訪ねた。
「なぁ月白、これからどうする?」
『行商で主人と共の者と旅をしていたので、どこにも行くあてはありません。もしよろしければ、桃太郎さん達に付いていっていいですか?』
「僕たちは鬼どもが占拠している鬼ヶ島へ行き、鬼どもを倒すつもりだから危ないよ」
『そうなんですか!だったら是非私を家来として連れて行ってください。死んだご主人様たちの敵討ちしたいです!』
「そうか……なぁ小梅、月白が一緒に行って敵討ちがしたいと言っているけど、どうする?」
「うん。いいんじゃない。一緒に鬼どもをやっつけよう!」
月白は喜び尻尾を振ります。
「月白、だけど家来じゃなく仲間だよ」
『はい!』
桃太郎は巾着から吉備団子を取り出し、月白と小梅に与えるのでした。
「こんな時は水盃とか交わすんだろうけど、お婆さんが作ってくれた吉備団子だ。それを食べたら僕たちは仲間だ」
月白は一鳴きして吉備団子を食べます。
小梅は桃太郎の言動に呆れながらも一緒に吉備団子を食べました。
せっかくなので、そのまま二人と一匹は弁当も食べるのでした。
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