第6話 

 真飛流が言い辛いのを代弁する、菜々緒の一番開口。


「先ず、真飛流がヤミ君に拘るのは、34歳になるのを前に、結婚を---」


「---そおおおい!」



 真飛流は実年齢を言われた瞬間、夜弥美の両耳を塞ぐ。


 夜弥美は目が点になる。


 真飛流を見たいが、彼女は夜弥美の頭をそのままガッチリ掴む。



 菜々緒は真飛流に言う。


「……おい、何歳サバ読んだ?」



 真飛流は上目遣いで菜々緒に言う。


「……5歳」



 しかし、その会話がガッツリ聞こえている夜弥美は、


「僕は同い年って聞いたんだけど……」



 菜々緒は軽蔑するかの様に、真飛流を見る。


 真飛流は夜弥美をゆっくり離す。


 夜弥美は真飛流を見ると、彼女は顔を真っ赤にしたり青くしたりしていた。



 菜々緒は呆れる。


「確かに、オレも今年で30。今の世の中はこの年齢は行き遅れ組みでも、10歳近くサバ読むのはないわー」



 真飛流は目に涙を浮かべる。


 菜々緒は溜め息を吐く。


「自分で蒔いた種だろ……」


「うぅ……。---ヤミちゃん、ごめんなさい」



 今の夜弥美はそれが論点じゃない。


「年齢はどうにでもなるんで、後で話をするとして、僕を『利用』しようとしてる事を教えて下さい」



 菜々緒は否定する。


「それが関係してるから、『利用』……。と言うか---、順番に説明する。行き遅れてる真飛流は十分関係してる」



 心に『グサ』っと来たのか、真飛流は小さく縮こまりつつも、夜弥美すり寄る。


 夜弥美はそれに答えるかの様に、片腕で抱き寄せる。


 菜々緒はそれを見て羨ましがる。


「自然とそうするんだな」



 夜弥美は菜々緒を見たあと、真飛流を見る。


「あ、うん。癖で」



 菜々緒は悔しがる。


「ふん、見せるけるなぁ〜、真飛流」



 そう言われた真飛流は少し得意気に返す。


「そ、そうよ。良いでしょ?」



 菜々緒はまた何か言おうとしたが、辞めて本題に戻る。


「まあ良い。---早速、話が脱線したが、戻すぞ」



 菜々緒は夜弥美を見る。


「結論から言うと、真飛流は『利用』だとか、『陰謀』だとか、ガキが好きそうな冷たい言葉は好きなだけだ。あの日、真飛流の言い方を変えるなら、『ヤミちゃんが勇者になったらお嫁さんになる計画』だな」



 菜々緒の微妙な名付けに、夜弥美は「お、おう」と言う。


 真飛流も、


「ヤミちゃんが勇者にならないと、お父様が結婚を認めないだけよ」


 と言うが、菜々緒は驚く仕草で真飛流を見る。


「---なんだ、自分で言ったじゃないか」


「うっ……。---何でも無いわよ!」



 菜々緒は「やれやれ」と言いつつ、説明を再開する。


「えーっと、なんだ。そうだ。---事の発端は、真飛流の父親がヘッポコボンボン世間知らずな男しか、結婚相手を連れて来ないから、真飛流が『同じ勇者としか結婚しない!』って啖呵を切ったんだ」



 夜弥美は真飛流を見る。



 菜々緒は説明を続ける。


「---そうしたら、『そんな我儘を言うなら、結婚相手は勇者としか認めんぞ!』---だっけか?まぁ、売り言葉に買い言葉。真飛流の結婚に条件付きになったんだ」



 夜弥美はまた菜々緒を見て相槌を打つ。


「へぇー。そんな事が……」



 菜々緒は頷く。


「ああ。---んで、真飛流の父親が次に取った行動は、『勇者を連れて来た』んだ」



 夜弥美はズッコケる。


「また単純な」



 菜々緒は苦笑いをする。


「だろ?それも大真面目にするから余計に面白い」



 真飛流も、自分の父親に呆れているらしく、


「そうよ。---だから、『自分で連れて来る』って言っても、人を見るセンス無いから困ったモノよ。……下らない男ばっか連れて来るし。アタシより弱いヘナチョコクソ雑魚ナメクジは要らないわ」


