第2話 

 路地をしばらく歩く二人。


 ここはアサダの実家周辺である。





 もう少し先を行けばスラム街だが、アサダはそこの出身である。


 貧しさから彼は、幾度か岡っ引きの厄介にもなっていた。



 冒険者となったあとは、過去のそうした所業から中々パーティーが組めなかった。


 そこを拾ったのが、菜々緒である。


 当時、既に真飛流とタルトも居た。



 陽太はその直後位。


 奴隷商の人身売買で菜々緒が買い取ったのである。



 陽太の潜在能力を見抜いた菜々緒は、勇者の補佐として彼を育てたのである。


 当初、陽太は奴隷故に自我が薄かったが、菜々緒がそれを更生させた。


 ある程度、陽太が意思を持ち、自ら動く様になった辺りで、彼は菜々緒と男女交際をしているつもり且つ、“秘密”にしているつもりになっていた。


 周りもそれを認めていた。



 タルトに関しては不明な点が多い。


 真飛流の次位にパーティーに加わった数少ない古参。



 夜弥美はタルトに過去を尋ねた事がある。


「ああ。まぁ、……記憶喪失って言う都合の良い状態。多分、一回、菜々緒に殺されているかもね」


 と、中々物騒な事を言う。


 故に、記憶喪失気味のタルトは、菜々緒が扱いやすい、都合の良い男になる様にタルトを育て、男女交際を始めたらしい。


 しかし、ある程度、記憶が戻りつつあるタルトは、


「折角生かして貰った命だけど、こんな奴隷みたいなのは嫌だ」


 と、反発を始める。


 なので、菜々緒は「要らない」と言って、二人は破局をした。


 タルトはパーティーを去ろうとしたが、真飛流は「パーティーメンバーとして残って欲しい」と言われたので、渋々残ったとか……。









 アサダはスラム街の入り口で、夜弥美に別れを告げる。


「じゃあな、お姫ちん。また機会があれば遊ぼうぜ」



 そう言いながら、アサダは去って行った。



 菜々緒の事が好きだった彼は、陽太と事実上の男女交際をしていたのを、地味に嫌がらせをしていた。


 夜弥美はそれも急に懐かしくなる。





「お姫ちんは辞めて……」


 その台詞が今生の別となってしまったのを、後日、夜弥美は後悔する。



 ---数日後、アサダは幕府騎士軍へ志願兵として入隊。


 遥か遠くの戦地へ赴いてしまったのであった……---。


 一度配属されたら、中々出られない地へ。





 夜弥美はしばらく路地をウロウロしてから、表に出る。


 そこは繁華街である。


 その街の人から、


『なんだ、見覚えのある奴だと思ったら、菜々緒様が抱えてたのはヤミ君か』


『ヤッホー、ヤミ君、タルト君呼んでくれたらサービスするよ〜』


『ブラウンフィッシュの収集クエスト出したから、ヨータ君と宜しく〜』


『今度菜々緒様との羊飼いのアルバイトお願い〜』



 大体、誰かしらとセットで呼ばれる夜弥美。


 単体で呼ばれないのが、人望の薄さである。



 大体、パーティーメンバーと住民との橋渡し役。



 夜弥美は少し悲しかったが、夜弥美がパーティーに加わってから、色々と“マシ”にはなったと、ギルドの職員から言われる。



 今後、こうしたやり取りは無くなる。


 そう、---パーティーは解散したから。





 夜弥美はいつものカプセルホテルへ向かう。


 真飛流の下宿先で、家主が居ないのに居座る訳にもいかないと思い、出たのである。



 店の前には陽太が居た。



 アサダが言っていた言葉を夜弥美は思い出す。



 ---『お怒りの陽太がお前を探している』



(だっけか?)



