第71話 無闇に、他人の飲み物を飲むと痛い目を見る

 黒塗りの車で、家に帰るとミツキが犬化していた。


何故か分からないが、ミツキのスキル焔犬炎咆哮が暴発したせいなのか、耳とシッポを生やしスリッパを噛み駆け回っている。


「こら、そんな物を噛んだダメだろ」

「うう!!」


スリッパを取ろうとすると、怒ってくる。


「なあ、佐々木さん。どうして、ミツキがこんな事になってるんだ?」

「実は...僕が実験中にスキル強化薬を開発してたら、偶然スキル暴発薬になってしまって、それをミツキがスポーツドリンクと間違えて飲んしまって、今こうなってる状態だ。まあ、数時間すれば元に戻る。」


 近くに、空になったペットボトルがある。

 多分だが、この容器に入っていたのだろう。


 まあ、数時間でミツキが元に戻るなら良いけど、めっちゃ犬化してしまったな。もし、綾音さんや佐々木さんが飲んでいたら、どんな風になっていたのだろうと、考えていると、ミツキが俺の方に擦り寄ってきた。


「くぅう〜」


 頭を撫でると、尻尾を振り喜んでいる。

 しかし、可愛いな。


 もう少し、この時間が続いてくれても良いかもしれない。いや、ダメだから時間が経ったら、治るとはいえ、元に戻って貰わなくてはいけない。


「いや、早く治す薬とか作れないの?」

「まあ、僕の科学力さえあれば出来なくないけど。」

「じゃあ、作って」


と、早速作って貰った。


「出来た!!これを、ミツキさんに飲んで貰うと、犬化状態は解けるはず。」


俺は、佐々木さんに作って貰った物をミツキに飲んでもらい、治るかと思ったのだが...確かに、元のミツキに戻った。だが、耳とシッポだけは元に戻らなかった。


犬耳とシッポが生えている状態でも、どうやらスキルを使っていないミツキの状態を保てている。


「はあ!?え?佐藤さん...」

「まだ、戻ってないのか」

「あれ」


ミツキは、今までの記憶は無いのか、何があったか分からないって言う顔をしている。


「なんで、ミツキの頭に耳が?」

「ミツキが、間違って佐々木さんが作った試作品を飲んで、完全に犬化してそして、それを治す薬を貰って飲ませたら今の状態って訳。」

「さ、佐々木さん。これって、いつ治るんですか!?ミツキ、これでは生活が不自由なんですけど?」

「ん〜やっぱ、数時間くらい?」

「数時間くらいですか...まあ、数時間だけなら、この状態でも良いかも知れないですね。むしろ、新鮮です。」


と、犬耳とシッポを生やしながら今日一日過ごす事になった。俺も、メイド服などを着せて堪能していると、綾音さん黒塗りの車に送られ帰ってきた。


「ただいま〜」

「おかえり〜」

「え、ミツキさん?」

「実は...」


綾音さんも帰ってきてミツキが、綾音さんに全てを話すと耳とシッポが生えた状態のミツキを可愛がっていた。ダンジョンで、ミツキがスキルを使い耳とシッポを生やした時も、よくシッポを触ろうとするが、触らしてくれないので、少し不満そうにしていたのを覚えている。


なので、今の状態のミツキを更に楽しんでいるのだろうな。



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