 流暢に喋る真飛流。



 菜々緒はそれを見て提案する。


「あとは自分の口で言ったらどうだ?」



 これに真飛流は嫌がる。


「いいわ。---明日、ヤミちゃんあげるから言って」


「ふーん。……ヤミ君の方が、オレが言うより安いのか?」


「そうじゃないけど……」


「じゃあ何故だ?」



 これに真飛流は少し間を開けて言う。





「はあ……。---ヤミちゃんがもうアタシに心が無いからよ」





 真飛流は夜弥美が返した合鍵を菜々緒に見せる。


 夜弥美は一瞬、ドキっとする。



 菜々緒は「はぁ⁉︎」と大きな声を出す。



 真飛流は合鍵を菜々緒に投げ渡す。


「調べたのよ。---合鍵を返すって事は……そう言う事。今更、説明して取り繕っても無意味。無駄なの」



 菜々緒は受け取る。


「んじゃ、何だよ。今までのやり取りはなんだよ?オレは確かに『説明位はしろや』って言ったけど、別れ話をしろとは言ったか?」


 お怒りモードの菜々緒。



 真飛流は首を横に振る。


「言ってない。---言ってないけど、ヤミちゃん。そうでしょ?」



 菜々緒はイライラしながら夜弥美に問う。


「……本当か?ヤミ君?」



 夜弥美はゆっくり頷く。





「はい。なので正直---、今日は真飛流が僕を『利用』しようとしている内容を聞き出して、別れるのも十分あり得ます」





 菜々緒はそれを聞いた瞬間。





「飽きた」





 そう言って、立ち上がる。


「---君達はいつもそうだ。後出しジャンケンで今までを無駄にする、覆す。ホント、お似合いのカップルだよ」



 菜々緒の怒りの琴線へ完全に触れたのか、彼女はそのまま、自分のコップを回収して台所へ行く。


「あとは2人で話しをしてくれ。---正直、ここまで後から後から言われたらウンザリする。オレの気遣いと努力を返せ」


 コップを洗い、そしてどこか別の部屋に行ってしまった。





 真飛流は困り顔で言う。


「菜々緒、怒らせちゃったね」



 夜弥美は溜め息を吐く。


「はあ……。わざとでしょ?」



 真飛流は笑って誤魔化す。


 夜弥美は真飛流に問う。


「……タルトに何か聞いたの?」



 真飛流は驚く。


「よく判ったわね」


「……僕も聞いたんで」


「……考える事は同じね」


「だね。---何を聞いたにの?タルトから」



 これに真飛流は少し悩む様子を見せる。


「……んと---、合鍵の事を訊いたわ。……『別れを告げたいアピールかもしれない』ってね」



 夜弥美は黙って聞く。



「---でもね。『ヤミ君には話し合いをする様に促しているから、ちゃんと話し合って。折角生還した命と元気に帰って来たんだから、幸せになって』ってね」



 これに夜弥美は驚く。


「え?タルトがそんな事を⁉︎」


「……そんな事って言わないで。---そうよ。アタシ、あの子がキューピットになったお陰でヤミちゃんと恋人になれたし。---信頼してるのよ」



 これを聞いた夜弥美は、自身がタルトに言われた事を真飛流に明かした。


 それを聞いた真飛流は、


「ホント、何者かしら、あの子」


 と感心する。


 夜弥美も同意する。


「だねぇ」


「---感謝しなきゃね」


「……うん」





 ここでしばらく沈黙が流れる。



 夜弥美は時計を見る。


「……話の続き、する?」



 真飛流は頷く。


「うん」


 そう言いながら、彼女はここで初めてお茶に口をつける。



 夜弥美もお茶を飲んでから、真飛流に尋ねる。


「……ちょっと話しを一回纏めたいんだけど---、真飛流は僕を勇者にしたい理由は判った。そうしないと、僕達は真飛流のお父さんから結婚が認められないと言う事。『自分で見付けて来る』って言う相手は、その……。---『僕』と言う事で合ってる?」