 陽太は夜弥美に近付く。


 その顔は怒りの満ちている。



「おい、夜弥美!お前、何か知っているんだろ‼︎」



「知らんがな」


 反射的に返す夜弥美。


 陽太は言い返す。


「嘘言え!さっき菜々緒がお前を抱えながら走り回っていた話が上がっているんだ!」



(これは誤算だ。---そもそも、計算してないけど)


 夜弥美は考える。



「はあ……。ちょっとトラブルに巻き込まれたのを偶然、……ね?---それと、僕にばかりそうして聞かずに、菜々緒さんに聞けば?」



 大切な話しとなると、陽太は夜弥美を介して菜々緒に意見を伝える。


 それが夜弥美は面倒だったが、『まぁ、恐らく、付き合っている事を隠す為のブラフかな』と思いながら、それに協力していた。



 それもパーティーが解散となればその必要は無い。


 二人仲良く、過ごせば良い。



(いきなり『婚姻届を書け』って言って来たなんて言えない……)




 陽太は西洋剣を抜く。


「偉そうな事言いやがって」



 夜弥美は陽太より剣技は上。


 体術も上。



 ”能ある鷹は爪を隠す”



 なので、夜弥美は刀を抜かない。


 合気道でどうにかするかするつもりだったが。





「へー。---アタシのヤミちゃんにナニするつもり?」





 真飛流だった。


 隣には菜々緒。



 陽太は驚く。


「な⁉︎真飛流さん⁉︎⁉︎」


「そうよ。---菜々緒にまんまと騙された真飛流よ」


 菜々緒はそっぽ向く。


 菜々緒は右頬が真飛流に殴られたせいか、かなり腫れている。



「---アタシとやり合う気?」



 鋭い目付きで言う真飛流。


 陽太は剣を鞘へ戻す。



「いえ……。遠慮しておきます」



 悔しそうに言う陽太。


 真飛流はそれを見て静かに言う。


「……宜しい。---じゃあ、もう私達に近づかないでね」



 陽太は軽く頭を下げる。


「はい……」



 真飛流は菜々緒を見る。


「菜々緒は知らん」


「酷くないか⁉︎」



 菜々緒は直ぐにツッコミを入れる。


 真飛流は菜々緒へ言う。


「---じゃあちゃんと伝えろ」


「……言わない」



 これに真飛流はしばらく何かを堪えるが、表情がいつものお淑やかなモノに戻る。


「はあ……。そう。---相変わらず無責任ね」


「それ程でもないさ」


「褒めてないわ。---泥棒猫」



 この後、また二人は言い合いを始める。





 陽太はその間、夜弥美と菜々緒を交互に見る。


 夜弥美は小さな声で、「自分で言うんだ」と、陽太に言う。



 すると、陽太は何かを決心して、菜々緒に勇気を出して尋ねようとする。



 ---どうして、パーティーを解散しようかなんて……



 しかし。


 菜々緒がそれを察したのか、真飛流との言い合いを中断してから先手を打つ。



「陽太。君はもう一人で立派に生きていける。---頑張れ」



 これが何を伝えているのか、夜弥美は判らない。


 しかし、陽太は。



「……頑張れって言葉は、俺以上に本当に頑張ってる人に使う言葉です!俺はそんな頑張れていない。本当に頑張っている人に失礼だ‼︎」



 そう叫んで、去って行った。



 夜弥美は戸惑う。


「え、結局何がしたかったんだ?陽太……」



 菜々緒は『やれやれ』と言った感じである。


「やっと諦めてくれたか」



 陽太を突き放したのは試練を与えたかったのか。



 しかし、これに真飛流は突っ込む。



「『やっと判らず屋と別れられて清々した』って顔してるわね〜」



 夜弥美は感動話かと思ったら全然、違って少し恥ずかしかった。



 真飛流は話しを続ける。


「菜々緒はね。陽太と別れたかったけど、中々陽太がそれを認めないから困った挙句、『婚外子を妊娠したからパーティーを一旦解散させる』って言うシナリオのつもりだったのよ」


