(2)

「あと何人スカウトしたか知らないけど……」

「姉さん、酒の飲み過ぎで1桁の暗算も出来なくなったんですかッ?『鋼の男』討伐チームは7人です。暗号名コードネームは『選ばれし7人マグニフィセント・セブン』って言ったでしょ」

「最初に……その話聞いた時より……頭がマトモに働くようになったからかなぁ……?」

「何が言いたんですか?」

「馬鹿っぽい名前」

「ギルドの偉いさんの趣味です」

「私だったら、7人に見せ掛けて、『鋼の男』が、その7人全部殺して油断してる所を、8人目がグサっと……」

「グサっと……って、あの鎧のどこをグサっと……姉さん……」

「どうかした?」

「だから、姉さん……」

「何? あ、ルーカスくん、お酒おかわり」

「へえ、今……」

「この店で、一番強いのを一番大きいジョッキに満タンでお願いね」

「わかりやした」

「ね……姉さん……」

「何?」

「何やってんですか?」

「お酒飲んでんの」

「飲んじゃ駄目ですッ‼」

「でも、飲まないと頭が冴えないの」

「今、頭が冴えても、その内、エラい事に……」

「もうエラい事になってるし……第一、私、長生きするのも面倒なんで……。酒びたりになって、傍から見りゃみじめかも知れないけど、私としては、さっさと楽に死にたいの」

「駄目だ……こりゃ……」

「うん……もう私、駄目人間。こんな任務にスカウトしたのが間違い」

「判ってんですか? 冒険者なんて、誰もなりたがらなくなったら……」

「それ、ギルドの都合でしょ? 何で、もう冒険者じゃない私が気にする必要が有るの?」

「あ……あんた、妹弟子の安定した仕事が、どうでもいいって言うのか、このクズ人間ッ‼」

「うん……。で、一つ思い付いたんだけど……」

 と、私が、そこまで言った時……。

「あの〜、暗号名コードネーム選ばれし7人マグニフィセント・セブン』の集会場は、ここでいいんですか?」

 その声と共に、酒場に入って来たのは……。

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