 真飛流は頷く。


「うん、合ってる。---だから……、勇者の夢を諦められるとマズかったの」



 それが例のセリフに繋がった。



 そう言う事だと言う真飛流。


「ヤミ君がああしてトラウマを発動するセリフだとは思わなかった……。軽率だったわ。---ごめんなさい」



 ペコリと頭を下げる真飛流。


 夜弥美は真飛流を見ず、「そっか……」と言う。


 真飛流は俯く。



 夜弥美は納得した。


 真飛流の心は自身から未だ離れていないと言う事を。



 これらが真実ならば……。



(出来れば、もう一度信じたいけど……)


 夜弥美はそう思いながら、隣に座る真飛流の正面に回り込む。


 真飛流は俯いたままだが、夜弥美は言う。





「今の僕は正直、勇者の夢は諦めている」





 真飛流はそれを聞いて悲しそうな顔をする。


 夜弥美は続ける。


「でも、真飛流がまた応援してくれるなら、---勇者になる夢を追い掛けようと思ってる」



 真飛流の表情が少し晴れる。


「……ホント?」



 夜弥美は頷く。


「うん。---でも、1つだけ条件がある」


「……何?」



 真飛流の問いに、夜弥美は真剣な表情で言う。



「一度、君と別れたい」



「無理無理無理無理」


 真飛流は即答した。



 予想外の反応の早さに驚く夜弥美。


「えっと、真飛流?」


「むー!無理ーーー!」



 真飛流は夜弥美が正面に居る事を良い事に、抱き付きながら謎の抗議をする。


 夜弥美はたじろぐ。


「別に君の事を嫌いなった訳じゃないんだ」


「じゃあ、どう言う事⁉︎」


「それは……」



 一応、予めセリフは用意をしていたが、それが最適解かどうか、ここで悩む。


 それでも言う夜弥美。


「嫌いにはなってないんだけど、『好き』って言う感情が消失したんだ……」



 真飛流は唖然とする。


「そ、そんな……」



 これに夜弥美はそんな真飛流を見詰めるが、逆に真飛流が提案をしてくる。


「アタシは2つしか、ルートは考えていない」



 夜弥美は真飛流を見詰める。



「---ヤミちゃんが勇者になって結婚するか、勇者を諦めるなら駆け落ちして結婚するか」


 何故か呼吸が上がり出す真飛流。



 この辺りで、リビング出入り口扉に人影---菜々緒が立っている気配を感じる夜弥美。


 その人物はゆっくり扉を開けて、リビングに入ってくる。


 そして、真飛流を見る。



「お、仲直りしたみたいだが……、---夜弥美。真飛流が発情してないか?」



 これに夜弥美がツッコム。


「んー、……これは発情じゃないと思う」



 菜々緒は頷く。


「うん。そうは思いたいが……。---真飛流。何を企んでいる?」



 真飛流は夜弥美を見ながら言う。


「もし、本気で別れるって言うなら、そうはさせない」


 手もにはいつの間にか短刀を握っている真飛流。


「貴方を殺してアタシも死ぬ。---若しくは貴方を幽閉して養ってあげる。その代わり、手足はもぐからね?」



 これには流石の菜々緒は止めに入ろうとする。


「おいよせよ、真飛流。独占欲がエグいのは判ったけど、お前の倫理観はアウトだ」



 これに夜弥美は菜々緒へ


「ちょっと、待てて菜々緒さん」


 と、言って介入をとめる。


「お、放置プレイか?あまり待たせ過ぎると、股が洪水起こすかもな!」



(この人の性癖が判らん)