 そう言いながら、菜々緒を見る。


 菜々緒は相変わらず『やれやれ』と言った感じである。


 真飛流はくしゃくしゃになった婚姻届を自身の懐から取り出す。



「これについては黙秘してるけど。改めて訊くわ。---どう言う事?」



 菜々緒は滝汗をかく。


 しかし何も言わない。



 真飛流は「そ……」と言って、ビリビリと婚姻届を破った。


 木っ端微塵に。



 これに菜々緒は、


「流石、真飛流。人の心が無いぜ……」


 と言うが、真飛流は彼女を睨む。


「ああん?」


「いえ……何でもありません」


「そ。---じゃあ、アタシはこのままヤミちゃんと帰るわね」


 そう言いながら、真飛流は夜弥美の手を掴む。



 しかし。



「待ってくれ!」


 菜々緒が夜弥美の空いた手を握る。


「---お、オレはヤミ君の事がす……---」


 夜弥美は『?』と頭に浮かべる。


「すー、---」


「えっと、菜々緒さん?」



「好きなんだ!」








 夜弥美、真飛流、菜々緒の三人は真飛流の下宿先へ来た。


 夜弥美は最初、酒場の個室を所望したが、『帰るのが面倒だ』と真飛流の一言で、彼女の住まうアパートへ。



「ヤミちゃんが掃除をしてくれてたお陰綺麗だわ〜。ありがとう〜」


 そう言いながら、真飛流は夜弥美に抱き付く。



 夜弥美は住むのは一時的に辞めたが、定期的に掃除はしに来ていたのである。



 菜々緒は不服そうに言う。


「オレも一応はしてたんだぞ?」



 真飛流は「はいはい」と軽くあしらいつつ、


「折角なら、気にせずそのまま住んでくれてたら良かったのに」


 と残念がる。


 夜弥美は「そうだったねぇ」と今気付いたかの様に言う。



(色々な思いが出て、涙が出てしまう事は言えない)



 と、思いながら。





 三人は買い込んだ酒とツマミを飲み食いする。


 畳に四角いちゃぶ台、地べたに座るスタイルで。



 夜弥美の右に菜々緒。


 左には真飛流。



 最初は他愛も無い近況報告だったが、ある程度、酒が回り始めてから、真飛流は菜々緒に本題を訊く。



「それで。改めて訊くわね。---さっきの告白と、アノ婚姻届は何?」



 これに菜々緒は「むう……」っと言いつつ、溜め息を吐く。


「はあ……。やっぱり言わなきゃダメなのか?」


「当たり前よ。ここで話をするって言ったの、アンタよ?」


 真飛流は腕を組む。



 菜々緒はバツが悪そうに言う。


「むー……。---はあー……」


 溜め息を吐きつつ、


「そうだ、な。……ヤミ君の事が好きなのは事実だ。むしろ、お前が食う前から目を付けていたのに、いつの間にかくっ付きやがって……」



 真飛流は「へ〜」と言いつつ、


「あら、バレてたのね?アタシ達の関係」


「当たり前だ。いつもデレデレしやがって」


 投げやりに言う菜々緒。



 真飛流は「ふーん」と言いながら、何か考える。


「アンタにしては珍しく引いてのね?……略奪愛とか考えそうなのに?」


「それも考えたけどよ……。ヤミ君の嬉しそうな顔見てたら、何だか愛おしくなって……。---観察する様になった」


「あら、アンタにしては意外と冷静ね?」


 真飛流は驚く。



 菜々緒は、


「まーな。ヤミ君を知ろうと思ってたら……。---目的を忘れてた」


 と、遠い目で言う。



 真飛流がズッコケる。


「……アンタ、狙ってるのか天然なのか判らないわね。長い付き合いだけど」


「……もうこれはここ迄で良いか?」


 と、菜々緒は少し面倒臭そうに言う。



 真飛流は頷く。


「ま、判ったわ。---それで、婚姻届の件はどう言うつもり?」



 これに菜々緒は即答する。


「陽太と別れる為の最終手段だ。---書いたのを見せ付けたら諦めるだろ、って算段」



 真飛流は「ふーん」と言う。



 夜弥美は少し何かを理解した。


「成程、それで僕に迫ったのですね」


 しかし、真飛流が怒る。


「何を納得してるの?ヤミちゃん。さっきも菜々緒言ってたじゃない。ヤミちゃんを狙ってたって。---それを危うく勝手に役所へ提出されるところだったらのよ?危うく、好きでも無い相手と結婚する所だったのよ?」


