第40話 相棒の装備を選んでみた
鑑定が済んだので、次はビビの魔術武器を買いに行く。
街の市場ではなく、ギルド内の武具屋へと向かった。
あそこは全体的に価格が安く、中古だが質が良い装備が揃っている。
今まで外れを引いたことがないのは、店主が商品を吟味しているからだろう。
だから大いに信頼できる。
金銭面も問題ない。
死霊術師を倒した報酬で金貨七十枚を蓄えている。
よほど高価な魔術武器を望まない限りはこれで足りるはずだ。
武具屋に到着した俺は、ビビと一緒に店主と話す。
そこで既存の戦い方や武器に対する要望をなるべく細かく伝えた。
ビビも懸命に説明してくれた。
自分の武器選びなので真剣なのだ。
ただし、さりげなく安い武器にしようとした際は釘を刺しておく。
俺に遠慮する気持ちは分かるが、ここで値段を気にすべきではない。
魔術武器を買える機会なんてそう簡単に訪れないのだ。
納得できるものを選ばないと後悔することになる。
そうして色々と話し合った結果、ビビの武器が決まった。
現在、彼女の手には一本の片手剣が握られている。
柄に緑色の水晶がはめ込まれており、これが風属性の触媒としての働くのだ。
店主によると、術の発動速度を向上し、魔力の制御を補助するらしい。
目立った機能ではないが、汎用性が非常に高い。
どんな場面でも役立つ一方で、この武器に頼った決定打は望めない。
活かすも殺すも使い手次第といったところか。
金が余ったので、せっかくだからもう一つ武器を買った。
ビビは二刀流で戦うのでちょうどいいだろう。
店主もまとめ買いなら割り引いてくれると言ったので即決だった。
二つ目に選んだ武器は、頑丈そうな銀色のナイフである。
刃に術式が刻み込まれており、こちらも風属性の触媒として機能する。
魔力を帯びると切れ味が増して、さらに使い込むほどこの特性が高まるそうだ。
ビビの戦い方は単純明快である。
元から高い身体能力を風魔術で速度を上げて二刀流で攻撃する。
離れた敵も術で狙えるため、あらゆる間合いで自在に立ち回れるのが強みだ。
とにかく隙が少なく、これといった弱点がない。
策と手段をこね回して、どうにかして活路をこじ開ける俺とは大違いである。
(これが才能の差か……)
俺はふと思う。
僅かに滲む劣等感は、しかし嬉しそうなビビの姿を見ると一瞬にして消え去った。
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