(4)

「お前達、いい加減にしろ〜ッ‼」

 再び、魔法の拡声器による怒鳴り声。

 しかし……怒鳴ってるのは……。

「そ……そんな……」

「マズいぞ、これ……」

 武器・鎧・馬、全てがすんごく上等そうな、結構な数の騎士達。

 どうやら……国王直属の精鋭部隊のようだ。

「国王陛下よりの布告である。よ〜く聞けッ‼」

 騎士団のリーダーらしいのが、魔法の拡声器を使って、かなりの範囲に聞こえるような大声を放つ。

「昨今の冒険者および冒険者ギルドが起こした騒動に鑑み、今後、我が国では、冒険者ギルドおよびそれに類する組織の存在は許さない。冒険者を稼業とする者は見付け次第、惨殺し、その死体は晒し者にする」

「ふざけんな〜ッ‼ 今まで冒険者ギルドが、王宮にどんだけの金を貢いだと思ってるんだ〜ッ‼」

「黙れ。今、この場でギルドを解散せねば……お前らは全員、見付け次第、問答無用で殺していい凶悪犯だ。既に、魔法の印刷所に、主要な冒険者どもの手配書の印刷依頼も済んでいる。とっとと冒険者を廃業して、正業に就けッ‼ それが、お前らの身の為だぞッ‼」

「そんな無法が有ってたまるかッ‼」

「黙れッ‼ これこそが国王陛下の御意志であり、国王陛下の御意志こそが、この国の法であるッ‼」

「向こうは徹底抗戦するつもりみて〜だけど……俺達、どうする?」

「え……っと……日和見かな?」

 魔法の拡声器で、騎士団と罵り合いをやってるのは……大通りの反対側に居る自称「冒険者ギルド最高幹部」の皆さん。

 こっちの自称「冒険者ギルド最高幹部」の皆さんは……穏健派のようだ。

 多分、穏健派と過激派の分かれ目は……たまたま「魔法の拡声器」を持ってたかどうかで……こっちの爺さんたちも、騎士団と罵り合いをやってたら、その内、ヒートアップして過激派と化してた気がするけど……。

 どうすっかなぁ……。

 私は……自分じゃ……冒険者は廃業してるつもりだけど……ギルドの登録は抹消されてないみたい……ん?

 その登録の記録って、どこに……。

 ああ、そうだ……この際だ……。

 と、思った次の瞬間……。

 轟音と共に、騎士団のリーダーの頭が砕け散った。

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