第63話 感謝されました。

「あの、本当にいいんですか?」

「ああ、あげるよ。」

「で、でも....これ売れば、多分ですが、1億は行くんじゃないですか?」

「お....」


億だって!?

マジか、魔剣が高く売れるのは知っていたが、それほど高く売れるとは。

だけど、あげるって言ってしまったしな~


今更、『はい、返してください』とか言いずらいと言うか、恥ずかしすぎる。

 なので、ここは潔く諦めることにした。

まあ、いいことをすれば、もしかしたら、違う形で帰ってくるかもしれない。


「何回も聞くな。やるよ。」

「あ、ありがとうございます。」


エリは、嬉しそうにしている。

 エリと、リリには上げてサリとユリに何も上げないのは、なにか可愛そうと言う感情が沸いてくる。


なので、ドラゴンの皮があまり佐々木さんが、適当に作った短剣を二人にあげた。

 

「「え?」」

「あげるよ。」


まあ、本来は投げて魔物倒すのカッコいいかな~と思って持って来ただけで、使い捨てみたいな感じで使おうと思っていたし、だけど、切れ味と耐久性だけはすごいので、二人は絶対に満足すると俺は自負している。


しかし、この短剣には、ドラゴンの刻印が掘られている。

 なぞだよな、佐々木さんが作ったものだから、趣味で刻印でも掘ってみよ~って感じで掘ったのかもしれない。


「帰るぞ。」

「「「「はい」」」」


と、俺たちは、帰還石を使い一階層まで帰ってこれた。

 しかし、行と違い帰るのが楽すぎる。

一瞬で帰ってこられるのは、ありがたい。


早速帰って、ミツキの料理でも食べようかな~

それに、動画投稿などSNSを綾音さんに全て任せているので、どんな風にしているのか、気になる。


「じゃあ、我はこれで」

「クロウ様...あの、クロウ様ありがとうございました。なにか出来る事とかは無いですか?」

「何もない。」

「え...ですが、クロウ様の力になりたいの!!」

「ん~」


俺は、悩んだ。

 もし、このこが闇落ち路線に走ると綾音さんみたいなことにならないだろうか?

俺は、あの時、顔には出さなかったがかなりの恐怖を覚えてしまっている。


「そうだな、じゃあ...デビルギルドについて調べてもらおうかな?」

「わかりました!!」


リリは、嬉しそうに俺の言う事を聞いてくれた。


「どうして、デビルギルドなんかの調査を依頼したの?」

「それは、お前に知る必要はない。それと、これは俺の連絡先だ。わかったら、ここに連絡しろ。」

「はい、クロウ様!!」


リリは、俺の連絡先を書いたメモを受け取ってくれた。


「ねえ、教えてくれたって、いいじゃないの!!」


エリは何故か、しつこく聞いてくる。

 だって、前に居酒屋でデビルギルドがブラック企業のようなことをしているって、聞いたかッとは言えない。


それに、リリが闇落ち路線に入らない為とも、本人の居る目の前では言えない


だから、俺は、エリの質問には答えることが出来ないのだ。


「じゃあ、我は帰る。」

「はい、ありがとうございました。」

「エリを助けてくれありがとうございました。」

「ユリに、クロウの技術教えろ。」

「クロウ様の依頼必ず、成し遂げて見せます。」


と、4人に見送られながら家に帰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る