第20話 死
「神孫子様。それは本当でしょうか…」二人は死んではいないが神孫子の手の中でぐったりしている。「ああ。さっさと帰れ。」「・・・ありがとうございますっ!」涙がこぼれそうになる。二人を家に連れてきたり、家の中を探検することを止められなかった私の責任と思い、頑張って戦おうとしていたが、怖かったのだ。「二人を、返してください。」ほっとしてたのんだ。だが、神孫子から放たれた言葉は、「何を言っておるのだ。許してやるのはお前ひとり。準じて帰れるのもお前ひとりだ。」一度、助かる、みんなで帰れるとなまじ思ってしまったので、心が追い付かない。「え」やっとのことで一言発した。「当たり前であろう?いや、お前は新任か。教育が足りないのであろうな。教えてやろう。たいていの場合、天国に来た、ただの人間は帰れぬ。待ち受けるのは死だ。」知っていた。お祖父様と神孫子さんに1、2週間前に聞いたばかりだ。だけど、神孫子さんの言葉に期待して、忘れようとしていた。「さあ。帰れ。」私がそのまま帰れたらどれだけよかっただろう。神孫子には勝てない、無駄死にする必要もない、と割り切って帰ることが出来たら。けれど、このまま帰ったら一生後悔する。何度も「ああなんであの時残らなかったのだろう」と思うだろう。帰ったらお祖父様の目がまともに見られなくなる。「わたしは…二人と一緒じゃないと帰らないっ!」声が震えないようにするのが精いっぱいだった。「命を無駄にするな。お前に罪はないと私が許してすぐ、罪人をかばい立てするようではお前も罪人の仲間入りだぞ。」「…いい。私は、最後まで戦う!」そうは言っても神圧で動けず、動けたとしても斬れなさそうで、斬れたとしても死には至らしめることは不可能だし、無理だ。死ぬ以外の選択肢がない。じゃあ逃げればと言っても、私のせいでここに来たと言っても過言じゃない二人を置いて逃げられない。ただでさえ神圧で動けないのに、二人を抱えて逃げるなど、無茶にもほどがある。もう、ほぼ諦めていた。「はあ。考えは変わらぬか。仕方あるまい。新しい守り人を殺すのは気が引けるが…この世界で殺すときの作法の神気の退けも終わった。これで処刑を行っても、神気は穢れぬ。仕方あるまい。自分で選んだ道だ。」神孫子はそう言い放ち、私に近づいた。(ああ、私死ぬんだな)そう思った。死ぬんだなと思うと、殺される前から、意識が遠のいた。どんどん視界がぼやけて…意識が消えて…
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