第八章
....暗い。
寒い。寂しい。
どこなんだろう。ここは。
目の前に謎の光と人影が見える。
誘われる様に光へ歩みを進めると、光がフッと消え、僕を呼ぶ声が聞こえた。
「スイ!助けてお願い!」
呼吸が浅くなる。息ができない。
「スイ」
そう呼ばれ、僕は思わず振り返ってしまった。
あぁ、聞きたくなかった。会いたくなかった。
そう、心の中で考えながら。
そこには、ずぶ濡れの少女がいた。
「スイ」
いやだ、もう何も言わないでくれ。
その願いを裏腹に、彼女は口を開いた。
「私は、君のせいで死んだんだよ?」
刹那、鋭い痛みが頭に走り、僕は再び倒れこんだ。
.......
「...イ!スイ!」
僕を呼ぶ声で目を覚ます。
ここは...家?
「よかった!起きた!」
そういうと、目を潤ませたハヤテが抱き着いてきた。
どうやら僕はあの決闘の後、一晩中眠っていたらしい。
それも、うなされながら。
心配そうにするハヤテを宥めつつ、ホムラを呼んでもらうように頼む。
するとハヤテは文字通り疾風の如き速さで呼んできてくれた。
「ごめん、世話になっちゃって。」
「いいわよ。しょうがないもの」
そういうと、ホムラは僕に手を差し出してきた。
「アナタが強いのはよくわかったわ。私もいっしょに連れて行って。」
一瞬キョトンとする僕に苦笑を浮かべながら手を取り、握らせた。
ようやく実感がわいてきた。
「うん。よろしくね。」
そういい僕らは握手を交わした。
残る使い手は、土使いだけだ。
.....
ハヤテの術で少し飛んで、竪穴住居の広がる山腹の集落。
土使いがいるという里にたどり着いた。
すぐ横には大きな古墳が鎮座していて、いかにも 土・土地を操るもの らしさを感じられた。
難航するかと思っていたが、土使いとの交渉は思いのほかすんなり進んだ。
彼、土使いの名前はダイチ。
事情を話すとすぐに乗ってくれ、かつ僕らのゴールである封印の祠までのナビゲートもしてくれる。とのことだった。
「予言通りの流れだね。いいよ、手を貸そう。」
....ホムラの時もこんな簡単だったらなぁ。
そんな思いを込めつつチラッとホムラのほうに目線を向ける。
目を合うと、不思議そうにキョトンと首をかしげていた。
当人としては面倒だとは思っていなかったのかな。
そう思い、少しの苦笑を浮かべる。
何はともあれ、ようやく4人の使い手がそろった。
これで、僕らの旅も最終章だ
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