第六章:Day of the Soldado/怒火辺界・毒災者
(1)
「姉さんッ‼」
「姐さんッ‼」
突き飛ばされた「鋼の男」は……ゆっくりと立ち上り……一方、突如として現われたもう一体のチート鎧は……。
しかし、私には……別の声が気になっていた。
「な……なんで……? ここに……?」
声の主は……私のうっかりミスのせいで行方不明になっていた妹弟子のイルゼと、元ランキング2位のチームの偽
「姉さん、もう2度と……あたしがいいと言わない限り……魔法は使わないで下さい」
「そりゃ、いいけど……」
「でも、その御蔭で、応援を連れて……」
ドゴォッ‼
私達が、そう話してるすぐ
「すまんが、世間話は別の場所で頼む。君達を巻き込まないか心配で、全力が出せん」
2人目のチート鎧がそう言った。
「は……はい……」
いや……でも……全力出してないのに「鋼の男」をボコボコにしてるでしょ……と言いたくもなったけど、一応、そう答えた。
「あと……ついでで良いので、一般市民の避難誘導を……」
そう言ってる2人目のチート鎧に向けて「鋼の男」が強烈なパンチ……。
でも……あっさり払われ……。
単に払われただけじゃない……。
2人目のチート鎧は、攻撃を払っただけなのに、「鋼の男」は宙を舞い……。
「う……うそ……」
しかも……どんな攻撃でも、傷1つ付いた事のない「鋼の男」の手首から……血が……。
ガシャン。
その音と共に……2人目のチート鎧の腕に出現していた隠し武器の刃が消える。
「一般市民は見当らないので……避難誘導は不要か……」
2人目のチート鎧は、そう独り言をつぶやく……。
そ……そうか……。
2つの鎧が……ほぼ同じモノなら……一方の武器で、もう一方の装甲を貫けても不思議じゃ……。
「おのれッ‼」
今度は「鋼の男」の両腕に刃が出現。
ええええ?
今まで……あいつ、手加減してた?
全力を出してないのに……あんだけの大虐殺をやったの……?
「あ……あの……応援……どこから呼んで来たの……」
「姉さんのテレポーテーションの魔法で飛ばされた先です」
私達は、とんでもない大喧嘩に巻き込まれないように逃げながら、そう話した。
「って、どこ?」
「そもそも、どこに飛ばす気だったんですかッ?」
「えっと……」
「『えっと』って何?」
「その……」
「その……ともかく、俺達は変な所に飛されちゃったんですよ……。姐さんの魔法で」
「だから、どこ?」
「あの……笑わないで下さいね」
「へっ?」
「冒険者オタクで吟遊詩人志望か芝居の脚本家志望の十代前半の育ちはいいけど頭は空っぽで独創性
「だから……どこ?」
「『
「な……なに……それ?」
「だから……あの人達は……無数の世界の様々な時代を巻き込んだ戦争をやってる軍隊みたいなモノで……あの『鋼の男』の鎧は……その戦争の為に作られた兵器の1つが、偶然、この世界に漂着したものらしくて……」
「は……はぁっ?」
「あの……」
「ご……ごめん……笑っていい?」
「だから、あらかじめ、笑うなって言ったんですよ」
「なに、それ? 冒険者オタクで吟遊詩人志望か芝居の脚本家志望の十代前半の育ちはいいけど頭は空っぽで独創性
「あの人達も同じような事言ってました。どこの世界に行っても『ちゅうにびょう』だとか『えむしーゆーかえふじーおーのぱくり』だとか言われるって……」
「それ、どう言う意味?」
「ぐわああああ……」
そう訊いた瞬間……手足に出来た無数の切り傷から血を吹き出してる「鋼の男」が……うそ……始めて見た……あいつが逃走してる姿。
「さぁ? 何か馬鹿にされてるらしい以外は……あたしにも良くは……」
背中の装甲の一部が開き……そこから蒸気のようなモノを吹き出し……その勢いで……。
けれど……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます