修練場……1

 ここは修練場だ。場所は城の敷地内の西側にある。


 あれからカイルディさんの案内でここに来ていた。修練場の中は結構広い。


「うわあぁ、すっご〜い!」


 私は剣の稽古を間近でみて、その迫力に興奮した。



 因みに修練場は、他にも職業別に存在するらしい。



 目を輝かせながら私は、練習風景を眺める。


「ルイ様。余程、剣術が好きなようですね」


「ハイッ! だって、かっこいいじゃないですか」


 満面の笑みでそう言うと、カイルディさんは呆れた表情で私をみた。


「その様子では、実戦の経験などないように見受けられますが」


「剣道の試合ならしたことあるけど。本当の戦いってしたことない。まぁ、私がいた世界が平和だったからなぁ」


「なるほど……。そうですね、それならどうでしょう。ここにいる者と手合わせされてはいかがでしょうか?」


 そう言われ私は、ウンウンと頷き目を輝かせる。


「では、そこに木剣ぼくけんがありますので、適当に選らんでいて下さい。私は、ルイ様と手合わせして頂ける方を探して参ります」


 それを聞き一瞬、ぼくけん? そこは【きのけん】か【もくけん】の方がいいんじゃないのかと、そう思ったが敢えて言うのをやめた。


 その後カイルディさんは、稽古をしている人たちの方へ向かう。


 それを確認すると私は、ルンルンしながら木剣を選び始める。



 んー、大小様々な木剣があるなぁ。どれにしようかな?



 そう思いながら木剣を一本一本握ってみる。


 中々いいのがみつからない。これも違うなぁ。


「あっ、これなら」


 私はかなり使い込まれた剣を握り軽く振ってみた。


「うん、これなら軽いし持ち易い」


 選び終えると木剣を構え振り上げる。


「おいおい、なんだその構え。それじゃ、懐がら空きじゃねえか。そんなんじゃ、実戦には通用しねえぞ」


 そう言われその声の方を向く。


「えっ!?」


 とその時、木剣の剣先が私の喉元スレスレに向けられる。


「ほう、微動だにしねえとはな。女にしては、度胸があるじゃねえか」


 そう言いニヤッと口角を上げると白銀のショートヘアの男は、木剣を元の場所に戻した。



 見た目は二十代前半ぐらいで、悔しいくらいのイケメンだ。

 私が男だったら、こうなりたいって思うほどである。まぁ、それはさておき……。



「あー、あの……。いきなり、なんなんですか!?」


「ああ、悪い。余りにも初心者丸出しのヤツがいたから、追い返そうとしたんだが。お前、スジは良さそうだな。どうだ、俺が稽古つけてやろうか?」


 稽古、そう言われ私はどうしようか悩んだ。



 確かにこの人の言う通り、私は剣道の基礎しか知らない。それに剣道と剣術は似てるだろうけど、恐らく色々と違うと思う。



「稽古、お願いできますか? 確かに実戦の経験がないので助かります」


「ああ、いいぜ。俺も誰も練習の相手いなくて暇だしな」


 そう言い無造作に木剣を取った。


「それと俺の名は、グレイフェズ・サイアル。呼びづらければグレイでいい」


「私は、ルイ・メイノです! よろしくお願いします」


「ルイか、よろしくな。それで、さっきの構えはみれたもんじゃなかったが。実際の実力が、どんなもんか見定める必要もある。どうだ? 一度、手合わせするってのは」


 その誘いに一瞬のろうとする。だけど、ふとカイルディさんの言葉を思い出し断ろうとした。


「私は、構いませんけど。さっきカイルディさんが、手合わせの相手を探しに」


「それなら構いませんよ。それに丁度、手が空いてそうなグレイを探していましたので」


 カイルディさんは、いつの間にか近くにいて、そう言いながら側までくる。

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