第34話 クラスメートは驚愕する
俺の偽装彼女であるシャルを馬鹿にする堂島たちやギャル3人の様子を見て、静観していた山城は怒るように机を叩いた。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 伏見の彼女は関係ないでしょ?」
「何よ、桃花だって馬鹿にしてたじゃない」
「私はあの子に伏見はやめておいた方が良いって忠告しただけ! 彼女の事まで馬鹿にし始めたのはアンタ達よ」
「別に良いでしょ? 実際、引きこもりみたいに肌が真っ白で髪で顔を隠してるくらいブスなんだから」
「良いわけないでしょ!」
山城が何やらムキになっていると、ギャルたちは急にニヤニヤと笑う。
「あっ、そっか~。そういえば最初に伏見に恋してたのは桃花の方だったもんね~」
「あんたの方から、伏見を見かけたら近づいていって何か話してたし~」
「そうそう、いつもと全然表情が違うからウケたわ~」
……山城が伏見に恋をしていた?
それはおかしい、山城は伏見甚太を最初から晒し上げるつもりで近づいてきていた。
少なくとも、伏見甚太はそう思い込んでいる。
「た、確かに伏見の顔は好みだったから気になってたけど。あんなに酷いことを言ってくる奴だとは思わなかったから別に今は気にしてないわ。あんた達が付き合いたいならお好きにどうぞ」
山城がそう言うと、ギャルたちはまたクスクスと笑って俺に話しかけ始めた。
「伏見って昔から陰キャのイメージがあったけど。実は鍛えてたんだねー」
「きっとあの彼女もその時から居たんでしょ? 陰キャ同士で気が合うとか?」
「でも大丈夫、私が甚太を陽キャにしてあげるからさ!」
そう言って、また俺の腕に引っ付いてきた。
そもそもなんだよ『陰キャ』だとか『陽キャ』だとか。
強いて言うなら俺は『傭キャ』だぞ。
――キーンコーンカーンコーン。
俺が振り払おうとすると、チャイムが鳴った。
山城も大きなため息を吐いて自分の席の椅子に座る。
そして、ジャージを着た新任の女教師、
そして、開口一番に切り出す。
「お前ら、今日は転入生が来ている。じゃあ入って自己紹介してくれ」
凛とした雰囲気を放ちつつ、いつも通りの男らしい口調で呼びかける。
今から現れる俺の彼女が『根暗なブス』だという情報を得ている堂島やクラスメートたちは、薄ら笑いを浮かべながら前方の扉に注目する。
……そして、教室の前の扉からシャルが入ってきた。
教室を吹き抜ける風にサラリと揺れる金髪。
華奢な身体と綺麗な瞳は現実とファンタジーの区別がつかなくなるほどに美しかった。
「初めまして、フランスから来ました。シャルロット・スタンリーです」
どこぞの人気声優に吹き替えでもされているような可憐な声が、静まり返った教室に響いた。
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