想うところ(三)
腕組みをしたマサオミ様に向けて、
「……最低でも四人なら、確実に増やせる方法が有るよ」
突然マヒトが発言した。マサオミ様が興味を持った。
「ほう、どうするんだ?」
「
「
マサオミ様は顎に手を当てて考え込んだ。
「
マサオミ様の唇の端が僅かに上がった。笑ったのか?
「ヨロイのオジちゃん、いいひと」
俺にしがみ付いていたランがもぞもぞ動きながら言った。
「さいしょこわかったけど、いいひと。またあいたい」
「いい人……か。はん、大人と違って子供は、素直に物事の本質を見れるもんだな」
マサオミ様は目を細めて今度は完全に笑った。何故かとても嬉しそうだった。
「いいだろう、
笑顔のマサオミ様は俺達の顔を見た。
「おまえさん達はどうだ? やはり抵抗が有るか?」
「私はマサオミ様の決定に従います」
ミズキが即決し、セイヤも続いた。
「俺も。トモハルって奴はまだちょっと信用できませんが、
名指しされたマヒトがあわあわと
「お、俺をし、信じるのか!?」
「だっておまえ、二回も俺達のピンチを救ってくれたじゃん。この隊にも馴染んでるし」
「うお、そ、そうなのか……」
「エナミ、おまえさんの意見は?」
俺は答えに困った。
「イサハヤ殿が善い方だということは存じ上げています。できることなら協力し合いたいです。ですが、イサハヤ殿が俺を拒絶するかもしれません」
「おまえさんが
ハッキリ言われるとキツイな……。
「その通りです。俺はイサハヤ殿に何も話せていませんが、後で合流したトモハルさんの口から、俺が仇であると伝わっているはずです」
「おまえさんだって、そのトモハルに討たれているじゃないか」
「そうだよ、だからアイコだよ、気にすんな!」
「でも俺、親切にして頂いたのに何も言わないまま別れたんです。まるで騙したみたいで……」
「だったら尚のこと、
? マサオミ様はイサハヤ殿の人柄について詳しいのだろうか? カザシロの戦いで対峙する前に、軍事演習で一度会っていたと聞いたが……。
「イサハヤ殿に謝る……」
そうだな。みんなの生存率を上げる為には、
「そうします。みんなで
「よし、決まりだな。今日はもうすぐ日が暮れるから、明日の朝一で動くぞ。みんな早寝をしておけ」
「はい!」
俺達が返事をしたところで、案内鳥が帰って来た。すっかりランの傍が奴の定位置になっていた。
「よお、お疲れさん。新しい魂はどうだった?」
『うん……』
マサオミ様の問い掛けに、鳥は重い口調で答えた。
『落ちて来た魂は
「九人とはすげぇな。そいつらに
『いや、聞かれなかったから黙ってた』
黙ってた? わざと?
「何でだよ。
『いや、彼らがあまりに異質だったから……』
鳥はランの方を窺った。嫌な予感がした俺は、ランに声を掛けた。
「ラン、また難しい話になるからヨモギとあっちで遊んでおいで」
「むずかしいおはなしキライ~」
ランはとてとて歩いてヨモギの傍へ行った。賢いヨモギは遠くへは行かず、しかし会話の声が聞こえない程度の距離へランを連れて行った。
それを確認してから案内鳥は見て来たことを語った。
『彼ら、仲間同士で殺し合いを始めたんだよ。それでやられた四人分の魂が下の階層へ落ちた』
「え……」
おいおい。同士討ちとは穏やかじゃないぞ。
「何でそんなことに?」
『判らない。ただ、殺される寸前に、相手に向かって裏切り者とか叫んでいた』
「裏切り者ねぇ……」
マサオミ様は何か心当たりが有るのか、あまり驚いていなかった。
「やだ、怖い……」
トオコが眉を
『だから僕、キミ達のことを紹介する前に、新しい魂をもう少し観察するべきだと思ったんだ』
鳥は鳥なりに、俺達のことを心配してくれたようだ。確かに同士討ちをするような物騒な奴らに、こちらの情報を渡してほしくない。
しかしいったい、
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