No.4 あれっ、この職業ハズレだろ!

 次の日、僕はFダンジョンに潜るための準備を行う。

 まず初めに行うのは、自身のスキルの確認だった。



 ♡♡♡♡♡


「ダイスロール」

 MP2  アクティブ

 

 ダンジョン内、特定の条件内で使用可能。

 サイコロを召喚する。出た出目により効果が変わる。


【サイコロの出目の効果】

 1の目:

 相手に固定ダメージ100を与える。


 2の目:

 自身のHP・MP以外のステータス上昇させる。 効果時間はダンジョンを出るまで。効果は重複する。 倍率変化する。


 倍率変化⇒1回目は、1.1倍に強化されたステータスになる。

     2回目を出すと、数値が1.1倍から1.2倍に変化する。

     3回目以降も同様に変化していく。

 (小数点以下は切り上げ)


 3の目:

 自分のHP・MPを100回復する。


 4の目:

 アンラッキーなことが起こる。


 5の目:

 現在の自身のHPを1にする。


 6の目:

 〈呪い;ダンジョン脱出不可〉を自分に付与する。

 ダンジョンの最終階層ダンジョンボスの撃破により解除される。


「コイントス」

 MP:5  アクティブ


 戦闘中に1度だけ使える。効果時間は戦闘が終了するまで。


 表:相手の全てのステータスを半減させる。

 裏:自身の全てのステータスを半減させる。

 (小数点以下は切り捨て)


「ポーカーフェイス」

     パッシブ 


 精神系の状態異常を無効化する。

 表情を変化させることが難しくなってしまう。


 ♡♡♡♡♡


 THEギャンブラー。ハイリスク・ハイリターンである。

 僕はスキル説明欄を見て、頭を抱えてしまった。


 なぜか頭を抱えているこんな状況でも、表情を変化させることができなかった。

 これはきっと『ポーカーフェイス』のスキルせいなのだ。代わりに、すごく冷静にこれからの自分自身のことを考えることもできたけどね。

 その最中ふと思う。昨日、冒険者登録に行ったとき冒険者協会で出会った、美人の華吹さんと冷静に話ができたのは、このスキルのおかげだったんだと。

 僕だって男だ。可愛い子と話したい思うのは当然だ。

 ただ、冷静にかっこよく話せるかどうかは別だ。普通だったら話しかけることもできなかったと思うよ。本来の僕は....


 冷静になって考えた結果、僕は「この職業ハズレだろう!」と叫んでいた。


 昨日の夜、僕は両親に頭を下げて冒険者になる宣言した。それを突然やっぱり辞めると言うことはできなかった。いくら考えても他にいい方法が思いつかず、ダメだったら辞めようと一回ダンジョンに潜ってみることにした。



 ☆☆☆☆☆☆



 次の日、僕は直ぐに行動した。

 母の車を借りて、実家暮らしによる利点の1つ『あまりお金を使わないでも生活できる』により、2年働いて貯めた貯金を持って、冒険者協会に勧められた内の1つ、冒険者の装備品を売るお店に向かった。


 普段着のままダンジョンに潜るのは嫌である。それに、武器もちょっと良いのが欲しいなぁと思っていたりもしていた。


 装備品を売るお店に着いたので入店する。警備員がいるので冒険者カードを見せる。刃物や危険物、高価なものがあるため、お店に入るには冒険者であることを証明する冒険者カードが必須となっている。


 僕はまず始めに初心者用の武器コーナーを見に行った。


『鉄の剣』1万5000円

 STR+3

『鉄のナイフ』1万2000円

 STR+1

『弓』と『弓矢10本(鉄の鏃)』のセット 1万円

 STR+1 弓矢ダメージ+2

『鉄の槍』1万5000円

 STR+3


 初心者用だからな。たいして高くないし、強くもない。

 金銭的な余裕はあるので、もっといい武器が欲しい。

 ここは素通りして、奥のケースに入っている武器たちを見る。


 しばらく眺めていた中、僕は1つの武器に興味を持った。

 僕の目に止まったのは短剣。


『ラッキーラビットの短剣』

 STR+2、LUK+5

 スキル「クリティカル時ダメージ上昇:武器」


 ラッキーという名が気になった。僕の職業は『ギャンブラー』。普通に考えると運に左右される職業だ。

 気になったので、値段を見る。そして、驚いた。(表情は動かないけどね)


 値段は77万7777円。もう、ギャグだろ。他の武器の値段を見れば、普通の値段設定だ。ケース中に入っている武器はどれも性能がいい。値段もそれなりだった。


 そんな中この値段である。気になりすぎてしまったので、お店の店主に聞いてみることにした。


「あぁ...それなスキルはいいんだけど、初期武器と変わらない性能だろ。別にLUKが上がっても意味ないからな。見た目が良いから、コレクション用の武器として売り出している。値段はうちの店員が遊びでつけたんだ。」


「そうなんですか。それより、LUKって重要じゃないんですか。」


「冒険者のLUKって、意味ねぇんだよ。レベルが上がっても元のLUKが0の奴は、ずっと0のままだしな、LUKが0か1の奴が多いんだ。それのおかげで、LUKが上がっても恩恵があるのか無いのか分からねぇからなぁ...意味がねぇんだ。」


 そんな話を聞きながら、僕は少し考える。


 レベルが上がれば、レベル0の時のステータス数値分だけ上がる。レベル0の時のステータスの値は人それぞれである。その中で、0のステータスを持つ人は、レベルが上がってもそのステータスは永遠に上がらない。そんな現象がよく起こるのがLUKである。


 それで僕は、ふと思う。僕のLUKは5だったよなと。

 謎の『補正+2』があるが、それを除いても最低3は確定で上がる。


 僕のLUKは異常だ。たった3の数値だが、世の中に僕と同程度のLUK値を持っている人はいるのだろうか?それにもしかしたら、5の数値が正しいのかもしれない。

 僕はそう結論づけると、LUKについての謎を解明することが、僕が冒険者として大成できる道筋でないかと思うようになった。働いてきた2年間をベット賭けるする。『ギャンブラー』の職業の名に恥じない挑戦的な買い物をすることにした。


 その後我に返り、貯金の半分以上を武器に使ったことを反省しつつ(後悔はしていない)、店主お勧めの装備とダンジョン用のバックなどの小道具類を見繕ってもらった。






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