 夜弥美は真飛流に頭を叩かれる。


 夜弥美は「いてて」と言いながら、抗議する。


「うーん………。菜々緒さんなら悪用はしないと思ったけど……」


「それ、本気で言ってる?」


 呆れながら言う真飛流。



「うん」と夜弥美は言うが……。



「あのね。菜々緒は姑息且つ卑怯者なのよ?」


 真飛流は溜め息混じりの言う。



 ここで夜弥美が驚く。


「え?そんな事を今更言われても……」



 菜々緒は否定する。


「悪用はしないさ。『陽太を最後まで騙すつもりで付き合ってくれ』と同意を得た上で出すに決まっているじゃないか。そんな無理矢理、提出するなんて……な?---ヤミ君」



 夜弥美はそれを聞いて目を丸くする。


「……いえ。そこまでは流石にするつもりは……」



 菜々緒は残念がる。


「そっかー。……折角、パーティーメンバーとして受け入れた恩があるにも関わらずか?ヤミ君を拾って助けたのは誰かなー?」



 夜弥美は「うぅ」と、言葉に詰まる。



 真飛流は頷く。


「ほら、卑怯者でしょ?しかも損得勘定でコントロールしてから。---やっぱり悪用する気満々だったのね、菜々緒」



 そう言われた菜々緒はそのまま目を瞑り、左手で顔を少し隠す。


「ふっ。バレたら仕方無い」


 ニヤっと笑う菜々緒。



「---オレはヤミ君を真飛流から奪って子作りをしたい!」



 そう言いながら、菜々緒は立ち上がり、両腕を開きながら夜弥美に近付く。


 真飛流も立ち上がり、すぐさま、それを阻止する。


「辞めなさい!アタシのヤミちゃんよ!」



 夜弥美は目の前で広がる修羅場を眺める。


(……んー、菜々緒さん。そんな素振りあったけなぁ)



 夜弥美の中で、菜々緒のイメージは、『陽太と常に何かをしている』である。


 むしろ、夜弥美はあまり菜々緒を見ていない。


 (真飛流と隠れて付き合っていたのが悪かったのかな……)


 真飛流しか目がなかった夜弥美。



 まさか、菜々緒が誘って来た地点で、元は自身へ本当に恋のベクトルが向いていたとは……。


 

 菜々緒は真飛流に言う。


「むしろ、泥棒猫は君だ。オレの獲物に手を出しやがって!マジで先に食いやがって!」



 真飛流は得意気に言う。


「早い者勝ちよ」


「……どうせ、その身体で誘惑したんだろ!」


「当たり前よ。アタシの初めては誘惑したいと思う相手にしかあげないし、アタシはそんなに安くないわ!」


「ぐぬぬ!」



 悔しそうにする菜々緒は更に力を入れる。


「オレにもヤらせろ!お裾分けだ!」



 真飛流はそのセリフにドン引きしながら、必死に抵抗をする。


「何がお裾分けよ!あんたはヤりたいだけでしょ!そもそも、婚前交渉はしないんじゃないの⁉︎」


「いいや、ヤミ君の子供が欲しい!子作り目的なら、結婚と少しズレても誤差の範囲だ!」



 真飛流が押される。


「いやいやいやいや。なら最初から陽太を捨てて、ヤミちゃんにツバを付けていれば良かったじゃないの⁉︎」


「それが出来れば今頃苦労をしてない!これでも、悩んだんだぞ⁉︎婚前交渉はしないって言うアイデンティティを覆すかどうかを!---じゃないと、お前を殺そうとしてない!」



