第27話 その先は北国であった・・・

 ボス部屋の奥にあった階段を下りた先はなんと・・・雪がモッサリと積もった雪山のようであった。


 しかも、山の中ではなく、平原のような場所のようだ。


 「・・・いやいや、これは無いだろう・・・」


 俺はかなり呆れを含んだボヤきを漏らし、この先の行動を思案するが・・・


 「寒っ!?」


 あまりの寒さに身震いしながら元の部屋に戻ってきた。


 俺は靴をチェックして、


 「・・・おぉ!?全く濡れてないのはかなり有り難いな・・・とりあえずスノーウェアに着替えるか・・・ただなぁ・・・動き辛いのがネックだなぁ・・・」


 俺はそんな事をブチブチ文句言いながらスノーウェアに着替えた。


 スノーウェアを用意した理由はダンジョンだからだ、それ以外の理由は無い。


 何が起こるか分からないのがダンジョン、だからありとあらゆる可能性を考慮して、アイテムボックスの容量と共にダンジョン対策をしてきたが、正直ここまで季節感を無視する事は無いだろうと思っていたが・・・


 「見事に宛てが外れたな・・・」


 これは勿論悪い意味で、という事になる一応日本の北国では雪が降るので雪山用の装備一式は揃えてあるが・・・


 「悠二の奴と喋っていた冗談が現実になるとか・・・はぁ〜・・・アレがフラグって言うやつか」


 この雪山用装備一式はダンジョンに潜る前に悠二の奴と相談して揃えた物だが、初期レベルのアイテムボックスだと大分邪魔になるので実家に置いてあった物だ。


 だが、こうしてアイテムボックスのレベルがMAXまで上がった事で、晴れてアイテムボックスの品揃えの仲間に入ることになった。


 「地球に現れたアイテムボックスのスキルも、ゲーム、漫画、ラノベよろしくの時間停止機能も付いちゃてる優れものですよっと・・・」


 まぁ、スキルレベルをかなり上げないと効果が付かないようだが・・・鑑定が10レベルぐらいなのに、アイテムボックスは20レベルぐらい上げたからな・・・幸い、アイテムボックスに物を入れて運んでいるだけでスキル経験値を得る事が出来るようだからそこまで苦労もしなかったが・・・


 「でも、5P以上はSPを多く使ったな・・・まぁそれでも一切後悔はしていないが」


 しっかりとスノーウェアで身を包み、内ポケットにカイロをinして俺は再び階段を降りた。


 「・・・やべぇ、真っ白だ・・・確か方位磁石も用意してアイテムボックスに・・・あった!」


 改めて降りた六階層は雪がモリモリと降っており、粉〜雪〜とかヤケクソに歌いたくなるくらい降っていた。


 「止めろよ・・・冬にバァちゃんに遊びに行って大寒波食らった時の事を思い出すじゃねぇか・・・」


 その時の一日の平均積雪が3メーターを越えるほどの大雪が一週間続いたのだ。


 おかげでその時はただ雪掻きをして終わった事を憶えている。


 因みに理那はまだ小学校に上がったばっかりの頃だと思った。


 「・・・ここはダンジョンだからな~・・・モンスターもいるよな~・・・不意打ちに気をつけながら進むか」


 俺はアイテムボックスからピッケルと先端が尖ったフラッグを取り出してロープを括り付ける。


 「・・・おし、しっかりと刺さってるな」


 一本目のフラッグを降りてきた階段付近にしっかりと刺して俺はロープを引き伸ばしつつ雪中行軍を開始した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る