第十章
山火事、高波、竜巻、地割れ。
突如として多くの災害が、同時に発生した。
炎に焼かれる村、高波に破壊された防波堤、
多くの人々が逃げ惑い、傷つき、犠牲になっていった。
まるで、伝承のごとく。
「なんでこんなことに...」
ハヤテが涙目になりながらつぶやく。
この惨状なら無理はない。
きっと誰もが見たことも、経験したこともない災害。
そして、その責任の一端は僕らが握っているようなものなのだから。
「落ち着いて、ハヤテ。まだ手はきっとあるわ。」
「今は策を練ろう。彼らの暴走を止めるためにも。」
ホムラと僕で、ハヤテを宥めるように声をかける。
「3000年前の使い手は1度彼らを封印してる。つまり、僕らにもきっと勝機はあるはずだよ。」
「もしかしたら伝承書の方になにか糸口があるかもしれない。一旦僕の里に戻ろう」
ダイチの提案を受け、僕らは1度土使いの里へ戻った。
……
「どこだっけ…書物書物っと…」
ダイチの部屋。そこで作戦会議をすることにした。
「あった!えっと、「使い手達。同属の力をぶつけ遂に化身龍を打ち倒す」だってさ。」
「同属の力ね…」
ダイチの読み上げた部分をホムラが噛み締めるように復唱する。
「やっぱりアイツらを抑えるには同じ属性でぶつかるしかないようね。」
ホムラが呟く。
どうやら僕らの属性の力には同属性の相手に対しての特攻効果があるようだ。
順当に考えれば火龍には僕の、水の力が効果があるように思えるけど、火の力で押し切るしかないようだ。
「なるほどね…なら、やることは単純だ」
「僕が水、ハヤテが風、ホムラが火、そしてダイチが土。それぞれの龍を撃破するしかない」
ダイチの呟きに被せるように、みんなに語り掛ける。
「そうと決まれば早く戻ろうよ。これ以上被害が拡大する前に。」
ハヤテの言葉に頷きを返しつつ、僕らは再び大樹の麓へ戻った。
……
「ここからは僕とハヤテ、ホムラとダイチの2チームに別れて行動しよう。多分、ひとりじゃ倒せないと思うからさ。」
「分かったわ。ならコッチは任せて。」
「うん、2人とも頼んだよ。」
「いこう、ハヤテ。風と水の化身を鎮めに。」
こうして僕とハヤテは水、風の龍と対峙する運びになった。
風龍との戦いは苦戦したものの、何とか撃破にこぎつけた。
フィールドは空。ハヤテの風に乗ってでの戦闘となった。
ハヤテの巨大竜巻に水流を合わせることで檻を作り出し、動きを封じながら2人で攻撃を重ね、
ハヤテがトドメを刺すに至った。
「やったね!スイ!」
ハヤテが掲げた右手に応えるように、僕らはハイタッチを交わした。
「うん、次は水龍だね。よろしく頼むよ。」
大丈夫、きっと上手くいく。
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