 そんな2人のやり取りを真飛流はお構い無し。


「選んで。---死ぬか、閉じ込められるか」



 菜々緒は腕を組む。


「うーん、和まなかったか」



 夜弥美はズッコケる。


「わざとですか?」



 菜々緒は頷く。


「ああ。そりゃそうだろ。本気で言ってると思ってたのか?」


「……ええ。少し」



 このやり取りに真飛流は怒る。


「邪魔!」


 そう言って、手に持ってた短刀を菜々緒に投げ付ける。


 菜々緒は涼しい顔をして、右手の人差し指と中指で受け止める。


「物騒だな、おい」



 真飛流は「ちっ」っと舌打ちをする。


「---まあ、良いわ。賢明なヤミちゃんは選択肢を間違わないよね?」



 そう言う真飛流はニヤニヤ笑い、そのまま夜弥美を押し倒す。



「そうよ、ヤミちゃんは賢いもの。---こんなオバチャンマンコ捕まえて開発してから、中出ししまくって、孕ます気満々だったのに。……今更捨てるなんて、しないわよね?責任、取ってくれるよね?」



 夜弥美は菜々緒を見る。


 菜々緒は『やれやれ』と言うポーズで肩をすくめる。



 興奮状態の真飛流。


「さ、どうなの?ヤミちゃん?」



 夜弥美は言う。


「ごめん、真飛流。---僕の勘違いでこんな事になってしまって」



 しかし、真飛流は、


「良いから質問に答えろ」


 と、口が悪くなり始める。



 これに夜弥美は謝る。


「ごめん……」



 真飛流は問う。


「……んで、どうするんだ?」



「うん、そうだね。決めたよ」


 夜弥美は頷く。


(もう一つのルート。吉と出るか凶と出るか。

 




「---僕ともう一度、お友達からやり直させて下さい」









 夜弥美の申し入れは結論から言うと、真飛流がもう一言付け加える形で受け入れられた。



『結婚を前提に、友達スタートなら許す!』



 こうなって来ると菜々緒の存在、彼女も夜弥美を狙っている話にも関わって来る。



「正々堂々と真飛流と戦いたい!」



 真飛流は最初、抵抗をしたが、『今は恋人でないなら取り合いをしても問題は無い』と言う結論に至ったのである。


 尚、肉体関係に関しては今後、どうするかは本人同士のモラルに任された。



 今は真飛流が有利であるが、菜々緒が今後、今までの信念を貫くか、


「そうだな。ヤミ君との婚前交渉は視野にいれている」


 と、言うのを示唆している。





「どっちを選ぶ?ヤミ君?」「アタシを選べ!」



(同時に言わないで下さい。




 かくして---、結局、夜弥美は2人の女性から言い寄られるのであった。










(これで今回の騒動は解決したのかな?)


 夜弥美は一安心したが、と言う訳にはいかなかった。



 現在、畳張りの和室コーナーで寛ぐ3人。


 菜々緒の一言でまた修羅場と化する。



「そうだヤミ君、勝手にパーティーを抜けた事について、言い訳はあるかい?」



 ビクッとする夜弥美。


 菜々緒はそれを見て続ける。


「いやぁ、たまたま真飛流が気付いたんだが、もうギルドの建屋内で泣き喚くから大変だったんだからな?---直ぐに登録させ直したけど」



 夜弥美は正直に言う。


「それは……自暴自棄になってました」



 真飛流は泣き喚いた事について釈明する。


「仕方無いじゃない!急にバスへ乗ってどこかへ行くんだから、絶対何かしでかしてるわよ、って思わない?怪しいと思うでしょ?」



「……ん?」



 ここで夜弥美は気付く。


「……どうしてそれを?」



 これに菜々緒が返す。


「いや、パーティー組んだ時に、真飛流が君の装飾品に『位置情報把握』の術式掛けたんだが?覚えて無いのか?」



 ……。


(ああああ、そう言えばそうだったあああ)



