第17話 ポーション作成準備、錬金術師ギルド
討伐報酬とギルドカードを受け取った俺は冒険者ギルドをあとにした。もう一度、東の丘陵地帯に跳んで、薬草を本格的に採集しよう。できれば、オークさんたちにも会いたいな。
俺は再度東の丘陵に跳んで、そこで2時間ほど薬草を採集した。薬草は結構な量になった。
明日以降、G、Fランクの冒険者の実入りが減っちゃうかもしれんな。よく考えたら、今は低ランクの冒険者たちにとって東の丘陵は実質立ち入り禁止だからそれほど影響ないか。この騒動が終わるには何日かかかるだろうし、どうせそのころには薬草だって雑草みたいなものだからまた生えてくるだろうし。
この2時間の薬草採取中に斃したオークの数は9匹、いずれも3匹ずつのグループだった。妙な斃し方をすると、死骸を見たグレンさんに何か言われるかもしれないので、9匹とも頸動脈を切り裂いて始末した。なるべく臭いを嗅がないように息を止めてナイフを振ったのは言うまでもない。もし大量にオークが湧いてくるようなことがあれば、面倒なのでインスタントデスを使うと思うが、その時はその時。冒険者ギルドといえど、冒険者自身のスキルなどを詮索することはないんじゃないか? 詮索されたところで答える義務もないわけだし。
一仕事終えた俺は
「ポーション作りに使えそうな容器や器具を売っているところ知らないかな?」
と、リリーにたずねたところ、
「ゲンタロウさん、錬金術師だったんですか?」と、驚いたように聞かれてしまった。
「錬金術師じゃないけど、練習して錬金術師にでもなろうかなと思ってるんだよ」
「フェー!? 勝手に練習したくらいで錬金術師になれるの?」
「さあな。今のところ何とも言えないけれど、試しにやってみようかなって。まあ道楽ってところだな」
「道楽って。
よっぽどゲンタロウさんってお金持ちなのね。錬金道具を扱っているのは錬金術師ギルドだけだったんじゃないかな。ここからまっすぐ冒険者ギルドまで歩いていって前の広場を横切ってその先をすこし行くと、通りに面してそれらしい建物があるわ。看板なんて何もなかったハズだけど、ここだなって絶対分かると思う。ちなみにその向かいに建っている大きな建物が商業ギルドだから」
「ありがとう。それじゃあ行ってくる」
俺はリリーからの情報を頼りに、錬金道具を購入するため部屋に戻ることなく街に買い物に出かけていった。といっても
冒険者ギルドの前の広場から大通りを100メートルほど歩いていったらそれらしい建物が立っていた。それほど大きな建物ではなかったが、リリーが言ってた通り建物に
建物の中に入っていくと、そこは御多分に漏れず玄関ホールで、その先に受付の窓口らしきものがあり、ホールの横手に売店があった。『窓口らしき』と、言ったのは、そこに誰もいなかったからだ。
売店があるなら話は早い。さっそく必要資材を購入しようと売店に向かった。
売店の前にカゴが何個か積み上げられて置いてあったので、一番上のカゴを取り、その中に適当に品物を入れていった。こんなところかなと店番のおばさんのところにカゴを持っていったところ、おばさんは「ギルドカード」と、不愛想に言って俺に向かって片手を出した。
「冒険者ギルド?」
「あんた何言ってんの? ここのカードよ。錬金術師ギルドのカード」
「持ってないんだけど」
「あんた、錬金術師ギルドのメンバーじゃないの? メンバーじゃなきゃ売れないよ」
なんと!
「錬金術師ギルドのメンバーになるにはどうすればいい?」
「しかるべき人の紹介状を持って、入会金を払えばメンバーになれるよ」
「しかるべき人とは?」
「ここの理事さ」
なんだよそれ。そんな連中に知り合いなどいない。諦めるしかないか。
しっかし、理事の紹介がないとメンバーになれないとは。利権の臭いがプンピンするような組織だな。
「品物はあったところにちゃんと戻しておくれよ」
カゴに入れた品物を元あった場所に戻してから錬金術師ギルドの建物をあとにした。空振りはしたが、だいたいどういった商品があるのかは分かった。
その後、大通りを行き来して雑貨屋を何軒か見つけて利用できそうなものを購入していった。
雑貨屋で買ったのは、中くらいの広口瓶3個と水を入れるやや大きめの広口瓶1個。オリーブオイル5瓶。容器類はガラス製のものが欲しかったが陶製の物しかなかった。容量が100シーシーほどでコルク栓がついている小瓶を店にあるだけ買い付けた。値段は1個大銅貨1枚。店の主人に500個ほど仕入れをお願いし、代金金貨1枚を渡しておいた。10日は見てほしいと言われた。
買った品物は全部バックパックの中に入れておいた。店を出たところでバックパックはアイテムボックスに収納している。
買い物に結構な時間を取ってしまったので、少し早いがポーション作成は後にして先に夕飯にしよう。
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