第60話 緊張感のない奴ら。

さて、俺はローブを纏い待ち合わせ場所である白逆塔で待っていると、シンデレラーズが歩いてやってきた。


「「「「あ」」」」


4人は、息をそろえ反応した。

 

「あの、ク、クロウ様。よろしくお願いします。あの、動画配信見ました。最強です。」

「ああ」


確か、この子はリリだったな。

助けたときに、俺に感謝して褒めてくれるのだろうか?

お世辞でもうれしいぞ。


と言う事で、フェニックスを倒した時に回収しておいた赤い羽根を渡した。


「あ、ありがとうございます。」


他の三人は、何かめっちゃ驚いているような顔をして、三人は集まり何かコソコソと話している。

 だが、声が小さすぎて聞こえない。


***


「ねえ、あの羽って。」

「ええ、サリ。間違いなくフェニックスの赤羽。あれを持っていると、致命的なダメージを肩代わりしてくれると言う、最高級品。あれを、渡すとか何を考えているの。」

「ユリはどお思う。」

「ユリは...最強だからだと思う。エリは、どう思ってるの?」

「やっぱ、最強なのか...」


***


三人は、コソコソ話は終わったようで、エリが「さあ、行きましょう~」と明るく出発した。


俺は、1~65階層まで5時間ほどかけてダンジョンを探索している。

 その間に、俺がハマった沼があった。

そこは、簡易的な橋を使って渡っている。あ~この沼にハマったことがあるな~っと言うことを思い出しながら渡った。


「ねえ、クロウは何をしているの?」

「秘密だ。」

「じゃあ、何なら答えてくれるの?」

「どれも秘密だ。」


エリが、色々と質問してくる。

 ダンジョンで、魔物と戦う緊張感があるハズなのだが、そのような事はなく、気楽ではあるが。


それに、リリと言う女性が何故かくっついてくるのだが...やはり、後衛スキルなので、やはり怖いのだろうか?

 俺より、シンデレラーズのエリの後ろに隠れていればいいのだが。


「なあ、俺よりお前のリーダのところに隠れた方が良いのではないか?」

「クロウ様がいいの。」


リリの言葉を聞いたシンデレラーズのリーダであるエリはショックを受けている。

 

「え、リリは私の事を慕っていたのに...サリ~わあああん!!」


ダンジョンの探索中に、よく抱きつけるなと思った。

 サリはまんざらでもないような顔をして、頭を撫でてあやしている。


「ほら、お前のリーダが泣いてるぞ。」

「う...うん。エリごめんなさい。」

「いいよ。だけど、クロウより私の事を慕ってほしいな~」

「クロウ様と同じ位慕ってます。」

「わ~ん!!クロウと比較されるよ!!」


エリは、またサリに抱き着きなだめてもらっている。

 いや、だから探索中なのだがな...~


エリの鳴き声で魔物が集まる。それを、俺とユリが対処している。


信頼感があるのか、エリは豪快に泣いてる。ほんと、緊張感のない奴ら。




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