 ここで思い出す夜弥美。



 パーティーメンバー全員に掛けられている術式である。


 ダンジョンではぐれた時用に、何かしら必ず身に着けている、手放す事が無い代物に掛けられているのである。



(そう言えば他の面々に関してはどうしたんだろう)


 そう思った夜弥美は気になったがあとで聞く事にした。


(ま---今は関係無いから、あとだな)



「今、思い出しました……」


 夜弥美がそう言うと、菜々緒は真飛流に、


「だってさ」



 真飛流は呆れ顔で言う。


「もう今更別に良いわよ」



 菜々緒は続ける。


「ま、『ダイニング』へ我々も行ったのはたまたまだがね。---その後の概要は『オバチャン受付嬢』から聞いてるだろ?」


「な⁉︎」


 夜弥美は驚く。



 真飛流がその解を言う。


「ああ、あの人。アタシの義理の叔母さん。この建屋を管理していた叔父さんの奥さん」



 思わぬ所で繋がっている事を更に驚く夜弥美。


「……マジかー」



 真飛流は何故か少し得意気だった。


「アタシが選んだ相手にしては『当たり障りの無い平凡な人』って言われたけど、『何だか判る気がする』って言われたわ!」


「それ、褒められてる?」


 夜弥美の問いに菜々緒が返す。


「ああ、少なくとも、『冒険者特有の、人の悪口を言わない』ってのは評価高いぞ?」



 評価のされ方が明後日方向でそれはそれで戸惑う夜弥美。


 菜々緒も何故か少し得意気である。


「ま、そう言う所から人間性って出るからな。それが生涯伴侶として考えてみろ。---多少の愚痴はあるだろうが、見ず知らずの相手にそれを言うってのは印象が悪いからな」









 夜弥美は過去。


 自身の噂が回りに回って、当時、信頼していた相手にボロカス言われて居たのを知り、落ち込んだ。


 冒険者ランク8になれたのは、賄賂や裏口、ギルド内に居る身内贔屓だと、根も葉もない噂を流された。



 ギルド側もそうした噂に困ってた。


 なので、『事実無根』と、それを言い始めた人物に抗議したが、地主系の貴族の息子なので、あまり強く言えず……。


 夜弥美は本人に直接、その事について問いただすと、何故か決闘を申し込まれる。



 その決闘前に散々悪口を言われるのだが、何故か影も姿、形も存在をしない夜弥美に架空の親戚の作り話しをされる。


 それを否定し続けると、相手が謎に腹を立てる。



 その際、『唯一、存在している親戚は叔父しか居ない』旨をと言うと、その叔父の悪口を言われる。


 それに腹を立てた夜弥美は、決闘開始早々、相手の首を風の刃で切り落とした。



 同じ、冒険者ランク8の戦い。



 だがしかし。



 本当にコネと裏金で冒険者ランク8になった人間と、実力でそこまでのし上がった人間が戦ったらどうなるか。


 その末路が記された。



 決闘中の死亡事故は咎められない。


 ギルド側は淡々と処理を済ますが、他の冒険者は大喜び。


 皆、いびられ過ぎて、辟易していたのであった。



 負けた---、死んだ貴族の息子の親は厳正なる抗議をしたが、決闘前に息子が放った言葉について、ギルド側が動画を見せるとアッサリと見を引いた。



『名誉毀損の総合商社』



 そうした話しが一気に広がり、この地主は他の商売が上手くいかなくなり、没落した。


 これもまた、合縁奇縁。


 菜々緒の家がその地主が持ってた全てを買い取ったと言う。



 菜々緒も親にあとから、没落するまでの事の顛末を教えて貰った。


 そこで初めて、『卯月夜弥美』と言う名前を知り、真飛流にも言ってたのである。



 ---可愛い女の子かな?



 2人はそんな話しを一瞬だけして、記憶の片隅へ追いやった。



 それが後程、こうした関係性を築くとは……。


 当時は思いもしなかった2人。





 夜弥美の少し前の話しを聞いてそう思うのであった。

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