第5話 今回のダンジョンは前述の場所です
叔父に母の事を頼みに行った翌日、俺は上野動物園跡地に辿り着いていた。
ここには自衛隊と警察が駐屯地を作っており、一般人がイタズラにダンジョンに潜る事を防いでいる。
ダンジョンが出現した当初、こういった警戒が薄いダンジョンに突撃取材を敢行して、本当に殉職したマスコミが複数出た為に、ダンジョンの前には警察と自衛隊が周囲を固める事になった。
それから無謀な行いをするマスコミが出る事はなかったが、一階層ぐらいなら電波が届く為、お茶の間にスプラッタシーンを上げてしまったテレビ局もあるくらいに当時の世間は浮き足立っていた。
因みにこの上野動物園跡地もそのスプラッタシーンを撮影してしまった場所の一つだ。
角の生えた兎に貫かれて動けなくなった所を捕食されていた。
捕食された者の断末魔と末路が当時のテレビにしっかりと映ってしまった為に、今のテレビは平均視聴率が5%も届かないらしい。
下手に映してスプラッタシーンが出てくるかもしれない事を考えると当然かもしれない。
迷惑行為もそれはそれで問題だったが、血が映るテレビはもっとダメだろう、という考えで今の世の中だと見るのは基本的に動画という事になっている。
そんな時代の流れを思い返しながら俺は駐屯地のガードマンに声をかける。
「すみません、ダンジョンに入りたいんですけど・・・コレが許可証です」
俺が駐屯地の隊員にダンジョン探索の許可証を見せると、
「許可証に問題は無いようだ、だが、ここから先は大変危険だ・・・それでも行くのかね?」
「あぁ、ダンジョン病を治す為の手段はもうそこにしかないんだからな・・・悪いが通らせてもらう」
自衛隊か警察か分からないがなんとも言えない悲痛な表情を見せた後に、
「・・・そうか、貴君の武運を祈る!!」
その場所にいた隊員たち全員が俺に敬礼をしてくれた。
俺は戦士の花道を歩き、ダンジョンに入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます