第13話 四階層目は沼があります

 俺は三階層から下りてきた階段の前で時間を確認する。


 時間は凡そ三時を廻ったところだ。


 「・・・このあたりで野宿するのに適した場所を探すか・・・おや?」


 何やら不思議な雰囲気を纏った石柱群がある。


 「異世界にもストーンサークルはあるのか?」


 俺はこの場所を鑑定してみる。


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 鑑定結果 セーフティーサークル


 ダンジョン内に稀に生成される休息地帯、それ以外でしっかりと休息出来る場所は5の倍数で現れるボスフロアの周囲のみ。

 尚、エリア内に人が入って24時間経過とともに消失する。


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 この鑑定結果に俺は少し悩んだ、この階層の下にも休息をとれる場所があるからだ。


 だが、俺は今回休息する事を選んだ。


 「レベルアップしたから色々と確認しておかないとな」


 そう言って俺はステータスを出す。



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 帝 拳信


 レベル 16


 筋力 128


 反応 130


 敏捷 126


 器用さ 124


 魔力 55


 SP 1


 スキル

 闘気

 気功

 波動撃

 破邪

 加速(New)

 先駆者(New)

 鑑定

 エネミーサーチ

 トラップサーチ

 アイテムボックス


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 俺は今回は新規で加速のスキルを修得し、先駆者のスキルは気づいたら修得していた。


 先駆者のスキル効果は成長補正だ、全てのステータスの成長にボーナスが付くようだがどのくらい付くかは鑑定の結果には表示されなかった。



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 スキル名 先駆者


 時代の先駆けする者に与えられるスキル、自身と共に行く仲間の成長に補正が掛かる。

 尚、このスキルは人の意志で修得する事は出来ない。


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 もう一つ新しく追加で加速の方は文字通りに直進スピードのアップだ。


 停止の方も少し難しいがどうにかなっているので今のスキルレベルのまま使用していく事にする。


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 スキル名 加速


 直進する力を増大させるスキル、これにより超速の踏み込みを体現出来る。


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 この説明文から察するにステータスが低いとスキルに振り回される可能性があるスキルのようだが・・・まぁ、俺は使う事が出来たのでオッケーという事にしておこう。


 残りのSPは鑑定とサーチ二種類にアイテムボックス、それと闘気にSPを振り分けた。

 

 現在アイテムボックスの保存機能はかなり高くなっており、昨日自販機で買ったジュースがまだ冷たかった事からこれからの生野菜などの保存や肉の保存などに期待が持てるので、これからもアイテムボックスをしっかりと育てていきたいと思う。


 闘気のスキルは今回SPを振り分けた事で俺のステータスを1.7倍にまで引き上げる事が出来るので、後0.3倍効果が上昇するまで使い込むか次にSPを振り分ける時に上限に達している事だろう。


 後はマッピング系のスキルが欲しいが残念ながら俺の新規修得のスキル項目にそれは無いので相変わらず俺は手探りで探索を続けるしかないようだ。


 俺は自分の能力を再確認した後に本日のご飯を用意して頂く事にした。


 本日のお肉は二階層で手に入れたデカい角を持ったシマウマと兎を山程焼いた。


 予め買っておいた日持ちするレトルトの野菜スープを片手に鍋でしょっぱく炒めたお肉と一緒に頂く。


 ここで出てくる一言は・・・


 「・・・米が食いてぇなぁ~・・・パンなら日持ちするのがまだあるんだが・・・米か・・・鍋で炊いたりも出来るみたいだからちょっと調べてみるか?」


 モソモソとパンを頬張りながら俺はこれから先の事を考える。


 何をするにしても食事は大事なモノだと俺は知っているからな、だから食事の質には出来る限り拘ってアイテムボックスに入れている。


 「今回のレベルアップでアイテムボックスの容量も質も上がったから、今回の探索結果で得た報酬でもうちょっと食料をアイテムボックスに入れてから次の探索に行く事にしようかな?」


 現在の俺のアイテムボックスの容量の上限は不明だ。


 途中まで、大体大型のトラックぐらいまでの大きさまでなら感覚で分かったんだが、今はそれ以上で多分下手な倉庫よりもずっと大きいと感じるだけである。


 今の俺なら飛行機も収納出来ると感じるぐらいアイテムボックスの存在感は増している。


 そんなこれからの事を考えてると思い出す。


 「理那りなの奴・・・やっぱり怒ってるよなぁ〜・・・あんな伝言だったし・・・絶対に私を誰だと思ってんの!?医者だよ!?兄貴が判断するんじゃなくてアタシが判断するの!?とか言われるわ・・・間違い無い」


 それは母を病院に入院させる連絡を入れた実の妹の、帝 理那みかど りなの強烈な性格と正しく天才というべき才能についてだった。


 「・・・確かにアイツなら母さんの病気の治療の足掛かりを創る事は出来るだろうが・・・完治させるのはどう考えても難しいだろうな・・・時間が足りな過ぎる」


 せめて後3年ぐらいの時間があれば、理那なら多分特効薬を造り上げてみせるだろうが・・・ダンジョンの素材も不十分な今の状態ではきっと難しいだろう。


 理那は自分の才能と実力を自覚していてきっちりと出来る事と出来ない事を分ける。


 だから、もしアイツが自分の母親を治療出来ないと判断した時に、アイツがどこまでも傷付いて苦しむのが分かっていたから、俺は母の面倒を叔父さんに頼んだ。


 「・・・でも多分、アイツ今頃意地でも治すって言ってめちゃくちゃ研究してるだろうな」


 そんな事を考えると少し笑ってしまった。


 「・・・なら、俺は兄貴として素材をじゃんじゃん送り込む事にしようかね」


 そう考えた俺は組み立てたテントに横になって身体を休めた。


 翌朝、荷物を片付けて進んだ先には沼が広がっていた。

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