第2話 僕が魔法警察になったわけ

僕は魔法警察になった理由。



それはリリの失踪だった。



リリは俺の幼馴染みである。

小さい時にリリは両親を亡くしたから、俺の家で暮らすことになった。



リリはすごかった。

魔法学校は普通9年か12年で卒業するけど、リリは6年で卒業した。

先生曰く、かなり優秀で飛び級をした。

家でも学校でも本を読んでいたからそこから自主的に魔法を学んでいた。



将来の夢は世界一の魔法使いになること。



難病を治す魔法薬を作ったり、生活がさらに良くなるような魔法を開発して、たくさんの人を幸せにしたい、って。


周りはリリのことを天才、と呼んでいた。

中にはよく思わない連中もいたけど。



もちろん、リリには弱点があった。

それは体が弱いこと。



小さい時はしょっちゅう熱を出して、何度も病院に入院して、その度に俺はお見舞いに行っていた。

生まれつき心臓が弱いのと、喘息持ち。


手術をして、心臓はだいぶ強くなったけど、体力がないかつ喘息持ちだから外で遊ぶことはできず、学校の体育の授業は受けられなかった。

先生も知っていたから、体育は成績に入れていなかった。



それでも、リリは優しかった。

だからその分、1人で抱え込んで、無理してたんだと思う。



現に3年前、リリは失踪したから。



行方不明になる前日は普通に過ごしてたんだと思う。

俺が違和感に気づかなかっただけかもしれない。

そして、次の日の朝リリはいなくなってた。



魔法警察に捜査依頼しても、見つからなかった。

けど、戸籍上生きている、らしい。


魔法界の戸籍は、その人が亡くなると自動的に「生きている」から「死亡」に変わる。

僕ら人間や戸籍管理者が書き換えるわけではない。

あくまでも管理者は戸籍を守るだけ。



どこにいるのかさえ、わかれば。



いなくなった時、僕は魔法学校9年生(中学3年生)だった。

その年から魔法警察になるためだけに、勉強と魔法を頑張った。

10年生(高校生)になると、就職するためにコースを選ばないといけない。

警察だから僕は法律コースにした。


成績がすごく悪い、ってわけじゃなかったけど、飛び級はしなかった。

一刻も早く見つけたいって思いはあったけど、見つけるためにしっかり残りの3年分は3年間勉強しておきたかったから。


飛び級できるのは本当にすごいことだけどね。

けど飛び級すると、速いスピードでやるから俺は追いつけなかったと思う。


そして、去年は学校の勉強をしつつ、魔法警察試験の勉強もした。

大学というものはなく、18歳の時点で生きるために必要なことは全て習う。

すぐに何かに就職する必要がある。


それで、魔法警察に何とか就職できて、今は街の交番で働いている、ってわけ。



どうやら、リリ以外ではなく他の人たちも行方不明になっているらしい。

ここ調べていてわかったらしい。


俺の担当の街でもあるから、一応失踪事件の捜査にも協力している。

就職したばかりだから、大きな仕事は任せてもらえない。


それでもいい。


リリが見つかる手がかり、居場所さえ見つかれば良いんだ、今は。


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