これってもしかして
夕日ゆうや
これってもしかして
遅刻しちゃう。
制服に着替えて髪を整える。
私は慌ててパンを咥えて、走り出す。
街角で何かとぶつかる。
「「いたっ」」
地面が揺らぎ、私の目の前には茶髪のサイドテールにした女の子が尻餅をついていた。
そのよく見る顔に目を
「あれ? 俺じゃん」
私の声でそう言う私の姿。
「え。誰?」
自分から出た言葉が思ったよりも野太い。
「え?」
「……え?」
「これってもしかして……」
「「私(俺)たち、入れ替わっているっ――――――!?」」
私は私の姿をした人の鞄を漁る。
「え。え?」
混乱する相手をおいて、鞄の中から手鏡を取り出す。
「うわ。本当に入れ替わっているみたい」
驚きを隠せない私たち。
鐘の音が聞こえてくる。
「「あ。学校!」」
私たちは急いで学校へ向かう。
「俺は
「私? 私は
走りながら質問し合う。
「クラスはB」
「俺はC」
情報を交換しながら、学校に着く。
しかし事件は起きた。
「トイレトイレ」
と私は女子トイレに飛び込む、と……。
不審者を見る目が注がれる。
私は慌てて男子トイレに駆け込む。
慣れないなー。
それにしてもどうやってするのだろう?
個室に入ったはいいものの、私にはないものがある。
どうすればいいの?
便器の隙間から溢れるおしっこ。
「ええ! これじゃダメなの!?」
「お前なんで女言葉使っているんだよ」
外から友達の
なんだか男友達って変な関係。
きっと生田くんもそうなのかもしれない。
そう思うと恥ずかしさで顔が熱くなる。
その後もいくつか問題があったけど、なんとか一日を終えることができた。
一応、生田くんとは連絡先を交換していた。
『生田くん、そっちはどう?』
『なんだよ。この家庭環境。嫌いになるわ』
『でしょ。最悪なのよ……』
生田くんの家は温厚で静かな環境だ。
少し物足りなさを感じるほどに。
そんな生活に慣れてきた頃。
遅刻しちゃう。
私は慌ててパンを咥えたまま、自宅を出る。
曲がり角で誰かとぶつかり、視点が変わる。
私はまた入れ替わったのだ――。
これってもしかして 夕日ゆうや @PT03wing
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