 ここで物騒な言葉が出る。



 真飛流は怒鳴る。


「ああん⁉︎やっぱりあの崩落事故は故意か‼︎」



 菜々緒は激昂する真飛流に押される。


「今更気付いたか!悲しむヤミ君に近付いてそのまま美味しく頂く予定が、生きて帰って来たんだよ、お前は!」



 これに夜弥美は菜々緒に苦言を言う。


「菜々緒さん、それは流石に無いよ……。僕達は生き延びたいと言う気持ちで、二人で協力して頑張って生き長らえたんです。それを否定されるなら、---僕は貴女を軽蔑します」



 これは菜々緒は少し効いたのか、


「はん、そうしてオレを結局避けようと言うならもう良いさ……。ここでお別れだ、ヤミ君!---もうこのパーティーは解散届けを出す。お前の5ヵ月は命懸けの徒労と無駄で終わるだけだ!」


「……くっ、やはり卑怯な!」



 未だ解散届けが出ていないと言う言葉に一瞬、期待したが現実に戻される夜弥美。


 これに真飛流は何とも言えなかった。


 何かを危惧した様な表情である。



 しかし。



 これに夜弥美は菜々緒の裏をかく様な事を言う。


「じゃあ、僕は勇者になるのを辞めて、真飛流と一緒にゆっくり過ごすよ」



 これに菜々緒は効果覿面。


「---って思ったけど、考え直してはどう?ヤミ君?やっぱり一緒に冒険しようじゃないか?」



 ここで、菜々緒の力が抜けて、真飛流が押す。



 夜弥美は呆れる。


「さっきと言ってる事違うじゃん……」


「そう、オレはヤミ君と冒険がしたい!恋がしたい!」



 真飛流は「最後が本音じゃん」、と言いながらゆっくり菜々緒を押し倒す。


「……まさか、初めて優しく押し倒された相手が真飛流とは皮肉だ」


「あのね……。そんな趣味は無いわ。---押し倒すのはヤミちゃんだけで十分」


「ちっ」



 真飛流は菜々緒に訊く。


「結局、何がしたいの貴女は?」



 菜々緒はぼーっとしながら天井を見る。


「……ヤミ君の子供が欲しい。---セックスしたい。ヤミ君と結婚したい」



 真飛流はズッコケる。


「順番が逆よ」



 菜々緒は起き上がる。


「ああ。でも、やっぱり、---婚前交渉は怖い」


「そ。じゃあ、それはそれで、良いじゃない。アンタの信念なんだから」


 真飛流は真面目な顔で言う。



 菜々緒は腕を組む。


「……うっ、それは。そうだな。---セックスと言うのは子作りの為に必要最低限の行為。今はやはり我慢をすべきか」


「ホント、揺らいでいるわねアンタ……。ま、---アタシ達はその辺りの相性抜群で気持良いわよ?避妊してから、只々、快楽の為にセックスするのも楽しいし」


 ニヤニヤ笑う真飛流。



 そんな話しを夜弥美は半分程しか聞いていない。


 あまり深く聞いていると、身体は正直で股間が反応を始めるので。



 それを悟られない様に小さく深呼吸をする。


(もちつけ)



 夜弥美は、酔って目がトロンとしている真飛流を見る。



「……ん?なーに?」


 真飛流はニコっと笑い、可愛い子ぶって言う。



 夜弥美は小さな声で言う。


「あ、うん。真飛流は可愛いなぁって」



 嘘では無いが、そう言っておけば真飛流は喜ぶのを夜弥美は知っている。



 それを聞いた真飛流は夜弥美に飛び付く。


「んー!スキー!」



 急に甘えてくる真飛流。


 夜弥美は受け止め切れず、押し倒されて、真飛流の下敷きになる。



 この時、真飛流は小さな声で、夜弥美の耳元で言う。



「うふふ。何か期待している?」



 鈴の音が鳴る様な声で真飛流が言ったそれがトリガーになってしまった。









 翌朝。


 夜弥美は台所で目が覚める。


 「あれ、一体僕は何を……」


 パンツすら履かずに、全裸姿の自身に起きた事を思い出そうとするのであった。

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