プロローグ①
目が
「……うーん? あれ、私……生きてる?」
起きて最初に思ったことは、私が生きているという事実に対する
記憶に間違いがなければ、私はあの補給員の女(名前は知らない)に胸を
「あ、起きてる。おはよー」
「ああ、おはよ……う?」
「あれ、どうしたのコルちん。そんなに
「きゃああああ!!」
ちょ、どういう状況よこれ! 起きたら私を殺した女が目の前にいるとか……まさかここってあの世――
「
「あ、ルードちん。コルちんが起きたよ」
「ルード! ちょっとなんであの女がいるのよ! ってか、私死んでなかったっけ!? 何よこの
「あーあー、そうだなそうだな。ちょっと落ち着いてくれコルウェット。
「うわああ! ごめんごめん今消すから動かないで!」
「コルちんが起きたばっかりなのに
起きたばかりなのだというのに起こってしまったボヤ騒ぎを
ダンジョンボスとの
冒険者としての
それに――
「何かしら、これ」
私は私自身のスキルの
ルードに渡された〈
本来ならば、生まれ持って所有していた〈
●〈スキル開示〉
・名:コルウェット・ムジナ
・保有ジョブ
〈
・保有天賦スキル
・〈
・〈王の器に連なる者〉
とりあえずルードに相談してみたけど、その時彼は頭を
「ちょっと待ってくれ。まじかよ……」
なんて頭を抱えながら、彼の持つ〈王の器〉なるスキルのことを教えてもらった。バラムとの戦いで私の〈
こういった未知のスキルは、教会にでも行かない限りはっきりとした効果がわからないのよね……。そして、このダンジョンにそんなところがあるはずもなく。結局はよくわからないままという
ただ――
「連なる者、ね」
彼のスキルと繋がるスキル。
ただ――
「おい、旦那様。新しい特訓だが……」
「すまんすまん、忘れてたわヴィネ。んじゃ、詳しい話はまた後にして、病み上がりだからゆっくり休んでろよ、コルウェット」
あのヴィネとかいう悪魔! 何よ旦那様って! まさか……まさか、あの二人って結婚してたりするのかしら!?
うぅ……気になる。でも旦那様って言ってるしなぁ……。
「そこの
「ひっ……」
「あ、ちょっとナチュラルに引くのやめてくれない?
「な、
「やっぱりそうだよねぇ……ルードちんがおかしいだけか」
悩む私に声をかけてきたのは、補給員の女――もとい、バラムという悪魔だ。ただ、私はどうも彼女に慣れない。いやまあ、一度殺されているのだから当たり前だけれど。
「ルードと一緒にしてほしくないわね」
「あっはは、言えてる~」
正直、こうして話しているだけで体が
「私はね、君と話がしたくてここにいるんだ」
「話……?」
「うん。まずは殺しちゃってごめんね。奇跡的に助かったとはいえ、流石に過ぎたやり方だった。だから――うん、ごめん」
なんとも素直に
「怖いんだったら離れるし、
「……そ、うね。
「ありがとう」
やっと出て来た私の言葉に、彼女は
「もし、私に慣れてくれたのなら――話を聞いてほしいんだ。私たち悪魔の目的と、ダンジョンが存在する理由。それと――私との
「契約?」
「うん、そうだよ。この世界に存在するからには、あらゆるものが
確かに、彼女の言うことは大事なことを
「私はヴィネに消えて欲しくない。そして、あの時私の前に立った君も、ルードには消えて欲しくない。この話は、あの二人を助けるためのものだと思ってくれればうれしいかな」
それでも彼女は言うのだ。
あれほど殺そうとしていたルードを、今度は助けるために協力してくれと。いったいどんな心変わりがあったのか――私の内なる恋心が上げている
「いい、わ。その話乗ってあげる。今すぐじゃなくても、いつかでも、それがルードの助けになるのなら――私は、命を救われた
嘘だ。
正直に言えば、
だけど――
「私は強くなる。今度は――今度こそは、ルードの
あはは、おかしな話だ。
何時かの昔に足手まといと私はルードを突き放したくせに、今になって彼の隣に立つことを私は望んでいる。
恋とは恐ろしい。
「わかった。それじゃあ契約を――」
「あ、まって。やっぱりまだ契約とやらはあとにしてくれないかしら……ちょっと、近づかれると
「それ地味に傷つくからやめてって言ったよね!?」
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