第15話 五階層ボス部屋

 ダンジョン内で野営をした翌日、俺は体調を確認して探索を再開した。


 エネミーサーチのスキルを使用すると沼の中にもモンスターがいる事が分かる。


 どのようなモンスターかは分からないが、沼に入る事は危険だと判断して沼に入らないように探索する。


 トラップサーチのスキルも使用しているがどうやらこの階層にはトラップの類は無いようだ。


 「となると、問題はどんなモンスターか?っていう話なんだが・・・」


 そんな事を考えながら探索を続けていると、あからさまな宝箱があった。


 「またモンスターか?」


 そう考えながら木の棒を取り出して宝箱を突く。


 だが、反応はなかった。


 「・・・トラップの反応も無し、なら、とりあえず前と同じ感じで・・・」


 俺はそう考えて棒で宝箱を開けた。


 中に入っていた物は・・・


 「靴?」


 いい感じにスタイリッシュなデザインと色合いな冒険靴だった。


 俺は鑑定のスキルで靴を調べる。


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 アイテム名 ブルーレイクシューズ


 装着者の全体に防汚効果、防腐効果、防劣化効果を施す効果がある魔法靴。

 水に入っても服や靴が濡れなくなる効果がある。

 サイズ自動調整機能も付いている。


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 サバイバル時に以外と無視出来ない、いや、結構欲しい効果を持っている靴が手に入った。


 「これなら沼の中を探索しても問題無いし、サイズも調整機能が付いてるなら全然大丈夫だな!」


 少々テンションを上げながら俺は良さげな岩場を見つけてそこで靴を履き替える。


 「ゲームみたいに防御力が上昇・・・するわけ無いな、特殊効果の方に目を向けよう」


 そう言って俺は沼に爪先を少しだけ入れてみる。


 「・・・本当に濡れないし中に滲みてこない・・・足首まで入れても冷たさは感じるけど服が濡れる感じはしないな・・・この靴、多分凄い靴だぞ!?」


 俺ははしゃぎながら足を引き抜きここからの探索を考えようとした所で、


 バシャア!?


 沼から急に何か飛び出してきた。


 それは青い色合いをしたカエルのようなモンスターだった・・・尻尾が生えているし、柴犬並みにデカいがカエルだ。


 「カエルの未成熟個体か?」


 俺は相手の動きを油断なく構えて迎撃姿勢を取る。


 カエルは膨らんだと思うと水を吐いてきた。


 俺は素早くそれを躱して間合いを詰めるが、カエルはそれに合わせてこちらに尻尾を振るってきた。


 だが、俺はそれを叩き落としてガラ空きになった胴体に拳を叩き込む。


 闘気と気功によるバフ効果によって高まった威力を持つ拳はカエルの胴体を爆ぜ飛ばす程の威力を発揮して今回の戦闘を終えた。


 「・・・一応、無惨な殺し方になってしまったが鑑定をしておくか」


 そう考えて俺はカエルの亡骸に鑑定のスキルを使用した。


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 モンスター名 ブルーフロッグ


 ビッグフロッグの幼生体で水属性の魔法を操る。

 水中での戦闘時は周囲の水も武器に成り得るので戦闘時には周囲の状況把握は必須である。

 肝に薬効成分があり、解毒効果が微弱にある。


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 「・・・でも、内蔵思い切り破裂したしな・・・とりあえず、ダンジョンに取り込まれるのを待ってみるか?」


 ダンジョンに取り込まれる事で、何かしらのアイテムが出てくる事があることは把握しているので、今回はそちらを試してみる。


 結果、カエルの肝と魔石が手に入った、それ以外は特に素材としての価値が無いようだが・・・


 「一応、持って帰ってみれば何かしらの用途は出てくるかもしれないな・・・」


 次は破裂しなければ持って帰ろうと考える俺であった。


 あの後、陸の上から行ける所は全て踏破したが下りる為の階段は見つからず、いよいよ沼に足を踏み入れて探索する必要が出てきた。


 だが、探索の途中でエネミーサーチを使い、カエルをなるべく陸の上に引きつけてから仕留める事が出来ていたので、沼の中にいるブルーフロッグは三匹だけとなっている。


 この三匹を含めるとこの階層のカエルは40匹いる事になるが・・・


 「・・・自然界とかの繁殖とかそういうのを考えると多いのか少ないのか分からないな・・・いや、多分総数では大した事では無いけど、一箇所の繁殖規模だと多い可能性が高いな・・・しかも見た感じ個体差が殆ど無い気がする」


 俺はそんな事を考えてから沼に足を踏み入れた。


 足を踏み入れた沼の深さは大凡、膝小僧ぐらいまである感じで当然足が捕られる。


 ゆっくりと足を進めながら闘気と気功のスキルを発動させてモンスターに近づくと、奥に階段があるのが目視出来た。


 それと同時にカエルが沼から飛び出すように浮上してきた。


 沼に身体が隠れているので正確には分からないが青い個体よりも一回り以上大きい気がする。


 俺は敵が有利なこの状況で様子見など一切せずに初手からブチかました。


 「波動撃、連射ぁ!!」


 沼の水を弾き飛ばしながら俺は波動撃を連射しながら少しずつ前進して陸に近づく。


 カエル共も荒れ狂う沼の中を泳ぐ事が出来ないのか少しずつ後退して陸の上に上がった。


 その瞬間に俺は波動撃を狙い撃ち、カエルを陸の奥に追いやる事に成功して、俺も陸の上に上がった。


 「・・・やっぱり水の中にいるとダメージがあまり無いようだな」


 結構直撃している筈だが、カエル共は平然とこちらを見ている。


 すると、沼の方から魔法で水を吸い上げて水球をこちらに散弾のように飛ばしてきた。


 俺は咄嗟に波動撃を放ち、弾幕の真ん中に空白を作り、真ん中のカエルが吹き飛んだ事を気にせずに左右のカエルを容赦なく殴った。


 ジョブスキルの三倍効果と闘気と気功のバフ効果は恐ろしい効果を発揮してカエルを絶命させた。


 吹き飛ばしたカエルがまだ生存しているのは分かっているので、また魔法を使われる前に追撃してそのまま仕留めた。


 適正ジョブのスキル効果は非常に頼もしい。


 ゲームだと中層を探索出来る能力値ぐらいにはバフ効果によって上がっているが、ここにいる俺は現実だからな・・・しっかりとレベルを上げて進んで行こう。


 そろそろ俺のステータスは初期値の十倍になるが、まだまだ安心は出来ないとしっかりと思い直して階段に近づいた。


 今回の階段の周囲には何も無いのでこのまま下りる事にした。


 下りた先には昨日も見つけたセーフティーサークルを見つけたが、少し雰囲気が違うので鑑定して確かめてみる。


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 エリア名 セーフティーエリア


 消える事が無い安全地帯、モンスターが近寄る事も出来ず安全に休める。


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 そう書いてあったのを確認してから俺はテントの設置を開始した。


 セーフティーエリアから少し奥の方を見ると巨大な扉のような物が見えた。


 「・・・明日は初のボス部屋だからな、しっかりと休息をとってから挑めるようにしないとな」


 そう言って俺はしっかりと食事をしてテントの中で身体を休めた。

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