第23話 早速、周回開始
理那に上野動物園跡地に車で送って貰った俺は早速駐屯地に入り、ダンジョンの入口まで進んでいった。
ダンジョンの入口に石碑のようなモノが出来ているが、まだ誰もその効果を知らないようだからギリギリまで秘密にしておく。
そして、俺はその秘密にしておきたい石碑に手を翳すと、
『ダンジョン五階層に転移しますか?』
脳内に声が響き、その声に肯定の意思を示すと俺の視界は白光に包まれ、あまりの眩しさに目を閉じる・・・それと同時に浮遊感を感じた。
だが、それは一瞬の出来事で・・・目を開けるとボスフロッグを倒した部屋の先に俺は佇んでいた。
俺はとりあえずセーフティーエリアに野営準備を始めた。
とは言ってもテーブルとイスに後はガスコンロを置いた程度だ。
そこで軽く軽食を食べた後にもう一つの扉の方を調べる。
その先は遠目に見ると、やはりこちら側の反対側、つまりボス部屋の入口側に繋がっているように見える。
俺はこの扉が閉まって開かなくなる事を予想しながらも、確認のために進む。
すると扉は一人でに閉まり、やはり開かないようだ。
「これでボスが出てきたら周回確定だな」
そう考えた俺はボス部屋の入口に立って扉に手を当てる。
すると、最初の時と同様に重厚な音を響かせながら扉が開き、俺はボス部屋の中に入った。
「今は・・・10時前か」
俺は時間を確認して正午までこの調査という名の周回をすることに決めた。
そして、また最初と同じように上から落下してくる物体を確認した。
その正体はやはりデカいカエルだった。
「・・・もしかしたらレア個体とか出てくるかもと思っていたが・・・いや、後で考えよう」
俺は最初と同じように加速を使って即座に接近した。
「挨拶のガゼルパンチ!!」
勿論、攻撃も同じモノだったがしっかりと当たった。
「グゲェェェェ!!?」
最初に倒した時にレベルアップした感覚があったからそのせいで威力も上がっているようだ。
前よりも飛ぶ距離が長く感じる。
それでも俺は構わず前進してカエルとの間合いを潰すが、やはりカエルに魔法を使われた。
今回は無数の巨大な水球がカエルの周囲に降ってきたので、落ちてきた水球に合わせて跳躍して回避しつつカエルの頭上を取る。
「波動撃!!」
カエルに回避行動を取られると面倒なので空中から波動撃を放ち、カエルの動きを縫い止める。
俺はそのまま動けないカエルの頭上に着地して、
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
カエルの頭をタコ殴りにした。
「グゲゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!?」
すると、暫くしてカエルが静かになったので、一旦距離をとって地面に着地する。
「・・・おっ!?アイテムボックスに回収出来るな!」
俺はカエルが回収出来るのを確認してそのままカエルをアイテムボックスに回収した。
そして、今回も部屋の中に宝箱が出てきた。
「やっぱりこれボス部屋のボーナス的なモノなのか?」
だが、初回だけではなく周回してもボーナスを得られるのは良い点だと思っておこう。
そう考えながら俺は宝箱の中身を確認する。
「・・・うむ、やっぱりこれか」
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アイテム名 白月草
全ての病に対して効能がある薬草だが、単体だと何の効果も持たない雑草にしかならない。
特殊な薬の触媒の一つ。
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目的のモノだった薬草が手に入る事を確認出来た俺は、直ぐ様ボス部屋の先に進み、もう一つの確認事項を確認した。
「・・・うん、イスもテーブルもコンロもそのままだな」
俺はモンスターの死体がダンジョンに吸収される事から、下手にダンジョン内で野営をすると、野営道具を吸収されるのではと危惧していたのだが、杞憂に終わったようだ。
「・・・もしくはセーフティーエリアかサークル内ではないと野営出来ないとかあるのかもな・・・まぁ、何にせよまだデータが足りないし、確実に安全だと思える訳ではないからな・・・正午まではこのままにしておくか」
あのゲームなどで一定時間の時間が過ぎるとアイテムが消える謎現象は今の所モンスターの死体でしか起こっていない。
しかし、それもドロップアイテムのようなモノがその場に残るので正確に消えると言っていいのかも分からない感じだ。
「・・・はぁ〜、ヤメヤメ・・・こういうのは他の奴に任せるに限る・・・理那か誠の奴がその内説明してくれるだろう」
今、名前を出した誠という人物のフルネームは、
古武道剣術の有段者で、自身も師範の役職について警官や自衛官の武術指導をしている。
因みに本人も元自衛隊員で左官以上の階級だったらしいが、俺はよく分からなかった。
俺がアイツの事で分かるのは、誠は昔からかなり強いという事だ。
何回か若気の至りでぶつかっているのだが・・・確か、全部引き分けだったか邪魔が入るとかで決着らしい決着がついた事はなかったんだよな。
しかし、脳筋な俺に対して誠はかなり狡猾な部分もあり、俺と悠二、弘文に後一人の五人で一緒に無茶をする時はアイツは参謀役で仕切る事が多かった。
只し、それは最初だけで基本的にアイツは俺と一緒に真っ先に突っ込んで行くタイプだったが・・・因みに、立ち回りなんかは弘文と悠二が受け持っていた。
「・・・我ながら若気の至りというのは思い出すと悶えたくなるな・・・」
悠二や弘文と違って、俺は特にヤンチャをしてた訳ではないのだが、それでも多人数に対してかなりの無茶をしていたから、その度に理那が救急箱を持ち出して全員の傷を消毒して廻っていた。
あの時の理那を含めた六人の視線は、男ってバカねと言わんばかりの冷めた視線だった。
丁度、幼馴染六人でウチに泊まりに来ている時に問題を起こしたから、もう大顰蹙でした。
因みに、今は悠二の嫁の瑠花が理那達六人と仲良くなった時も俺達は色々とやらかしている。
その事についてはまた今度語らせてもらおう。
そして、俺は三度ボス部屋に入り、そのまま周回してカエル狩りを始めた。
それは何の想定外も起こらず予定通りに正午まで続けられた。
周回ラップタイムは移動に三分、倒すのに五分、ボス部屋から出た時にコンディションの確認に二分の時間を掛けて、全部で一周するのに掛かる時間は大凡十分の時間で周回出来た事により、全部で十二匹のカエルを狩る事に成功した。
因みに俺の体調と体力的なモノは超余裕でした。
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