脳筋、否、乙女也
「モモ、少しいいですか?」
外は真っ暗。くつろぎの時間。いつもなら本を読むか某かの素材を弄っているはずのニケちゃんが話しかけてきた。私は基本的に暇を持て余している人間なので、すぐにニケちゃんの方へと体を寄せる。
「どうしたの?」
「モモって、こうなりたいとかこうなれたらいいなって思うことありますか?」
「ん?」
首を傾げる。ニケちゃんの発言にしては意図を読みづらいというか、ふわふわしている。
「えーと、将来の夢とかそういう話?」
「それでもいいです」
やはり曖昧な返答をしてくる。まあ、なんでもいいけどね。雑談どんとこい。
「将来の夢かー。うーん、夢ねー」
「ないんですか?」
「そうなのかな?そういうの、考えること自体無かったからなー」
「意外です。モモは世界最強とかそういう阿呆なことを真顔で言う脳筋だと思ってました」
「いや、無理だから」
あはは、と笑いながら答える。身近に化け物がいたからか、そういう上昇志向のようなものは無いのです。
「でも、武術習ってたんですよね?」
「私は単に、拾ってくれた師匠がそういうのが得意だっただけだよ」
まあ、教えてと頼み込んだのは幼き日の私ですが。いくら頼み込んでも頷いてくれないから、勝手に見様見真似で動いてみたら怪我しちゃって怒られて、そういうのが何度も続いてようやく教えてくれるようになったんだよね。我ながら物好きというか、質の悪い子供でした。
「そうですか」
「ニケちゃんはどうなの?夢とかある?」
「無いですよ、そんなの」
「そうなの?」
「そうです」
……黙り込んでしまった。
うーん、なんでこんな話題を振ってきたんだろうかと聞いても答えてくれそうにないね。
……気まぐれかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます