第27話 コルウェットという少女
「……〈
私の言葉に合わせて炎が咲く。これが私の天賦スキル〈
炎の花を咲かせるスキルであり、その特性は炎の維持にある。本来、火属性の魔法は
だから、普通の魔法使いよりも、一つの魔法に使う魔力が少なくて
それは上位や高位魔法を扱うときも同様であり、火力の
「魔力さえあれば、勝てる……!」
火力だけは誰にも負けない自信がある。どういうわけか、ここに来てから調子がいいし、今なら花騎士も五体までならいけそうだ。
だから、だから――
「道を開けなさいよ!!」
―RAAAAAAAAAAAAA!!!
私は、見たこともない魔物に向き合った。
あまりにも
あの口の
気味が悪い。
でも、私は負けられない。
だって――
「お母様の期待に応えないといけないのよッ!」
私は、あの日誓ったんだから――
◆◇
コルウェット・ムジナの半生は、まるで奴隷のようだった。
ただ、裕福な家庭はできる限り最高の教育を
そして、そこでコルウェットの天賦スキルは明らかになった。
魔力消費を抑えることができる魔法系スキル。それも、火属性魔法の威力を
そもそも、天賦スキルの所持者は一万人に一人しかいないとされており、もちろん外れスキルも多い。そんな中さずかった強力な天賦スキルを見た彼女の母親は――
「いい? コルウェット。あなたは強くなるの。誰よりも、何よりも。強くなって、強くなって、強くなって――その名前を歴史に残すのよ。ジーナ・ムジナの娘として」
母親は、自らの地位を向上させる道具として娘を見た。
冒険者という
その目的はもちろん名声である。有名人の妻という
そして、次に彼女が求めたのは、英雄の母親という肩書だった。
夫ですら持ちえなかった最強の天賦スキルを持つ娘ならば、と彼女はコルウェットに対して期待したのだ。
様々な魔法を覚えさせ、多くの戦い方を学習させ、あまたの
毎日が習い事の日々に休む
まるで親の人形のような日常。それが、コルウェットの半生だ。それは、彼女の母親が病気を
ただ、それでも――
「いい、コルウェット」
「はい、お母様」
「立派になるのよ。あなたは、私の娘なんだから」
「はい……お母様……ありがとう、ございました」
ジーナが息を引き取ったその瞬間、コルウェットの目から涙が
ああ、そうだ。そうなのだ。
自分の
だから彼女は
立派になれと自分期待してくれた母親のために。顔も見たこともない父親のために。天国にいる二人にも聞こえるぐらい名を広めようと――
誰もが知る英雄になると。
◆◇
「〈
私の声に合わせて、
―IAAAAAAA!!
身の毛もよだつ
「……いや、
だけど、花騎士の
なら、あの男が言っていたことも、やっぱりあの男が私をここに近づけさせなかったのは、力を与えないためだった?
いいじゃない。ここを乗り越えれば、私も――
「――っ不味!」
私も強くなれる。そんな期待を胸にしたその時、確かに私は油断していた。してしまったのだ。
―LAAAAAAAAAAAAA!!
それは、回避不可能の
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