一章『流砂の国と百智の契約者』
第1話 繁栄の裏に影在りて
どうもどうも。
はじめましての方は初めまして。
私のことを
とにもかくにも自己紹介から始めよう。
私の名前はマリア。しがない冒険者ギルドの一職員。
冒険者ギルドとは、その名の通り冒険者に仕事を
なんで武闘派集団なのかといえば、それはすべて魔物の存在によるもので、人間の生存圏――それこそ、長く歴史のある町や村は安全なんだけど、そうじゃない、新しく開拓しようとしている土地にはたくさんの魔物が住み着いてることがあるんだ。
そんな危険いっぱいな場所を切り
さて、そんな冒険者たちに仕事を
きっかけは、かつて最強と
それが一年前の話。それから半年かけてゆっくりと13層の
そして、
こんなに冒険者がいては、すぐにダンジョンのリソースが
今ではそんな冒険者たちが作り上げた道によって、
ただ――
「……あの騒ぎに、ソロモンバイブルズがいてくれればなぁ」
「ちょっとマリア! その話は
「ご、ごめんごめんシルヴィア。もう言わないから」
「噂好きなあなたがそのもう言わないを何度守ったことかしら……」
同じ受付嬢のシルヴィアに起こられてしまった、ソロモンバイブルズという言葉。この冒険者ギルドにとって、この言葉は既に禁句となっていた。
13層を
リーダーを含めた、構成員三名が謎の
ただ一つ言えることは、エルモルトとコルウェットという二人の冒険者が消えたことで、あのパーティーは解散したということだ。
それは逆に言えば――13層を開拓した英雄といえども、一歩間違えれば
だって、冒険者にとって行方不明というのは、そのまま死を意味しているのだから。
現在、13層を拠点に(宿泊施設や
集まって来た冒険者たちの中には、ソロモンバイブルズのメンバーに匹敵する戦闘力をもつ人もちらほらいて、そもそも解散したソロモンバイブルズのメンバーも、
そんな彼らの、半ば
ただ、
それだけ、安全地帯を作り出すのは難しいというわけで、それこそかつての居なくなってしまった〈
「おーい、受け付けってここであってるか?」
「はい。冒険者ギルドにようこそ。冒険者登録ですか? 依頼ですか?」
「ああ、えっと……マリアさん。久しぶりだな」
「え、久しぶりって……あれ? なんかその顔どこかで見おぼえが……」
考え事をしていたところに受付に現れた一人の男。ローブについたフードを深くかぶっていて、何とも怪しげな様子。だが、私はギルドの受付嬢。どんな人間が来ても対応するべし。なーんて考えて対応してみれば、彼は私の知り合いだったらしい。
こんな怪しい知り合い私に居たっけ? 私の知り合いなんて、腹黒い同僚か
「え、もしかして……ルードさん?」
「そうだよ。元ソロモンバイブルズのルード・ヴィヒテン。あ、生きてたってことは隠しといてくれないか?」
私の前に現れたのは、一年前にダンジョンで行方不明になっていた、ソロモンバイブルズのメンバーの一人、ルードさんだった。
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