明日また会えたら

夕日ゆうや

明日また会えたら

『どうか皆さん、絶望のこんにちから立ち上がってください』

『先ほどの隕石落下で100m級の津波が予想されます。皆様、どうか海岸から離れ、高台へと避難してください』

『隕石の落下位置は予測できません。最寄りのシェルターに避難してください』

『こちら隕石の破片が落下した地域です。地表がめくり上がり、家屋は倒壊しております。クレーターの外は衝撃でガラスが割れています』

 テレビから聞こえる悲しい現実に、理穂りほは恐怖している。

「大丈夫。俺がいる」

 理穂をギュッと抱きしめる。

「うん。ありがと。卓也たくや

「大丈夫だ」

「このまま一緒にいられたら」

 理穂はありもしない未来を語る。

「キミと一緒にいて、結婚して、毎日楽しい生活を送るんだ」

 家の外でサイレンや逃げ惑う人々の声が聞こえる。

「子どもは三人くらい欲しいかな」

「ははは。みんないい子に育てなくちゃな」

 海の波が引いていく。

「育てるの大変だよ?」

 津波が襲ってくる。その高さ100m。

「分かっている。立派な子にしなくちゃな」

 高台のないこの地域では逃げ場はない。

「総理大臣にしてやるんだ」

 苦笑する理穂。

 津波が沿岸から押し寄せてくる。

 家屋を吹き飛ばし、木材や瓦礫と化す。

「科学者もいいよね」

 壊れた家屋の破片がさらなる瓦礫をもたらす。

「明日また会えたら」

 耳に残る言葉を聞き、瓦礫が、津波が襲ってきた。

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明日また会えたら 夕日ゆうや @PT03wing

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