第2話 ダンジョンを探索する前に

 まず最初に現在の地球がどのようになっているのか、その部分について説明しよう。


 現在は西暦2087年4月、桜が咲き始めている頃だ。


 まず3年前にダンジョンが発見された時に、世界中からありとあらゆる物が消えた。


 それは食料などの物資だったり、或いは鉄などの資源だったり、更には野生動物だったりと多岐に渡った。


 その結果、世界では一時冷戦状態に陥っていたが、それと平行して世界各国がダンジョンの調査も行っていた。


 勿論、日本も調査を行っていた。


 この時、調査を行った場所は上野動物園跡地、この場所にいた動物達は全てダンジョンに飲み込まれたとされており、当時は完全にもぬけの殻で園内に謎の入口が出来ていた事が騒動になっていたそうだ。


 他にも発見されていたそうだが、日本政府はこの一箇所にしか調査の手を伸ばさなかった。


 これが利権によるものなのか、それとも二次元というジャパニーズ・カルチャーからくる慎重さなのかは分からないが、この時の日本政府の判断はとなった。


 この調査に赴いた調査員は警察と自衛隊から選りすぐりの40名が選ばれており、凶悪犯程度であれば為す術もなく制圧する事が出来る精鋭達だった。


 その精鋭達が戻ってきたのは3日後、生存者は僅か3名だった。


 生き残った彼らが言うには三層目まではすんなりと行けたらしい。


 問題となったのは四層目からだそうだ。


 何が問題になったのか、それはトラップの存在だそうだ。


 続けて問題なのが、所謂ゲームで言うモンスターの存在なのだが一層目と二層目は危険なのは変わりないが小動物サイズだが、三層目にライオンか虎のような大きさで、四層目からはカメレオンのように擬態するモンスターや、トラップに掛かった所を不意打ちしてくるモンスターが多くなり撤退を余儀なくされたそうだ。


 この事実は一般人が無謀を起こさないようにすぐに民間に周知された。


 そして、その後すぐにある現象が世界中で起きる事となった。


 それは個人身体情報可視化現象、通称ステータスオープン現象である。


 これはほぼ全ての人類が個人で引き起こせる現象で、文字通りに自分の身長や体重、筋力などの身体能力とかの情報を数字として目視する事が出来る現象である。


 そして、この地球にという概念が誕生した瞬間であった。


 その事とダンジョンでの調査結果から今回の物資消失現象をと呼ばれる程の災害として世界中に認知される事となった。


 そして、その辺りから原因不明の病が流行りだし、現代医療では治療出来ずに不治の病として世界を震撼させた。


 この病はダンジョンが発見されたのと同時期に発症された事を踏まえてダンジョン病と呼ばれるようになった。


 俺の物語は母がこのダンジョン病に患ってしまった所から始まる。

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