第22話 オーク殲滅
俺はカレンを連れて東の丘陵に跳んだ。すぐに周囲の警戒だ。オークにも変異種や上位種がいるかも知れないから、オーク系ということでサーチしておけばいいだろう。
<範囲>範囲1000メートル
<サーチ>like オーク。
……。
2、3匹で徘徊しているオークが5グループいる。
<範囲>範囲2000メートル……。
<サーチ>like オーク。
オークの数がやや増えたか?
<範囲>範囲4000メートル
<サーチ>like オーク。
……。
見つけた。100匹ほどがまとまっている。おそらくオークの集落だ。マークすればどこからでもインスタントデスを発動できるが、どうせ耳を切り取るために集落まで行くことになるので、インスタントデスの発動は集落を見てからでいいだろう。
「あれれ、オークの集落だ。100匹くらいいる。偶然見つけちゃった。ちょっと離れているけど、野放しにはできないし、行ってみるしかないよな」
カレンが呆れたような顔をして俺の顔を見た。
俺の顔って横から見るとシブいのかもしれない。さすがに呆れ顔でシブい顔を見ないか。
俺たちは40分ほどかけて現場の手前まで進んでいった。もちろんその間、薬草も忘れずに採取している。移動中何回かオークにすれ違っているが、たまたま視界に入らなかったので見逃してやった。
俺たちがやってきた場所は、やや盛り上がった場所で、500メートルほど先にオークの集落が遠望できた。
「何だかみんなで小屋やら柵を作ってるようだな。でき上った小屋が4つか。ちゃっちゃっと片付けるか」
俺の横でカレンがどうするのか? と、いう風な顔で俺を見ていた。
「すぐに終わるから、カレンは耳の剥ぎ取り用のナイフを出しておいてくれるかい」
<範囲>半径200m。センター前方500m。
<サーチ>like オーク。
<ロック>。
112匹がロックされた。まずは、
<インスタントデス>4。
作業をしていたオークも、見張りをしていたオークも糸が切れたように地面に倒れていった。もちろん小屋の中にいたであろうオークも例外ではない。
「よし。インスタントデスはレジストゼロで発動した。上位種とかいたかどうか分からないが、オークって想定以上に弱いな」
「全部で112匹いたはずだから、漏れのないよう数えながら剥ぎ取りしよう」
カレンは何か言いたそうだったが、結局何も言わずにナイフを右手に持ってついてきた。
オークの集落に入ったところでえも言われぬ臭気が漂ってきた。
失念していたが、十分予想できたことだ。今さらなので我慢するしかない。
カレンにはスキルはないので当然臭気耐性などないはずなのだが、カレンは何も言わずオークの耳を切り取り始めた。
……。
討伐証明の左耳の剥ぎ取りに結構時間がかかってしまった。カレンのナイフの切れ味がすぐに悪くなり、のこぎりを使うように何回もゴリゴリしないと切り取れない。仕方ないのでカレンは武器として使っているナイフを取り出してそれでオークの耳を切り落とし始めた。
俺はと言えば、死体の左耳をサーチアンドロックで収納できないかと試してみたができなかったのだ。できれば便利だったのに。
次に無精して手刀で左耳を削ぎ落してやろうとしたのだが、側頭部が潰れてエライことになってしまった。それで手刀での剥ぎ取りは諦めてしまった。その耳はかろうじて形を保っていた。
結局アイテムボックスの中に入れていたバックパックを取り出してその中からナイフを取り出しオークの耳を切り落としていった。
えも言われぬ臭気にもそのうち慣れてきてカレンから40個と言われて渡された耳と合わせて最終的にキッチリ112個オークの左耳を回収した。子供のオークはいなかったから、これから繁殖するつもりだったのかね。こいつら、どこかからか流れてきたんだろうが、運のない連中だ。
それと1匹だけ異常に体格のいいオークの死体があった。群れを率いる上位種だったんだろう。大きな鉄の棒と金属製の防具を身に着けていた。上位種といってもインスタントデスをレジストできなっかったけどね。
<サーチ>like オークの死骸。
<範囲>半径200メートル。
<ロック>。
<収納>。
<サーチ>金属製品。
<範囲>半径200メートル。
<ロック>。
<収納>。
100匹を超える死骸と、そこらに転がっていた装備品が一瞬のうちに消え、アイテムボックスに収納出来た。便利なものだ。
これでオークの死骸と文字通り金目の物の収納完了。討伐報酬とオークの買取代金で金貨500枚は超えるな。
「カレン。報酬の分け方を決めてなかったけど、とりあえず、パーティーで行動した場合の報酬は俺が3分の2、カレンが3分の1、パーティーの経費は全て俺持ち、ギルドポイントは半分ずつということでどう?」
ちょっと強引ではあるが、このくらいの比率で報酬を分配しようと思う。
「あの、わたしはほとんど何も貢献できないのに3分の1もいただけません」
「別に気にしないでいいよ。俺だってほとんど手間がかかっていないから。手間でいえば、耳の剥ぎ取りの方が一番手間だったし。そういうことでいいな。
あと、オークの死骸は数日に分けてギルドに卸そう。100匹もいっぺんに持っていったら処理しきれないだろうし。回収した金属類は、鍛冶屋にでも持っていこうか」
「わかりました。それでお願いします。あと小屋とか柵は壊さないんですか。オークの集落を討伐した場合、集落にある家や柵といったものを後で利用できないよう燃やしてしまうのが普通のようですが」
「オークの集落を討伐した場合はそうかもしれないが、俺たちは常時依頼のオーク討伐をしただけだから気にしなくていいよ。それに燃えカスしかなかったら、これから調査依頼を受ける冒険者にも悪いし」
カレンは呆れたのか何も答えなかった。すこし気まずいぞ。
「食事は街に帰ってからにしよう。ここじゃ食べたくないだろ。もう取るものも取ったし、何もないから帰ろうか」
そう言って、カレンの手を握り宿の部屋に転移した。
カレンには言わなかったけど、30匹ほどのオークが集落から離れて行動していた。今回そいつらは見逃してやった。理由は特にない。集落に帰ったら仲間が1匹もいなくなっているわけだがオークでもビックリするのかね。どうでもいいけど。
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