第28話 我が花道
『
ソロモンバイブルズに
それでも彼女が一流冒険者と言われる
そこに
だからこそ、彼女は特別であり、英雄であった。
そしてそれは――
「……生き、……てる……っ!!」
この戦場においても変わらない。
コルウェットは――私は、生きていた。
おそらくは花騎士三体分の壁が上手く
面で襲い掛かって来たあの攻撃は、間違いなく私の全身に
だけど、私は生きている。まだ、魔法を使うことができるんだ。
「だったら、やるしかないでしょ……!!」
そうすればいつか、たどり着けるはずなんだ。お母様が、そう教えてくれたから――
「花騎士!」
消えてしまった花騎士を、一人だけ再召喚する。触れたら
そんな花騎士に抱えられて、私は動けない体で無理矢理動いた。
―AA!!?
おそらくは私を殺したと思っていたのだろう銀色の魔物が、
「うまくいった!」
私は、空へと舞いあがった。
即席で
この魔法は、ここ172層に落ちて来た時、落下から身を守るために使った『
あの時、私は落ちていく体に対して、真下に魔法を放った。すると、魔法の
『
そんな
「ここならあの音波攻撃も的を
私が召喚した花騎士は一人だけ。なぜならば、すべての魔力をあの銀色の魔物のとどめに使うためのものだから――
「落ちる
――それはあまりにも強大な魔法だ。
上位魔法を詠唱破棄し、
「――今、ソレは降り注ぐ『
空から
―LAAAAA!!
「くっ……!」
流石の魔物もこれはたまらないと
あまりにも広すぎる狙いに、威力はそれほどのものでもなく、花騎士一人の守りでも問題なく耐え切れた。しかも、だ。
「ハ……ハハッ! 流石は私、消えてない!」
私の放った『
地上の被害は
「これで終わりなわけがない」
私の短くも
だから――
「行くわよ、花騎士!」
私の言葉に、こくりと花騎士がうなずく。その動作に意思が存在するのか私は知らない。でも、昔からこうなのだ。魔法から作り出された命のない召喚物に過ぎないのに、彼らは私の騎士として
ならばこそ、私は彼らの主として――花と炎の姫として、この花道を突き進むだけよ。
燃え
「穿ち貫け――〈
本来は
まき散らされる火炎ではなく、力の限り収束されたレーザービーム。そしてそれは――
「この距離なら外さない!」
それは、花騎士の速度によって限りなくゼロに近づけられた距離から放たれる。
それはまさしく必殺の一撃となって、名も知らぬ銀色の魔物の頭に花を咲かせたのだった。
「……勝った?」
沈黙する魔物。丸焦げとなった街の中心部で
こみあげてくる感情が
「勝った……勝った!」
勝利の喜びは言葉となって、私は私を抱えてくれた花騎士へと振り返った。
「勝ったわ!」
はっきり言えば、
それもこれも、この最後の時まで私を守ってくれた花騎士が居てくれたからこそ。だから私は、役目を終えて消えていく花騎士を前にして、お礼を言った。
「ありがとう」
そんな私の言葉に
「……?」
その扉は開いたんだ。
終わりの扉が――
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