その能力……実戦に不向き

 私はもう一度プレートに書かれた文字を読み直した。


 そう、そこには補足が書いてあったからだ。



【補足:これらは、初期能力【プローブ】の使用方法です。】



 そう書いてあり、なるほど能力にもレベルがあるんだなぁと思った。


 全て読み終えると、試しにプレートに書かれてある通りテーブルに右手を添える。


 《プローブ!!》


 すると、テーブルについてプレートに書き込まれていく。


 そこには……。



【アンティークなテーブル。かなり腕のいい職人が造った物と推測される。性能は――――】



 と、どうでもいいことが記載された。


 サーチスキルのような能力なのかと、この時はそう思いガッカリする。



 ――だがこの時は、この能力の真の力を知らなかった。勿論、近くでみていたカイルディもだ。


 後に、この【見極め】のチートさを知ることになる。まぁ、それは先の話になるのですが――



 カイルディさんは、私の持つプレートをのぞきみるとクスッと含み笑いをした。


 私は一瞬、ムッとしたが表情に出さず平常心を保つ。


 ここで揉めごとを起こしたくなかったからだ。それに、面倒だしね。


「ルイ様の能力は、補助系のようですね。それも実戦に不向き……という事は、能力を使い戦うことができない」


「そうみたいですね。だけど、能力を使わないでもレベルは上げられるはず」


「確かに……。ああ、そうそう」


 そう言うとカイルディさんは、目の前に手を翳した。すると魔法陣が描かれ空間に亀裂が入る。


 そこから色々な武器など、剣、杖、水晶、魔導書、弓、あらゆる物を取り出し床とテーブルに並べた。


 それをみて私は目を輝かせる。そう夢にもみた異世界の武器が眼前にあるからだ。


「この武器の中から一つ選んでください。それから、必要になりそうなアイテムとお金も用意させて頂きました」


「ありがとうございます。どれを選んでもいいんですよね?」


 そう私が聞くと、カイルディさんは「はい」と言いニコリと笑っている。


 私はお金が入った袋とアイテムをもらったあと、武器を選び始めた。と言っても、どれにするかは決まっている。


 剣を手にした私は試しに身構えてみた。


「剣、ですか。女性の方が、それを選ぶとは珍しいですね。それでも構いませんが、果たして使いこなせるでしょうか?」


 そう言われ私は、ムッとする。


「見た目で判断しないで下さい!! これでも剣道をやってたので、剣を振るうことぐらいできます」


「剣道……剣術のことですかな? なるほど、それならなんとかなりそうか。まぁ……もし不安であれば修練場がありますので、あとで利用してみるといいでしょう」


「修練場!! ありがとうございます。早速、みてきたいのですがいいですか?」


 私は修練場と聞きウキウキしていた。


「構いませんが。食事を用意させますので、日が暮れるまでには戻って来て下さい」


「はい、分かりました。何から何まで、ありがとうございます」


 そう言い私は頭を下げる。


「ああ、そうでした。荷物を入れるのに特別なアイテムを渡しておきます」


 そう言うと紫の魔石が目立つ腕輪を袋から取り出す。それを私は受け取った。


「それは、特別な腕輪。聖女さまに用意していた物とは別に予備に造らせたものです。まさか、ここで役に立つとは思いませんでしたが」


「ありがとうございます。それで、これどう使うんですか?」


 そう問いかけるとカイルディさんは、その腕輪の使い方を説明し始める。


 それを聞き私は早速、使ってみた。


 左手に腕輪を付ける。次いで、紫の魔石に右手を添えた。すると魔法陣が描かれ空間に亀裂が入る。


「うわあぁ、凄い!?」


「これは、のみ込みが早いようですね。その空間が収納ケースのようになっていますので、いつでも取り出せます」


 そう言われ早速、私は持ってる持ち物を異空間の収納ケースに入れた。剣以外の物を入れ終える。


 その後、異空間を閉じようとした。だが、カイルディさんに注意される。


「城内、敷地であっても剣を身に付けて歩かないで下さい」


「あっ、ごめんなさい」


 なぜカイルディさんがそう言ったのかというと、一番の理由は王さまを守るためだ。その他にも理由はあるみたいだけど。


 それと、いざという時は異空間の収納ケースから取り出して戦うらしい。まぁこれは、城内と敷地内だけらしいけどね。


 そして私は剣を異空間の収納ケースに仕舞うと、カイルディさんと一緒に修練場に向かった。

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