為にならない人物紹介① ~桜里の兵士編~

 登場人物が増えてまいりましたので、ここで人物紹介を挟みます。作中に出てこない隠し設定も記しています。


 『流寓人リュウグウビト』はダークな世界観を持つ作品なので、執筆開始時は完全シリアスでいく予定でしたが変えました。筆者である私が無理でした。鬱展開が長く続くと、書いている本人も精神的にダメージをくらってしまうのです。

 物語はシリアスとユーモア、6対4くらいの割合で展開していきます。




◆エナミ(17)


 主人公。狩人。

 恐ろしいまでに視力が良く、大抵の敵は仲間の内で彼が一番早くに見つける。ちなみに仲間達が隠れて欠伸あくびをしたり鼻をほじったりしている姿も見えている。指摘しないだけ。


 徴兵されて戦争に参加するも、討たれて地獄に落ちた。実はこの初陣で三十三人もの敵兵を討ち取っている。軍部にとってはとんでもない逸材。

 幼少期は父親に連れられて各地を渡り歩いており、その際に余所者よそものとして迫害を受けたので、いろいろこじらせてしまっている。

 それ以外にも大きな心の闇を抱えている。物語の中盤で彼に父親しか居なかった理由が明かされ、封印していた忌まわしき記憶が甦る。


 初期設定ではクールな性格を持つキャラクターだったが、クール主人公は非常に動かしにくいと作者に気づかれ、本当は熱血なんだよ、無愛想だけど子供には優しいんだよ、という隠れ要素が次々に追加された。

 今ではただの面倒見の良いお兄ちゃんと化している。

 身長が低めであることがコンプレックス。



◆セイヤ(17)


 エナミの幼馴染みにして親友。農夫。地獄では保育士。

 気が優しくて力持ち。善良村人Aだったが、徴兵されてエナミと一緒に参戦する。地獄に落ちるのも一緒。仲良しこよし。


 農作物に関する知識が豊富で、料理の腕も中々という設定だが、飲食不要な地獄においては全く無駄なスキルである為、活躍の場がほとんど与えられない。キノコの選別もできるのに……。

 それでも持ち前の明るさで、気分が沈みがちな地獄ライフを盛り上げてくれる貴重な存在。

 健康な青年なので当然、異性に興味を持っている。ミズキに恋バナを振っては無視されている。そのうち斬られそう。


 弓兵として軍に登録されているが、実力は素人レベル(エナミ談)。しかし運動神経が良く努力家でもあるので、成長率はかなり高い。彼に助けられる日が来るかもしれない。




◆ミズキ(19)


 小隊長。士官学校を首席で卒業した天才剣士。

 二刀を華麗に操る。長生きできれば確実に、その名を桜里オウリとどろかせるであろう人物。

 雰囲気的にはベテラン兵士だが、カザシロの戦いが初陣だった。

 太られない体質で、本人はもっと肉を付けて筋力アップしたいと思っている。スタミナの無さが弱点。


 落ち着きが有るので実年齢より上に見られがちだが、実はエナミとセイヤの同世代。

 腰まで伸びた、真っ直ぐな黒髪を後ろに束ねる細身の美形。

 平時の勤務先である城下街では、住民女性の間でファンクラブが結成されている。非常にモテるが待ち伏せをされたり、催淫剤入りの食べ物を差し入れされたりしているので、女性と言う存在に苦手意識を持っている。


 エナミの代わりに、クール属性を一身に担ってくれている。

 作者が気を抜くとすぐ喋ることをやめてしまうが、強いので戦闘で役に立ち、単独行動も可能な便利なお人である。

 クールキャラは主人公ではなく、脇に配すべし。

 「正気か?」が口癖。




上月コウヅキマサオミ(40)


 第六師団司令官。剣士。

 名門の家柄である上月コウヅキ家の嫡男であるが、出自に甘えず己を鍛練する高潔な人物。

 部下には気さくに接し、理不尽な命令を下さないので人気が高い。

 若かりし頃は相当なヤンチャくん。喧嘩に明け暮れ、女性関係も派手だった。マホと付き合ってからは彼女の影響でだいぶ落ち着いた。


 少年期から隣国の勇将・真木マキイサハヤにずっと憧れている。武人としてイサハヤに並び立つのが目標だったりする。

 桜里オウリ州央スオウが戦争になってからは、イサハヤを討つのはこの俺だと決めていたのに、横からエナミにサクッと機会を奪われた。主人公の潜在能力を甘く見ていた。複雑な心情だったが、上官としてエナミの功績はちゃんと褒めた。えらい。


 素早い連続斬りを得意とする。その流れるような剣技から、「流星のマサオミ」と言う恥ずかしい二つ名を付けられている。

 マサオミ自身は上記の渾名あだなを心底嫌がっており、名付け人を特定して闇討ちしようと考えている。

 ちなみに「流星」の名付け親は、軍事演習で顔合わせをしたイサハヤだったりする。逃げろイサハヤ。


 男児の父であるが、妻側の不貞で離婚した。子供はマサオミの元に居る。

 後妻を狙う数多くの女性達から熱烈なアピールを受けているが、本人に再婚の意思は無さそうだ。




獅子座シシザマホ(39)


 女性兵士の少ない桜里オウリの国で軍師を務める才女。薙刀の名手。

 一族は代々軍人の家系。彼女もごく自然に軍部へ進んだ。七つ年上の兄が居る。

 美形という訳ではないが、凛とした所作が美しいので彼女に憧れる者は多い。

 一度聞いたら忘れない、しかし書くには難しい名字を持つ。


 かつてマサオミと恋人関係にあったが、家同士の事情につき破局。現在は別の男性と結婚しており、一男一女をもうけている。

 マサオミとは司令官と軍師という関係だが、心中ではマサオミへの想いをまだ捨て切れていない。それはマサオミも同じ。互いに心を殺してビジネスパートナーとして接している。


 部下達はマサオミとマホの過去のロマンスに興味津々だが、探ろうとするとマサオミに吹っ飛ばされるので我慢している。

 獅子座シシザと言う独特な名字を茶化しても、やはりマサオミに吹っ飛ばされる。

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