第1話 魔法警察の朝

――『ねえ、リリの夢って何?』


『わたしの夢?……うーん、世界一の魔法使いになること、かな』


『世界一、の?』


『うん。魔法で世界中の人を助けたいの。例えば、難病の薬を作ったり、新しい魔法を開発したり』



自分の夢を語るリリはとても眩しい。

……それなのに。

それなのに、どうしてっ……!



「みゅっー!!」



パタッ



(……何なんだよ……)

もっふもふのなんかが顔面に落ちる。

わしっとそいつを掴むとそいつはじたばた暴れる。


「みゅっ~!!!!」


「……わかったからじっとしろや!」


しかたなくベッドから起き上がり、こいつを解放する。


「みゅっ」


ぴゅーんとどっか行った。

……ったく、朝から何なんだよ……


「ああ、やっと起きたじゃんリョウタ」


奥からショートの女子が出てくる。

腕には今さっき俺を叩き起こしたあいつがいる。


「……あいつのせいでな」


イライラしてあいつを指さす。


「みゅんみゅんありがとね、寝坊助さんを起こしてくれて」


「みゅん!」


「……朝からだるい」


「さっさと支度したら?」


なぜか睨まれる。


「分かってる」


あんたは俺の世話係じゃないし。

朝から疲れさせんなよ……



洗顔、朝ごはん等を済ませて今日も仕事が始まる。

仕事机の上に二台のパソコン、たくさんの資料、何冊かの分厚い本。


「あんたって仕事になると雰囲気変わるよねー」


さっきのショートの女子が笑いながら俺の隣に座る。


「うるさい」


紹介が遅れたが、俺はリョウタ。

本当はリョウタロウだがなぜか周りはリョウタと呼ぶ。

18歳だが、魔法警察というところで働いている。


そして、俺の隣に座る女子は警察学校が同じだったかつ同僚のカナ。


「みゅん!」


カナの膝の上には見るだけでイライラするもふもふ野郎がいる。

カナは「みゅんみゅん」と呼んでいるが本名は「ミル」。


「みゅんみゅん、今から仕事だから寝坊助さんの邪魔はダメだよ」


「みゅんっ」


「その呼び方はやめろ」


「えー寝坊助なの事実じゃん」


「みゅんみゅん!!」


「うるさい」


「「みゅんみゅん!!」」



「みゅんみゅんみゅんみゅんうるせえんだよ!!」



こんな感じで仕事は始まる。

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